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『忘れられた六つ目の神器に選ばれました 〜人見知りな闇の少女と毒舌黒猫の学園英雄譚〜』  作者: 伊佐波瑞樹


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第38話 封じられた一行



 翌朝、アリシアは窓の外を見なかった。


 正確には、見たいと思った。


 夜の間に、また魔導灯へ黒い線が走っていなかったか。


 中庭の端に、何か新しい干渉痕が残っていないか。


 そう考えた瞬間、体が窓へ向きかけた。


 けれど、アリシアはそこで止まった。


 寝台の上で膝を抱え、ゆっくり息を吸う。


 呼ばれるものほど、一人で近づかない。


 昨夜、練習帳の最後に書いた言葉だった。


 見たい。


 知りたい。


 確かめたい。


 その気持ちはある。


 でも、それだけで動いてはいけない。


 アリシアは胸元に手を当てた。


 胸の奥の夜は、静かだった。


 昨日、グラン先生の研究室で見た、文脈の中の空白。


 黒布には反応しなかった。


 白紙にも反応しなかった。


 けれど、五属性支点の文章の中にある空白には反応した。


 欠落した情報。


 そこに、自分の中の夜が反応した可能性がある。


 それは不思議で、怖くて、少しだけ納得できることでもあった。


 アリシアは、昔から「言われなかったこと」が気になった。


 祖父が話を途中で切る時。


 里の大人たちが、神殿の奥について語らなかった時。


 山道の古い祠を、誰も見ないふりをした時。


 言葉にならない沈黙。


 そこに何かがあるような気がして、怖くなることがあった。


 今思えば、それは自分の性格だけではなかったのかもしれない。


 闇の力。


 ないものを見る力。


 欠落した情報に反応する感覚。


 でも。


 それが力だとしても、探し回っていい理由にはならない。


「よく止まったわね」


 ノアの声がした。


 アリシアは顔を上げる。


 ノアは窓辺に座っていた。


 黒い背中越しに、朝の光が差している。


「見たかったでしょ」


「うん」


「でも見なかった」


「うん……見張るのは大人の仕事だから」


「ええ」


 ノアは振り返り、金色の瞳でアリシアを見た。


「今日はそれだけで加点」


「朝から?」


「常に採点してると言ったでしょう」


「うん……」


 アリシアは少し笑った。


 その笑いで、胸の奥の緊張が少し解ける。


「今日は、上級資料室から追加の資料が来るかもしれないんだよね」


「ええ」


「怖いけど……見たい」


「見たい気持ちを否定する必要はないわ」


 ノアは机へ跳び移った。


「ただし、見たいからといって、空白に顔を突っ込まないこと」


「うん」


「リーネがいる。メリルがいる。シオンもいる。司書もいる。必要ならグランもマリナもいる」


「うん」


「一人で抱えない」


「うん」


 何度も繰り返してきた言葉。


 それでも、今日も必要だった。


 アリシアは制服へ着替えた。


 鏡の前でリボンを整える。


 黒い髪。


 黒い瞳。


 少しだけ眠たそうな顔。


 でも、昨日よりは落ち着いている。


「背筋」


 ノアが言う。


 アリシアは背筋を伸ばした。


「今日は空白を探しすぎない」


「よろしい」


 扉が叩かれる。


「アリシアちゃん、おはよう」


 メリルの声だった。


 アリシアは扉を開ける。


「おはよう、メリルさん」


 メリルはすぐにアリシアの顔を見た。


「今日は……少し落ち着いてる?」


「うん。朝、窓を見張りそうになったけど、止まれた」


「それ、すごいと思う」


「そうかな」


「うん。気になるのに止まれるのって、すごいよ」


 メリルの言葉は柔らかい。


 でも、ちゃんと届く。


 アリシアは小さく頷いた。


「ありがとう」


 二人と一匹で廊下を歩く。


 第一寮の朝は、いつも通りだった。


 誰かが階段を急ぎ、誰かが眠そうに壁に寄りかかり、誰かが朝食の献立を話している。


 アリシアはそれを聞きながら、ひとつずつ心の中で確認した。


 これは、あるもの。


 日常。


 声。


 足音。


 温かい匂い。


 空白ばかり見ない。


 あるものも見る。


 食堂では、ガレスとミランダが元気よく手を振った。


「おはよう!」


「おはよう」


 席につくと、ミランダが身を乗り出す。


「アリシア、今日のパンは何点?」


「えっ」


 アリシアは思わずパンを見る。


 まだ何もしていない。


 ノアが椅子の上から言う。


「開始前だから採点不可ね」


 アリシアは小さく笑ってしまった。


 メリルが不思議そうに首を傾げる。


「どうしたの?」


「あ、ノアが……パンを見てるなって」


