8日目
エルフの国のこの世界からの撤退が世界に告げられる。青天の霹靂である。
エルフの国は帝国内にあるが互いに干渉はしていない。そもそも世界屈指の魔術師ですら危険な大魔境を超える必要があり、干渉は不可能に近い。
人間とエルフについては別種の生物というのが人間側の主張であるが、エルフはかつて人間だったが強大な精霊により精霊と樹木と人間の要素を合わせ持つエルフに変えられたという建国神話がある。
その神話によるとエルフは国を離れると精霊に変えられてしまう。だから離れたくないない。あくまで旧い言い伝えだが不老不死の種族の言い伝えだ。
もちろん現時点でもすべてのエルフがエルフの国に住んでいるわけではなく、国を離れたものがどうにかなったなんて話はない。だからといって、簡単に国を捨てられるものでもないはずだ。
サラがエルフの国に攻め込んで数日の事だ。サラは半日程度で国を出て私とあっている。
その際にどのような交渉が行われたのかはわからない。
エルフ達は精霊と妖精の世界に旅立つと宣言した。
戦闘面もさることながら、呪いを受けないという面に特化している彼等は、別世界へと通じる大魔境を安全に突破できるのだ。
大魔境を安全に突破できるなどやはり彼等は人間ではないのだろう。
私では100回に30回は死に69回は逃げ帰る。
何かの間違いを期待するしかない。
エルフの国は別世界ではない。大魔境を抜けた先にある場所で別世界でないものはエルフの国だけだ。
何かの秘密がある。大魔境誕生の秘密は人間は知らない。エルフも恐らく完全には手に入れられていない。
大魔境を作る呪いの発生源については様々な憶測があり、今回の戦争の混乱の中、サラがそのなにかを見つけたのだ。
エルフが探し続ける永遠の秘宝。
サラは魔術師としてはポピュラーな職業である探検家だ。呪いを防ぐしかできないエルフと呪いの先を見据えるサラ。そしてサラが秘宝を手に入れた。
月の民は大魔境の奥で暮らすのだろう。
呪いの制御権はサラの側にある。
サラが悪意を持つならば不死身の存在であるはずの魔術師をそんな魔術師さえ容赦なく殺す大魔境に閉じ込められる。
大魔境を安全に突破出来る魔術師など全世界の現役魔法使い50万人の中でも甘く見積もっても100人はいない。1度は抜けられるかもしれないが2度、3度と閉じ込められればいずれ死ぬ。
サラは魔術師を殺す最強の武器を手に入れたかもしれないのだ。
魔術師協会でも上位のものはその事を気づいている。
「最低限、サラの手に入れた秘宝を確認しなければならない。」
魔術師協会の指導者の1人はそういった。
ポーラはやはり騙されている。
ウォルター氏は恐らくサラの手に入れた秘宝を奪うつもりだ。アーヴェルが戻る。ウォルター氏の腹心、我々のスパイ
「月の民はエルフの秘宝を手に入れたようです。彼等は我々と帝国に恨みを抱いている。ウォルター氏の高弟2人が破壊活動を行っていた為にウォルター氏と共闘し1人は倒したが、1人は逃げられた。一人一人が私と互角以上、その2人は月の民だった。その際には姿は見えなかったが、ウォルター氏のもう1人の高弟サラも月の民だ。奴も我々と敵対していると見て間違いないでしょう。ウォルター氏と共闘し悪女サラを討つべきでしょう。」そう嘯いた。
彼は月の民の王家3人の1人ディエゴの死体を抱えている。魔法使いであれば大魔境の呪いのようなよほど特殊な呪いをうけなければ蘇える可能性が高くそれは死体のある場ともかぎらないが、とりあえず持ってきたのだろう。
若い3人は最初から利用されていた。ウォルター氏の危険性を誰も知らない。
タリアに手も足もです。性格的にも戦えない魔術師という印象を与えてきた。
彼は野望を秘めていたのだ。彼が秘宝を手に入れれば魔術師協会は彼の支配下にはいるしかない。
1人の魔術師は10万の兵にかつが5000人に1人位いる。
それはつまり彼が世界を手に入れるという事だ。




