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スタート 0.3  作者: プーリ
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 次の日、新聞は大きく見出しを出している。

 AIを使用した珍しい犯罪ということもあり、テレビのワイドショーでも取り上げられている。

 動画配信をしていたこともあり、劇場型犯罪ならぬ、劇場型解決と言われている。

 今回のワイドショーの話の争点は、被害者が誰か。

 また、闇サイトを潰すためとはいえ、売上を下げたことはどうなのか。

 いずれ裁判で明らかになるだろう。だれも損をしていないなんてありえない。

 話題が変わり、年末のあの歌番組にストフラが選ばれた事を紹介している。

 高原ちゃんに「おめでとう、年末はテレビで見るよ」とメッセージを送っておく。

 すぐに「よろしく!!」と返事が来た。

 いつもの日常に戻りつつあることを楽しく思う。

 レース復帰まであと1週間だ。


 青井と福田に連絡を入れ、一緒に練習をする。

 波の音、風の音、ガソリンの匂い、もう胸の高鳴りは止められない。

「調子いいっすね」

「悪くないよ」

「プロペラ見せてもらっていいっすか?」

 ふとしたやりとりさえも今は楽しい。

「やっぱりボートはいいな」

 なんと杖をついて中川さんが来た。

「ごめんな」

「なんで謝るんですか?」

「正直、スタートで君より前にいたことは分かっていた」

「ですよね…」

「でも勝負である以上、自分から言えなくてね…配信を見せてもらって、謝らなくてはと思って…」

「中川さんは悪くないですよ」

「ごめんな、これからも頑張ってね」

 そう言うと中川さんは帰って行った。

「あのオッサンが早く言ってれば」

 珍しく福田が怒っている。

「やめとけ、俺が同じ立場でも言えないよ。審判がセーフって言ってるんだから」

 青井をなだめる。

 誰だってそうだろう。

「あと3周!実戦形式でいこう」

「はい!」「はい!」

 練習は必ず未来に繋がる。


 

 

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