「ノアちゃん、厳しいもんね」


 メリルはすっかりノアの採点制度を、猫の気まぐれのように受け取っている。


 ガレスは真剣に言った。


「パンも鍛錬だな!」


「ガレス君、何でも鍛錬にするね」


 メリルが笑う。


 ミランダも頷く。


「でも、朝ごはんちゃんと食べるの大事!」


「うん」


 アリシアはパンをちぎった。


 今日は、いつもより大きめにちぎれた。


 粉々ではない。


 ノアが言う。


「八十八点」


 アリシアは少し嬉しくなった。


 そんな小さなことでも、今日は進歩に思えた。


 朝食の途中、リーネが食堂へ入ってきた。


 いつものように本を持っている。


 しかし今日は、受付で受け取ったらしい小さな封筒も手にしていた。


 アリシアと目が合うと、リーネはまっすぐこちらへ歩いてきた。


「おはようございます」


「おはようございます」


「上級資料室から、追加資料の閲覧許可が一部下りました」


 アリシアの胸が跳ねた。


 メリルも顔を上げる。


「もう?」


「概要資料の一部です。放課後、司書立ち会いのもと閲覧できます」


 リーネの声は平静だったが、目は少しだけ鋭くなっている。


 彼女にとっても重要な資料なのだろう。


 アリシアは緊張しながら頷いた。


「分かりました」


 ガレスが聞く。


「また空白のやつか?」


「可能性があります」


 リーネが答える。


 ミランダがアリシアを見る。


「無理しないでね」


「うん」


 アリシアは素直に頷いた。


「今日は、空白を探しすぎないようにする」


 リーネがその言葉に反応した。


「良い方針です」


「ノアと決めました」


「適切です」


 リーネは封筒を大事そうに抱え直した。


「放課後、図書館で」


「はい」


 生活基礎では、セリア先生が「集中と視野」について話した。


 アリシアは黒板の言葉を見て、また自分のことだと思った。


『一つを見る時、周りも忘れない』


 セリア先生は穏やかに言う。


「調べ物や訓練で、一つの対象に集中することは大切です。ですが、集中しすぎると周囲の変化に気づけなくなります」


 空白。


 欠落。


 呼ばれる感覚。


 そればかり見ていると、他のものを見失う。


 ノアの言葉と同じだった。


「視野を保つためには、時々自分に問いかけましょう。今、自分は何だけを見ているのか。何を見落としているのか。誰かに確認した方がいいことはないか」


 アリシアはノートに書いた。


『空白だけを見ていないか確認する』


 班練習では、一枚の絵を見て、気づいたことを書き出す課題だった。


 絵には、演習場、倒れた椅子、開いた窓、床に落ちた羽根、壁の小さなひび、端に置かれた水差しが描かれている。


 アリシアは最初、落ちた羽根に目が行った。


 そこだけが妙に目立って見える。


 けれど、すぐに深呼吸する。


 一つだけ見ない。


 周りも見る。


「私は、羽根が気になったけど……窓が開いてるのも関係あるかもしれない」


 アリシアが言うと、メリルが頷く。


「風で入ってきた可能性?」


「うん。でも、倒れた椅子と壁のひびもあるから、誰かが慌てて動いた可能性もある」


 トマが感心したように言う。


「アリシア、全体を見るの上手くなったな」


「まだ……意識しないと一つに引っ張られる」


 ミーナが言った。


「でも、引っ張られていることに気づけるなら、それは強いわ」


 アリシアは少し驚いた。


 引っ張られていることに気づける。


 それも強さ。


 そう言われると、少しだけ心が軽くなる。


 戦闘基礎では、「視線誘導」の訓練だった。


 エレナ教官は生徒たちを前にして言った。


「相手は、お前たちに見せたいものを見せてくる。大きな動き、派手な動き、声。そこに目を奪われれば、本命を見落とす」


 アリシアは思わず息を飲んだ。


 生活基礎とつながっている。


 一つを見る時、周りも忘れない。


 戦闘でも同じだ。


 ガレスとミランダは、まさに派手な動きが得意だった。


 合同練習では、ガレスが大きく前へ踏み込み、ミランダが横で力強く動く。


 相手役の視線は二人に引き寄せられる。


 その間に、アリシアとメリルが空いている場所を管理する。


 しかし今日は、相手役も視線誘導を使ってきた。


 カイルが大きく剣を振り上げる。


 アリシアの視線がそこへ引かれかけた。


 だが、足音が違う。


 カイルの踏み込みは本命ではない。


 横からミーナの槍が低く入ろうとしている。


「左、低い」


 アリシアは短く言った。


 メリルが即座に杖を下げる。


 ガレスは前への圧を少し弱める。


 ミランダが横を支える。


 アリシアはミーナの槍が通るはずだった空間へ木刀を置いた。


「止め」


 エレナ教官の声。


 短い沈黙。


「今のは見えていた」


 アリシアは息を吐いた。


