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スタート 0.3  作者: プーリ
偽証
18/53

18

 スマホには支部からの着信がある。今、出てしまうと呼び出される可能性もある。

 マッサージ中ということにしよう。

 それにしてもストフラのライブは最高に盛り上がった。

 やはり新曲が週間1位を記録したこともあり、メンバーもファンの熱量もすごい。

 このまま年末のあの歌番組まで一直線な気がする。

「こんな小さなホールでは最後だろうな」

「だよな。もう次はドームだよ」

 横にいるファンの会話に、自分も小さく頷く。

 地元のショッピングセンターの小さなステージで歌っていたのが嘘のようだ。

 買い物ついでに見たストフラにビビっと来てからは、趣味も特になかった自分はストフラ一筋だ。

 ライブ後、お見送り会がある。

 机越しにメンバーと少し会話ができる。

「おつかれさま」と、何を話そうか。

 一言目は、「1位おめでとう」のほうがいいか。

 でもやっぱり、センターが取れなかった高原ちゃんに、おめでとうは違うのか…

 いろいろなことを考えながら、列に並んでいく。

「おつかれさま」「ダンスうまいね」「この前のテレビの投げキス良かったよ」他のメンバーにも声を掛けていく。

 いよいよ高原ちゃんの番だ。

「おつかれさま」

「モンキーターン!」

 まさかのボートレース話題に、目が点になる。

「調べたの?」

「青井選手かっこいいよね」

 眉間にシワをよせる自分に高原ちゃんは間髪入れずに、人差し指を上に出しながらつぶやく。

「でも私は、葉山選手が一番好きだな」

 アイドル用語の「釣る」とは、まさにこういうことだ。

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