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「どうしました?」
目を凝らす。
「これ、フライングしてない…」
スタート地点から見れば、僕も中川さんもスタートライン上から前に出ていない。
「言われて見れば…」
川又記者はメガネを何度もずらしたりしながら、写真を見つめる。
「あの時、先入観で葉山さんがフライングなら、中川さんもフライングだと思ったんですよ」
「自分もそう思いましたよ。中川さんは前にいたんだし…」
「もしかしたら、二人ともセーフだったと」
「だったとしたら、なぜそんなことに…」
「ですよね…機械の故障とか…」
「機械の故障なら、二人ともセーフか、二人ともフライングになるはず…後ろにいる自分だけがフライングの意味がわからない…」
「何かありそうですね…」
「自分だけがフライングにならないといけない理由がないんだよ…」
「たしかに」
「もう辞める選手がいるなら、巻き込んだほうがいいでしょう。二人ともフライングならこんなことには…
」
「誰かが葉山選手だけを狙っていた…?」
「あんな普通のレースで、自分が狙われる意味も分からない。狙うなら大きなレースとか有名選手とか…」
「目立たずに葉山選手だけをフライングにしなければいけない理由があったと…」
考えれば考えるほど、わけがわからなくなる。




