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もう動くしかない。
「ただ…」
「ただ…?」
「証拠が少なすぎて動けないんだよ。写真一つでおかしいって言っても相手にされないよ」
「まぁね…あの川又さんの写真でも?」
「うん、少しスタート地点から斜めだったし」
高原ちゃんは目を丸くして言う。
「まっすぐだったじゃん。あれを見せてもらって、初めてレースを見た私でも違和感あったよ」
カバンからポストに入っていた写真を出して見せる。
「ほら。ななめでしょ」
「これはちがうよ。これは私が撮ったやつでしょ。ポストに入れたやつ」
「え?これじゃないの?」
「ちがうよ、もっとプロな写真だったよ」
「その写真はどこにあるの?」
「わかんない。早く届けなきゃってどこかに走っていったよ」
「こっちには届いてないな…」
もう一枚写真がどこかにある。
「なるほど…よく住所がわかったね」
「本当はプレゼントって事務所でスタッフさんから渡されるときに住所とか切り取って渡されるんだけど、この帽子が送られてきたやつは、ミスでそのままだったんだよね。だから葉山選手の住所も電話番号も私は知ってるよ。」
「そんな事があったんだ」
「名前聞いて、あの人だってなってね」
「帽子のおかげか…」
「アイドル現場じゃアイドルもオタクも本名は名乗らないもんね」




