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クビからギリギリ助かるやつ、初優勝に手が届きそうなやつ…引退の危機に一気に陥るやつ…
宿舎に戻っても、なかなかいつもの調子やテンションには戻らない。
テレビで見るバラエティも今日はいらない。
テレビの向こうの客席の笑い声が、自分を笑っているように聞こえるほどだ。
目を閉じれば明日になる。
だが、なかなか寝付けない。
そんな中、テレビを見ていると、深夜の音楽番組にストフラが出てきた。
こういうときに限って、初披露の新曲が失恋ソングだ。
高原ちゃんも頭を抱えながら「なぜなぜ」と歌っている。
自分の心の中も「なぜなぜ」で埋まっていく。
朝になり、青井が起こしに来た。
「なぜなぜ、腹が減るのは〜」
自分の部屋に入るなり、早速昨日のストフラの新曲を替え歌で歌っている。
さすがの天才若手選手でも初優勝がかかった前日は眠れないんだなと思うと、替え歌ではなく、心情を察して笑ってしまう。
「ははは、食堂行こうか」
いつものルーティンで朝ご飯を食べ、レース場へ向かう。
今日は最終日だ。
レースが終われば家へ帰れる。
早くビールが飲みたい。
フライングをしたからSNSは見たくないかな。
それでも高原ちゃんのSNSはチェックしたいから、見るしかない。
「あの〜、おはようございます」
「昨日はごめんなさいね、気分的にね」
朝は記者への謝罪から始まる。
「あ、あの〜」
新人記者が話してくる。




