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実況アナウンサーも、スタートライン通過後「これは少し早いスタートかもしれません……皆様、舟券は大切にお持ちください」と、すかさずアナウンスしている。
ということは、誰の目にも明らかなレベルだったのか…
ターンマークを回った後、失格が確定し、「1号艇の葉山がフライング失格、1号艇の葉山がフライング失格」と早口のようにアナウンスが流れている。
反省文はすぐに書き終わった。
こんなところで、時間を使っている場合ではない。
やるせなさ、もどかしさ、違和感、書いた反省文をすぐに遠藤競技委員長に渡した。
「確かに受け取った。奉仕活動で、ボランティアでもしてもらおうか」
ボランティアとは近隣の清掃活動だ。
「わかりました」
「何か他、言うことはあるか?」
「ありません。申し訳無さでいっぱいです。失礼しました」
言いたいことは本当は、たくさんある。
絶対に中川さんのほうが先にいた。自分だけ失格はありえない。
もしかすると、日よけのヘルメットシールドが歪んでいるなんてことはないよな。なんて思うようになった。
それなら、ヘルメットから見える世界が間違っている。納得はいく。
「福田、片付けありがとな」
「大丈夫っすよ。フライングっすね…」
「あぁ、ちょっと確認してくれ」
そう言いながら福田にヘルメットを渡す。
「何するんすか?」
「シールド、歪んでない?」
福田がヘルメットを被り、指を動かしたり、物を取ったり、定規とにらめっこしてくれる。
「大丈夫そうっすね…」
「ありがと」
ヘルメットは何も異常はなしと…
少し不安がよぎる。




