10日目②
この戦争の原因を作った大悪女サラは剣を構える。
魔術師は杖を使うものが多く、錬金術師は剣を使う。
けれど例語はまま存在する。
ウォルター氏との共闘の約束は取り付けられてはいないが大悪女サラが現れたのなら話はちがう。
ビリー氏と並ぶ魔術師協会最強候補の魔術師アーヴェル、彼は錬金術にも精通しており、強力な力を宿した剣を生み出す。
アーヴェルは皆を下がらせる。確かにこの戦いに於いては我々はあまり役には立てない。
あの女は禄郎を庇い戦っていた。魔法使いはほぼ全員が優れた容姿をもつ。
大悪女サラもその例に漏れず美しい容姿といえるはずだが、私にはその狂気じみた妄執から不気味さが勝って見えた。
大悪女と呼ばれ恐れられる少女、禄郎はウォルター氏の一派へのスパイとしてサラの元に送られた。
スパイとは言ったが、サラと仲良くなりウォルター氏の一派が、危険な行動に出ないよう、またまだ若いサラやその仲間達の悩みを聞くという役目である。
禄郎は面倒見の良い男であり、親しくはあったのだろうが命をかけて守るほどの恩はないはずである。けれどサラは彼をかばいたたかった。
私が殺せるなどと思い上がったがサラは強かった。
他の月の民の実力者であるポーラとディエゴはウォルター氏より互角かやや下の実力であったと言われている。ウォルター氏の実力は世界最強候補の一角。そしてアーヴェルは魔術師協会最強の男である。
その2人を相手に禄郎を庇いながら互角以上の立ち回りをみせているのだ。
魔術師協会は会長とその下に4人の副会長がついている。4人の副会長は各地域の長だ。
帝国のある大陸南西部のトップである魔術師協会副会長ビリーは隙をみて魔法を放つ。
サラ、ウォルター氏、アーヴェル、ビリー、誰が世界最強でもおかしくはない。
サラもやはり世界最強クラスの魔法使い2人を相手どったギリギリの戦い。不意の魔法が直撃してしまう。
吹き飛ばされすぐに立ちあがれずにうずくまるサラの元に禄郎が駆け寄る。
アーヴェルは錬金術師の技である魔法封じをはなった。魔術師協会はかつて強力な錬金術師に短期間ではあるが魔術を封じられた過去がある1000年近く魔法封じを研究してきた。
魔法封じはサラには効いてない。魔法封じ等信じられない程の実力差があってようやく決まるもの。
油断したアーヴェルは態勢を立て直しつつあるサラに殴り飛ばされているが、魔法が直撃し回復しきっていない少女の崩れかけた体勢からの殴打。威力はごのらない。ビリーの手により勝敗は大きく傾いたのだ。
ウォルター氏はサラに「殺されたくなければそれを渡しなさい」といった。
サラは大魔境に関わる何かを盗みだしている。
サラは泣きながら首を振る。彼女はさけぶ。
「先生も知っているでしょう。魔術師だった私の祖母は帝国の侵略時その場にいなかった。だから私の村は滅びた。祖母が国にいなかったのは魔術師協会の呼び出しを受けたからだ。そして国を守れなかった魔術師として錬金術師に魔術を封じられて殺された。私は魔術師協会も、錬金術師も嫌いだ。帝国に家族を殺されみなしごだった私を育ててくれた私の大切な祖母だった。」昔あった事件だ。魔術師協会としては耳が痛い。彼女達月の民が自らの国を欲する理由でもある。
当時の魔術師協会の中に女神正教徒が紛れ込み、小国だった今の帝国が巨大化して行く手助けをしたのだ。錬金術師は彼女の祖母なか直接手を下したわけではない。魔術を封じただけ。魔術師協会の腐敗の噂とその影響による戦争から、魔術師を恨むものがたくさんいる地域であり、勝った側の帝国としても反乱の目は残したくない。誰が彼女の祖母を殺したかはもう誰にも分らない。それでもきっかけをつくったのは魔術師協会と錬金術師だろう。サラは感情が高ぶり肩で息をしている。
月の民が国を手に入れるには大魔境のような強力な結界が必要である。
魔術師協会は彼女等の悲劇に関わっている。
だからみだりに彼女を大悪女と呼ぶことは協会は禁じている。
サラはビリー氏に斬りかかるがそれをウォルター氏がとめる。
ウォルター氏は弟子に剣術を教えている。
再開された戦いは終始サラが押されている。
2対1が3対1になり、自身は手傷をおっている。
サラは血まみれになり追い詰められていく。
アーヴェルの剣がサラに迫った時だった。
戦いの佳境3人の気がそれた瞬間。ビリーは魔法を放つ。やつはずっとこれを狙っていた。
大公、弟皇帝、宰相、主要な将軍、主要な反乱貴族はビリー氏の魔法により一撃のもとに死に絶えた。
大公の反乱により帝国領内の基盤を失った女神正教からきた魔術師ビリー。
またサラにとどめをさそうとしたアーヴェルはもう一人の天才、後の月の民国の初代女王ポーラの魔法によりうちぬかれていた。




