28/53
28
家に着き、あの写真を取り出し眺める。
「これが天才と言われる人物の撮影した写真か…皮肉にも怪しいスタートで」
独り言も大きくなる。
もっといい写真を沢山撮ってもらいたかった。
突然、電話が鳴る。
「はい?」
非通知の着信だ。
「どうなの?」
「え?誰ですか?」
「諦めるんだね…」
諦めるとは?
「間違ってんじゃないですか?」
「諦めるんだね…」
間髪入れずに同じ言葉を繰り返してくる。理由のわからない間違い電話か。
「切りますよ?」
間が空き、相手はさらに続ける。
「応援しようと思ったのに」
厄介なファンか…
「あの〜、電話は」
一方的に切られた。
何の電話かは全くわからないが、最後の言葉を聞く限り、ファンなのかもしれない。
だとすると、「諦める」とは?
あのフライングに関する抗議だろうか。
もう抗議をすることは無いだろう。
公式写真も出て、公式な判定も出て、実際に出場停止期間もほぼほぼ過ごしている。
特に大きなレースならまだしも、地元の普通の一般戦だった。
こんなところで必要以上に揉めたくはない。
ただ、モヤモヤが残ることも事実ではあるが…