 カイルが悔しそうに笑う。


「大きく振ったのに見なかったな」


「見そうになったけど……足音が違ったから」


 ミーナが少し驚いたように言う。


「足音まで聞いていたの?」


「怖い時ほど音を聞いちゃうから……」


 言ってから、アリシアは少しだけ笑えた。


 以前なら、弱さとして隠したかもしれない言葉。


 でも今は、それが役に立ったと言える。


 エレナ教官が言った。


「怖いから聞く。聞けるなら使え。それだけだ」


「はい」


 訓練後、メリルが嬉しそうに言った。


「今日のアリシアちゃん、すごかった」


「メリルさんがすぐ反応してくれたから」


「でも、最初に気づいたのはアリシアちゃんだよ」


 ガレスも大きく頷く。


「俺は完全にカイルを見てた!」


「私も!」


 ミランダが明るく言う。


 アリシアは少し笑った。


「でも、二人が前にいてくれたから、私は周りを見られたんだと思う」


 ガレスは目を輝かせた。


「役割だな!」


「うん」


 役割。


 空欄担当。


 周囲を見る役。


 それが、少しずつ体にも馴染んでいく。


 放課後。


 図書館の閲覧席には、司書が資料を用意して待っていた。


 リーネはすでに席についている。


 メリルも記録板を持って座る。


 シオンはいつも通り、少し離れた椅子に座っていたが、今日は最初から本を閉じていた。


「珍しく本読んでないんですね」


 アリシアが言うと、シオンは肩をすくめた。


「今日はそっちの資料の方が面白そうだから」


「面白い……」


「怖いとも言うけどね」


 シオンらしい言い方だった。


 けれど、アリシアは少しだけ笑えた。


 司書は薄い写しを机に置いた。


「これは、学園設立後およそ五十年目の結界改修記録の概要です。詳細な式は伏せられていますが、支点管理に関する記述があります」


 アリシアは深呼吸した。


 ノアが足元に座る。


 リーネが資料を開く。


「読みます」


 彼女の声は静かだった。


「第一回結界改修。五属性支点の安定を確認。火支点の循環強化。水支点の揺れ吸収範囲拡張。風支点の流路調整。土支点の固定基盤補修。光支点の検知範囲拡大」


 五つ。


 いつも通り。


 アリシアは胸の奥を確認する。


 まだ反応はない。


 リーネは読み進める。


「なお、設立時議事における――」


 そこで、文字が途切れていた。


 リーネの声が止まる。


 アリシアの胸の奥の夜が、小さく揺れた。


 資料には、短い横線が引かれていた。


 空白ではない。


 黒く塗りつぶされているわけでもない。


 ただ、その一行だけが、細い銀色の封印印で覆われていた。


 文字が見えない。


 けれど、そこに何かがあることだけは分かる。


「これは……」


 メリルが小さく言った。


 司書が静かに説明する。


「削除ではありません。封印印です」


 アリシアの指先が冷たくなる。


 封印。


 空白ではなく、封印。


 リーネの目が鋭くなる。


「閲覧制限ですか?」


「はい。上級資料室でも、この一行は封印扱いです。許可がなければ開示されません」


 シオンが低く言う。


「つまり、消えたんじゃなくて、あるけど見せないってこと」


 沈黙が落ちた。


 アリシアは封印印を見つめる。


 呼ばれる。


 昨日の空白より、はっきりと。


 胸の奥の夜が、深い井戸の底で波を立てる。


 近づきたい。


 何が書かれているのか知りたい。


 けれど。


 呼ばれるものほど、一人で近づかない。


 アリシアは、練習帳を握ったまま、視線を少し外した。


 ノアが足元で静かに言う。


「よく外したわ」


 アリシアは小さく息を吐いた。


 司書がアリシアを見る。


「何か感じましたか?」


「はい……昨日の空白より、強く反応しました。でも、これは空白じゃなくて……何かがあるのに見えない感じです」


 リーネが即座に記録する。


「欠落ではなく封印。反応強め」


 アリシアは続けた。


「近づきたい感じがあります。でも、近づいちゃいけない感じもあります。胸の奥の夜が揺れています。痛みはありません」


 司書は頷いた。


「良い記録です。見続けなくて構いません」


「はい」


 アリシアは視線を紙の端へ移した。


 封印印そのものは見ない。


 それだけで、胸の揺れが少し弱まる。


 リーネは封印された一行の前後を読み上げた。


「なお、設立時議事における――封印――については、現行結界への反映を行わないものとする。以後、同議題は五大国共同承認なしに再提起しない」


 空気が一段重くなった。


 メリルが唇を押さえる。


「現行結界への反映を行わない……」


 シオンが目を細める。


「同議題を再提起しない。つまり、かなり揉めた話題だったってことかな」


 リーネが静かに言う。


「推測です。ただし、重要な推測です」


