9日目
内戦が始まり9日目の事である。7日目に停戦したにもかかわらずこの話が続くという事はそれはすなわち、停戦後にも多数の被害者をだしたことを意味する。
その引き金を引いたの者は後に大悪女と言われるサラであることは言うまでもない事であろう。
私はエルフの国の大魔境の前で中をうかがっている。
中をうかがうだけで自らが人であることが罪という気になってくるほどに人の心を惑わす大魔境である。
我々魔術師協会は誰に付くのかを決めねばならない。
ウォルター氏が誠実な男とは聞くが私は会ったことはなく、彼のもとから逃走した彼の元高弟であるポーラはともに援軍を求めてきた、ポーラは月の民であり、古代より幾度となく魔術師協会と敵対してきた民族であるが関係は修復されつつあった。
だからこの度の事件は我々も大変に胸を痛めている。
彼等には指導者と言えるものはなく、王家の血を引くと自称してはいるがまだ10代の若者であるポーラの暴走を止める事はかなわなかったのだ。
我々魔術師協会はウォルター氏と協力し、ポーラとサラの暴走を止めねばならないのだ。
私は魔術師協会の記録員として戦争を伝える。
目の前にはサラがいる。
彼女は気に寄りかかり地べたに座る。
呪いの木だが彼女には効いていない。
木霊の類は人に害をなすものが多いのだが優秀な魔術師なのだろう。
彼女はいくつもの傷をおっている。
魔術師であれば普通の傷であれば瞬時に治るが、強力な呪いを帯びた傷は魔術師以外では治らないし、呪いの強さによっては魔術師でも治らなかったり、治りが遅かったりする。
サラは息を苦しげに吐きながら身を休めている。
強力な魔術師のみで構成されるエルフの国を1人で相手どったのだ。
魔術師ならば椅子や小屋など簡単に用意できるはずだがそれさえしない。
エルフの国はそれほど強かったのだろう。
「少し、違う。エルフとは少し戦ったけどほとんど話し合いしかしていない。むしろこっち」
私の意識と意識のほんの一瞬、彼女は私の目の前にいた。彼女は私に腹を触らせる。
彼女は30センチを超えるであろう巨大な玉を飲み込んでいる。
私は彼女の腹の上から触るだけで命を吸い取られていく事が分かった。
この世界最強の呪い。大魔境を作る秘宝であろう。
「触るな!」私は思わず彼女の手をはねのけた。
彼女はそのまま息も絶え絶えに座り込む。
大魔境の発生を抑える事に力を取られすぎたっていることさえできないのだ。
今なら殺せる。私の頭にその考えが浮かばなかったといえばうそになる。大悪女と言われる魔女である。
しかし彼女は、「私はここにいる。あなたじゃ相手に、ならない。戦うなら援軍を読んできなさい」
そういって苦しみをこらえながら笑顔をみせた。




