7日目
私は魔術師協会の本部に戻る。
私の身体には呪いが仕込まれている。
ウォルター氏に命じられたポーラの仕掛けた呪い。
断るポーラをウォルター氏は丁寧に説得した。
ポーラが断り続ける限り丁寧に丁寧に説得する。
ポーラは破門され、月の民の国も手にはいらずに目的を見失ったあの子にはなんのメリットはないが意味なく人を殺させる事が狙いだろう。
ディエゴには何もさせなかった。
もう一つの意味は私への牽制だ。
私はポーラに無意味な人殺しをさせたくはない。
魔術師の事戦いの中というなら仕方がないがこれは違う。
ウォルター氏は
「お前が魔術師協会に我々には絶対に勝てないと報告をするのだ。そうしなければ呪いが発動しお前は永遠の苦しみの中死亡する。精霊がよくやるやつだ。」
そう言った。
「ごめんなさい」ポーラは小さく謝ったがウォルター氏はそんなポーラにきつく平手打ちをする。
ポーラは体制を崩し倒れてしまったが、ディエゴはアーヴェルに取り押さえられそばによる事も出来ない。
ウォルター氏はポーラを冷たく睨みつけ
「お前のしでかしたミスを取り返してやっているんだろうが」と怒鳴りつけた。
ウォルター氏は帝国拡大期から皇帝に仕えた宰相兼魔術大臣兼、全軍総統である。
彼が一線を引く前に帝国に大きな内乱がなかったのはウォルター氏が魔術師の戦いを知っていたからだ。
そうしながら内乱の目を作り続けた。
首都にのみ魔法学園を置き地方を弱体化させ、月の民を迫害し、女神教から女神正教を独立及び対立させ、王の一人に大王を名乗らせたのはウォルター氏であった。
これは計画ではない。これこそが魔術だ。
魔術師は元は軍師であった。
軍略から王や皇帝をささえる、皇帝にすら師と崇められる存在。
ポーラもディエゴも魔術師としては半人前だった。
世界で3番目と4番目につよいかもしれないが勝ち方を知らなかった。
彼らに匹敵する魔法使いはこの帝国には残り一人。
ウォルター氏はサラの事を恐れている。
だから私を魔術師協会に向かわせ、魔術師の戦いを起こさせないようにしたいのだ。
魔術師協会の門、その門をくぐる際にはウォルター氏の脅迫めいた言葉が頭に鳴り響き、染み出した呪いが体を蝕む。
私はどうやら助からないらしい。
これは勘でしかない。精霊の呪いの恐怖は話としてしかしらない。すぐに死ぬか少ししてから死ぬかどうかの差。
もし絶対に助からないとわかれば、恐怖を甘く見、やけになり魔術師の戦いを仕掛けるように進言するかもしれない。
そう思ったのだろう。
私にはポーラの涙をこらえた顔が思い浮かぶ。
この勝負サラの勝ちだ。
私はどうどうとウォルター氏達の戦力が魔術師協会に及ばない事を伝える。
サラはこれにかけた。
ウォルターの呪いは私には解けない。
けれど魔術師協会の目の前で私にかけられた呪いが解呪された。
私がサラの手を握った時、サラは私の手を握り返し、御守りを握らせた。
ウォルター氏を超える最強の勇者タリアをもってしても成し得なかった、究極の呪いかつ究極の御守り、生命誕生の素。ほとんどの場合呪いとしてしか働かないその玉の完全な御守りへの移行した。そんな御守りを私にもたせた。それにより私の呪いは現れるとともに立ち消えたのだ。
私は「帝国の内乱は帝国の弱体化は招きましたが、依然強国。ただし魔術師については宮廷魔術師は壊滅、ウォルター氏とその一派は高弟達の反乱により、半壊、高弟達は破門されました。」
そう伝えた。
長老達は話し合う。
引退したはずの魔術師達も多く、タリアに惨敗するウォルター氏を知る皆はウォルター氏の一派の解体へと乗り出す。
ポーラの声が頭に響く。
「アナタ本当に思い通り動いてくれるわね。私達は元から誰か1人でも国を作れればいいと思ってた。ウォルター先生と私達は最初から取り決めてたの。どちらが負けても最悪の自体を避け最低限のメリットは得ると。内戦が始まるというか、あなたがサラと出会うよりも前から。私達は魔術師、魔術師協会はただの独りよがりの魔術師もどき。帝国の反乱は人の招いた事、魔術師は人をやめた。元から過度に介入するべきじゃない。主体になってはいけない。私達は全員がそれをわかっている」
ポーラの話を聞くうち、私の意識が消えていく。
眠りの呪い。御守りの効かないただの眠り。
魔術師協会が引き返せなくなる数時間だけの眠り。
私は利用された。
ウォルター氏とポーラ、ディエゴの戦いは意見をどこで折り合うかだけのものだった。そしてそれにより私を思い通りにうごかした。




