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完全な一本釣りをされてしまったので、物販で高原ちゃんのアクリルスタンドが出るまで、何度もくじ引きガチャを回すことになった。
帰宅後は、机の上にある高原ちゃんのアクリルスタンドを眺めながら、現実逃避をしていた。
次の日、布団に横になったまま、少し申し訳なさそうな声を使いながら、支部に電話を折り返す。
「おはようございます。葉山です。昨日はマッサージ中で、電話に出られず申し訳ないです」
珍しく事務員さんではなく、副競技委員長の岡本さんが直接電話口に出た。
「葉山さん、トークショー、コマーシャルのオファーがあります。あとは、近隣の清掃活動ボランティアの日程が出てます」
驚いた。こんな自分レベルの選手にも様々なオファーが来ているなんて。
清掃活動だけだと思っていたが、レジェンド選手のトークショーのオマケ扱いのトークショー、一瞬だけ映るチョイ役のコマーシャルなど、自分には贅沢すぎる気がしてならない。
しかもギャラの話をすると、普通に1ヶ月レースに参加するのとたいして変わらない。
いや、少しプラスになるくらいの話だ。
「一旦考えさせていただきます、というのが普通かもしれませんが、ありがたく全部受けさせていただきます」
もはや即答するしかない。
気がつくと布団にきっちり座り直している自分がいる。
「ただひとつ、条件がありまして…」
条件?
「条件とは…?」
「フライング休み中ですので、はしゃいで目立たないように…」
もはや、当たり前のことだ。
「フライングしたけど、いろんな仕事で儲かったぜ」なんてSNSに書くバカではない。
「もともとゆっくりするつもりでしたし、僕のミスなんで。反省しかないですよ。」
「それではよろしくおねがいします」
突然だが、予定が埋まる事になった。




