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目や頭に異常……?
そんなことは考えたくない。
選手登録更新の時に行われる健康診断は毎年無事に合格している。
もし目や脳に異常があれば、もちろん選手は続けられない。
中川さんより早く引退することになる。
「葉山さん…あの〜…」
記者が近寄ってくる。
「申し訳ない。いまはそれだけ」
「返還金額も……」
「申し訳ない。以上」
「すいません、ありがとうございます」
勝利者インタビューの天国さに比べると、迷惑をかけたフライング後のインタビューは、本当の地獄だ。
記者には申し訳ないが、適当に謝っておいてほしいくらいだ。
もう一度リプレイを見ようとすると、中川さんの勝利者インタビューが流れてきた。
「最初から葉山くんマークで。ほとんど想定どおりだね。予定通り。」
笑顔は無いが、まっすぐに答えている。
「勝利は皆様のおかげです。ありがとう」
いろんな意味で逆転されてしまった。
「中川のオッサン、早くなかった?」
橋野が声を掛けてくれた。
「な?クビかかってんのに、前に来すぎよな?」
悪態ではないが、愚痴もこぼしたくなる。
もはや、明日の最終日に開催されるレースを待たずして、気持ち的には限界に近いものがある。
「お疲れ様でございまする」
青井が本当にいい距離感でふざけてくる。
「おめでとう。お前は2着だから、明日の優勝戦に乗れるし良かったな。中川なんか、お前の初優勝で引導を渡してやれよ。世代交代だな。」
「ういっす!!」
もうやけくそに近い感情だが、こうなると青井の初優勝を応援するしかない。




