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スタート 0.3  作者: プーリ
疑惑
13/53

13

 目や頭に異常……?

 そんなことは考えたくない。

 選手登録更新の時に行われる健康診断は毎年無事に合格している。

 もし目や脳に異常があれば、もちろん選手は続けられない。

 中川さんより早く引退することになる。

「葉山さん…あの〜…」

 記者が近寄ってくる。

「申し訳ない。いまはそれだけ」

「返還金額も……」

「申し訳ない。以上」

「すいません、ありがとうございます」

 勝利者インタビューの天国さに比べると、迷惑をかけたフライング後のインタビューは、本当の地獄だ。

 記者には申し訳ないが、適当に謝っておいてほしいくらいだ。

 もう一度リプレイを見ようとすると、中川さんの勝利者インタビューが流れてきた。

「最初から葉山くんマークで。ほとんど想定どおりだね。予定通り。」

 笑顔は無いが、まっすぐに答えている。

「勝利は皆様のおかげです。ありがとう」

 いろんな意味で逆転されてしまった。

「中川のオッサン、早くなかった?」

 橋野が声を掛けてくれた。

「な?クビかかってんのに、前に来すぎよな?」

 悪態ではないが、愚痴もこぼしたくなる。

 もはや、明日の最終日に開催されるレースを待たずして、気持ち的には限界に近いものがある。

「お疲れ様でございまする」

 青井が本当にいい距離感でふざけてくる。

「おめでとう。お前は2着だから、明日の優勝戦に乗れるし良かったな。中川なんか、お前の初優勝で引導を渡してやれよ。世代交代だな。」

「ういっす!!」

 もうやけくそに近い感情だが、こうなると青井の初優勝を応援するしかない。

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