 アリシアは胸元を押さえた。


 設立時議事。


 封印された一行。


 現行結界への反映を行わない。


 再提起しない。


 何がそこにあったのか。


 闇の支点なのか。


 六つ目なのか。


 夜の守り手なのか。


 まだ分からない。


 でも、何もなかったわけではない。


 何かは、確かに議題としてあった。


 それが封じられている。


 司書は資料を閉じず、四人を見る。


「この資料は、ここまでです。この封印印を無理に解こうとすることは禁止されています」


「当然です」


 リーネが答える。


 シオンも肩をすくめる。


「解けるとも思ってないよ」


 メリルはアリシアを見た。


「大丈夫?」


「うん……ちょっと揺れたけど、大丈夫」


 アリシアは自分でも少し驚いた。


 大丈夫と言ったが、無理に言ったわけではない。


 怖い。


 でも、見続けないことができた。


 一人で近づかないことができた。


 司書が言う。


「この封印行については、私からマリナ先生と教務主任へ共有します。あなたたちは、今日の感覚を記録してください」


「はい」


 リーネは資料の前後を書き写す。


 メリルはアリシアの反応を記録する。


 シオンはしばらく封印印を見ていたが、やがて言った。


「空欄じゃなくて封印か。話が変わってきたね」


 リーネが頷く。


「はい。欠落ではなく、秘匿された情報です」


「秘匿……」


 アリシアは小さく呟いた。


 隠されたもの。


 見えないけれど、あるもの。


 自分の闇が反応したもの。


 ノアは足元で黙っている。


 その沈黙は、いつもより少し重かった。


 夕方、寮へ戻る道で、メリルがアリシアの隣に寄った。


「今日は、すぐ視線を外せてたね」


「ノアが言ってくれたから」


「でも、外したのはアリシアちゃんだよ」


 最近、メリルはそう言ってくれることが増えた。


 ノアがいたから。


 先生がいたから。


 仲間がいたから。


 それは本当だ。


 でも、最後に動くのは自分。


 少しずつ、それを受け取れるようになってきた。


「ありがとう」


 アリシアが言うと、メリルは微笑んだ。


 少し前を歩くシオンが言った。


「今日の封印行、たぶん大物だね」


 リーネがすぐに言う。


「断定は避けます」


「はいはい。大物かもしれない、にしとく」


 アリシアは少しだけ笑った。


 重い資料を見た後なのに、こうして笑える。


 それが不思議だった。


 夜、部屋に戻ると、アリシアは練習帳を開いた。


『今日は、上級資料室から届いた結界改修記録を見ました。設立時議事に関する一行が、空白ではなく封印印で覆われていました。削除ではなく、封印扱いだそうです』


 続ける。


『封印行の前後には、現行結界への反映を行わないものとする。同議題は五大国共同承認なしに再提起しない、とありました。何かが議題になっていた。でも、反映されなかった。再提起も制限された。これは事実です』


 ペンが止まる。


 胸が少し揺れる。


 でも、書く。


『封印行を見た時、昨日の空白より強く反応しました。何かがあるのに見えない感じがしました。呼ばれる感じもありました。でも、私は視線を外しました。一人で近づかないと決めていたからです』


 さらに書く。


『空白は、分からない場所でした。封印は、あるのに見せない場所でした。違うものだと思います』


 書き終えると、ノアが机の上に飛び乗った。


「今日は?」


 アリシアが聞くと、ノアは少し考えた。


「九十八点」


「高い……」


「朝、窓を見張らなかった。戦闘基礎で視線誘導に気づいた。封印行を見ても、すぐ視線を外せた。感覚を記録できた」


「減点は?」


「封印行を見た瞬間、かなり身を乗り出しかけた」


「……うん」


「でも、止まった」


「うん」


「だから良し」


 アリシアは深く息を吐いた。


 今日の封印行。


 その奥に何が書かれていたのかは分からない。


 けれど、空欄とは違う。


 誰かが隠した。


 誰かが封じた。


 それが分かっただけで、物語は一歩進んだ気がした。


 アリシアは練習帳の最後に一行を書き足した。


『封印されたものは、消えたのではなく、誰かが見せないと決めたもの』


 ノアはその一文を見つめ、長い間黙っていた。


 やがて、低く言う。


「……重い一文ね」


「うん」


「でも、必要な一文だわ」


 アリシアは頷いた。


 窓の外には夜が広がっている。


 今日の夜は、まるで封印された一行のように見えた。


 そこに何かがある。


 けれど、まだ読めない。


 まだ、開けてはいけない。


 アリシアは練習帳を閉じた。


 今は、読めないことを記録する。


 それが自分の役割だった。

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