~・~ 9 (3) ~・~
タネが出来た。あとは焼くだけだ…疲れたぁ…
「お疲れ様。ありがとうね」
「朔座ってな!コーヒー入れるよ!」
「ありがとう」
座れてもまだ色々残ってる。まずプレートを書かなければならない。誕生日おめでとうって書けば良いか。名前入れる?漢字が微妙だから良いや。
「謙斗。お湯ちょっと貰ってくね」
コップにお湯を入れてチョコペンを溶かす。
上手く書けるかな…元々字も汚いわけではないけど綺麗ではないからな…習字習ってないし。
あ、溶けた。一旦お皿で練習するか。
「…やったことないんじゃなかったの?」
我ながら上手くいった。正直自分でも驚いている。まさか出来るとは…こうゆうのって苦戦して大変なことになるものじゃないの?
「もう本番やったら?」
「なんて書くの?誕生日おめでとうだけで良い?」
「…景くん♡お誕生日おめでとう♡で良いんじゃない?」
「☆でも良いかもね」
☆だろうが♡だろうが難しい事には変わらない。文字が書けたとしても♡と☆が書けるとは思えない…
試しに書いてみたらやはり不恰好だった。左右対称じゃない。いや、でも塗りつぶしたらいけるか?
「さすがに難しいからやめていい?」
「良いよ。てか、本当にやったら景が怒る」
怒るかな?怒りはしないと思う。不機嫌になるだけ。
よし。一発勝負。
「待って。景の漢字って…」
「景色の景だよ」
日に京だよね。危ない。圭にするところだった。漢字間違えるのは失礼すぎる…
よし。今度こそ書くぞ。
人生で一番神経を使いながら書いた。
「…どう?」
「え、うま!習字やってたの?」
「授業でやった事ある程度」
ふぅ…我ながら上手くいった。あとは冷蔵庫に入れて固めるだけ。良かった〜失敗しなくて。
「はい。コーヒー」
「ありがとう」
え、氷入ってる。なんで知ってるんだ?僕がコーヒーを飲む時はいつも氷入れて冷やしてるって…
「割とみんな知ってるよ?朔が熱いコーヒーは飲まないこと」
「なんで?僕コーヒー滅多に飲まないのに」
「この前コーヒー作ってた時に氷入れてたの見たからね。朔の事知りたいから観察してた時に見つけたんだ」
いつの間に観察してたの?てか、良く見つけたな…
一口飲んだらミルクも砂糖も入ってなかった。なんでここまで知ってるのか。
「完璧でしょ?」
「うん。すごいね」
ここまで把握するとは…どれほど僕を観察していたのか…
「あ、俺も一つ朔の事分かるよ。朔はね細かい作業が苦手なのに包丁でにんじんを花形に切る事が出来る」
「え、そうなの?」
なんでこの人は僕が花形に切った事あるのを知ってるのか…一回しかやった事ないのに。
「この前ね朔がカレーの具材を切ってる時にやってた」
「確かにちょっと遊んだけど、そこも見られてたとは……」
どうせ溶けて原型留めないだろって思って一つだけ花形に切った。なんか謎に今なら出来るのではって思ってやったら出来たんだよね…
「朔も遊ぶんだね」
「遊ぶよ。僕だって」
小さい頃は積もった雪で雪だるま作ったりしたし。雪うさぎも作ったな…
「ゲームとかはするの?」
「まぁ……ちょっとだけ」
「え、!?するの!?」
「飛行機の間とか暇だし、普段も疲れた時にちょっとだけね」
「どんなゲーム?」
「アクションゲームとかシューティングゲームとか?」
「じゃあ今度勝負しよ!」
「良いよ」
謙斗はどれくらい強いんだろう…あんまり弱くないと良いな。
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料理が全て完成した後、みとと合流して景の帰りを待っている。
もう事務所から出たみたいだし。そろそろかな。
ガチャ
あ、帰ってきた。
「あ?誰もいねぇのかよ」
そう言って扉を開けた瞬間。明かりをつけてクラッカーの紐を引っ張った。
パッパーン
「「「「お誕生日おめでと〜!!」」」」
景が驚いた顔して固まっていた。毎年これやってたんじゃないの?
「さて景!景にはなんと宝探ししてもらいます!」
「は、は?宝探し?」
「僕たち4人のプレゼントがリビングに隠されてるよ!さて、スタ〜ト〜!」
「はぁ?そのまま手渡しでやれよ」
そう言いつつ辺りを見渡す景。まずは手を洗おう。探すのはそこからだ。
「椅子にはねぇな」
「あ、キッチンにはないから探さないでね〜」
景がソファのクッションを捲った。そこはやはり簡単なんだなぁ。
「あ、あった。これで後3つか?」
景が次に向かったのはテレビだった。裏を確認したらテレビ台の中を漁ったり。その結果、晴信のプレゼントが見つかった。
あとは僕のとみとだけだ。僕のはともかくみとのは見つかるかな?ヒント貰わないと見つからないかもしれない。
「あとどこだよ。隠せるようなとこもうねぇだろ」
そう言いつつリビングの端にある観葉植物をどかしたりしている。勘が鋭いな。
「ここにはねぇ……あ、あった」
あぁ…そのまま見つからずにスルーしてくれれば良かったのに…
「あと一つどこだよ。キッチンはねぇんだろ?」
ソファの下を見たりカーペットを捲ったり色々してるけど全部違う。見てる側は面白いな。
「はぁ?どこだよ」
「ヒントいる?」
「いる」
「ヒントはねぇ〜俺らだよ」
もうそれ答えでは?答え言っちゃったじゃん。
「はぁ?お前らが持ってるのか?」
そう言って俺らの周りを一周した。回っただけじゃ見えないかな?
「……あ、分かった」
景が僕の後ろに回ってフードを引っ張った。おかげで首が絞まりかけたよ。それにいきなり引っ張らないで欲しい。
「あ、あった」
「流石に大ヒントすぎた?」
「すぎたね」
「いや分かるか!」
「とりあえず全部発見!て事でご飯食べよ〜!」
さて運ぶか。ハンバーグが乗ったお皿とお米。ミネストローネが入った器を運んだ。結構豪華な夜ご飯だと思う。
「これ朔が作ったのか?」
「うん。景がハンバーグ好きみたいだから作ったよ」
定位置に座って食べ始めた。切って口に入れた瞬間肉汁が溢れ出した。これは大成功だ。
「うっま!何これ。美味すぎだろ」
「口が肉汁でいっぱいになるねこれ」
「ソースも美味しいし野菜も甘い」
喜んでもらえて良かった〜頑張って作った甲斐があったな〜
「朔もどう?初ハンバーグは」
「美味しいよ」
「お前ハンバーグも食った事ねぇのかよ…」
「うん。作った事ならあるけどね」
「なんで作った事あって食べてないの…」
なんでだろうね。多分、肉の塊だから太る的な事言われて食べさせて貰えなかったんだろうね。
「まぁ今食べれたから良いかな」
「話変わるけどよくこんなに風船膨らましたよね」
「全部朔が膨らました」
「貼るのが追いつかないくらい速いんだよ」
「二息もあれば膨らむの。しかも結ぶのも速いから大量に風船が溜まってくんだよね」
「膨らますやつ使わないかったの?」
「朔がこっちの方が楽って」
「10回くらいやるよりは2回で済む方が良いじゃん」
「酸欠になるだろ」
「ならないよ」
こんなんで酸欠になってたらまともに滑れない、動けないから。




