10日目①
我々はウォルター氏と組むことはなかった。
彼が世界を混乱に陥れようとしている事なと明白であり、魔術師協会は世界を守る為に存在している。
400のウォルター氏の弟子と対峙するため、我々は帝国周辺だけでなく世界中から15000の魔術師を集めた。
その多くが戦闘経験の豊富な魔術師達
魔術師があまり戦わなくなった時代、いくらつよくても戦う機会は多くない。
魔術の研究が魔術師の本分となった。戦闘経験のある魔術師は10人に1人、15000人といえば魔術師協会といえどもなかなか動員出来る数ではない。更にこの内戦では既に2000の魔術師が命を落としている。
協会には50万の魔術師が所属しているが、そのほとんどは名前だけ登録しているだけで、実際に動かせるのは20万人程、戦闘経験のある魔術師はそのさらに10分の1と考えれば今の状況は異常だった..
魔術師協会本部からはビリー氏が派遣されている。
組織のNo.3 いくら戦えなくなったといっても魔術師は高い戦闘力を誇る。当然強い者は尊敬される。
弱いものには誰もしだかわない。
完全な実力順とはいわないが組織で指導する側に回るようなものは当然高い戦闘力を有する。
ビリー氏は魔術師協会最強魔術師の一人である。
私が戦場に訪れた時にはビリー氏はウォルター氏の暴走をとめるために説得をしていた。
魔術師が戦争に参加してはいけない。
魔術師が戦争する事は被害を大幅に拡大させる。
今回の内戦は多くの魔術師が戦争に参加する結果になった。
魔術師協会は魔術師と世界平和を守る組織である関係上、今回の内戦の首謀者達に釘を差しに行く必要がある。
ウォルター氏を現役最強の魔術師と呼ぶ者もいるが、怪しいところだ。少なくとも、引退し最強の座を降りた勇者タリア程の圧倒的な実力ではない。
彼はタリアに3度挑戦し全て惨敗だった。
ウォルター氏の自身のなさは彼に交渉という道をとらせる。
停戦の合意がなされ互いに兵を引く事になった。
だからこれ以上刺激するなと言うのだ。
それで済むのなら魔術師協会等意味はない。
「慣習として攻められた側は戦争参加ではなく、個人として身を守る為に戦った事になるはずだ」
ウォルター氏はそう叫ぶ。
いくらウォルター氏が戦いを好まない魔術師とはいえ、世界最強と言われている。本当に世界最強かはともかく、そう言われても完全に否定は出来ない程度の実力はあるはずなのだ。
それでも交渉ていう道を取るあたり彼は全く怖くない魔術師である。
我々は我々の考えを大幅に認めさせることができるだろう。
そしてその慢心が悲劇の始まりであった。
これまでウォルター氏と接触してきた男禄郎が叫ぶ。「これは…」
恐らく罠だと言おうとした。けれど私の思考はそれ以上進まない。全知全能の魔術師が何も分からなくなる。何らかの精神干渉。精神干渉は呪術師の得意分野だがウォルター氏は呪術師としても高い適性をもつ。
ぼんやりとここにいる魔術師が全滅したら魔術師協会は事実上壊滅だなと頭にうかぶ。
私の霞がかった頭は禄郎の元に魔法が飛ぶのをにをちした。恐ろしい魔法、私が受ければ必ず死ぬ。
禄郎だってそうだ。
魔法が飛ぶ?
魔法の速さは無限になった。
飛んでいる最中の魔法は見えない。
少女が禄郎を庇い彼を押し倒した。
少女が魔法の直撃を受ける。
私なら必ず死ぬ魔法。
おびき出された少女も無事ではないが、少女は立ち上がり、ウォルター氏と対峙した。
私の頭はようやく再度働きはじめた。




