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~・~ 8 (4) ~・~


『これにて午前の部を終了いたします!』


「このままいけば赤団勝てんじゃね!?」


騎馬戦は赤団が1位で終わりその後にやった棒引きでは2位だった。午後はムカデ競走とリレーとなんだっけ。覚えてないや。


「でもリレーの配点でかいからな〜リレーでビリ続出だったら逆転されるかも」


「足速い人で固めたからなんとかなるでしょ」


「朔も確か補欠だから出るんだよね?」


「まぁ、うん」


納得がいっていないがそうだね。陸上の補欠に選ばれちゃったからね……


「マジで朔足速いよな〜」


「氷の上だったらどんだけ速いんだろうね」


「50m5秒くらいで走るんじゃね?」


「100m何秒で走ったんだっけ?11秒?」


「11秒後半くらいじゃね?」


「12秒はいってなかったよな」


いってなかったんだっけ。よく覚えてないや。でも、そんなに遅くなかったような気がする。クラスで8番目に速かったんだっけ。


「マジであの時の朔速かったよな〜スタートダッシュがえぐかった」


「サッカーのやつ置いてってたよな」


「陸VS氷で俺ら白熱してたよな」


「ジュース賭けたりしてな」


「みんな朔に賭けて賭けにならなかったりな」


…平和な賭けだな。ていうか本人の知らないところで勝手に賭けるなよ。せめて本人に知らせてよ。


「つうか朔はなにそれ。それだけで足りるの?」


謙斗とみとに念を押されに押されて押し負けて持ってきたチョコを食べていた。


「カロリーはあるから大丈夫だよ」


「…また、俺r「ミニお弁当はいらないよ」


鞄からラムネと塩分チャージを出して食べる。流石に持ってきたものはチョコだけじゃない。なんならチョコは持たされたものだ。持ってくる気はなかった。


「お菓子ばっか食ってねぇでちゃんと食え!」


手に卵焼きを乗せられた。返すわけにもいかないよな…


「そんなんで栄養足りるわけないでしょ!ちゃんと考えろ!」


「朝と夜はちゃんと食べてるよ。今日も食パン食べたし」


「昼も食え!食パン食え!それともなんだ?好き嫌い多いのか?」


「いやなんでも食べる」


迫力と圧がすごいな。どうやったらそんなに出るのか。


「なら食え!昼抜かしてたら健康に悪いぞ!大きくなれないぞ!」


「別に僕健康だし裕樹より身長大きいよ」


……どうしよう。言うべきか言わないべきか。今は周りに人がいない学園の端にいるから誰にも聞かれない。


でも、これを話したくない。話さずに納得させる方法はないのかな。


「でも、その細さは危ないよ。健康に悪い細さ。朔はその体型で良いの?」


……ここは良いわけがないって言うのが正解なんだろうか。でも、僕にはもう分からない。僕自身この体型をなんと思ってるのか分からない。細いと思ってるのか細くないと思っているのか。


「良いか悪いか分からない。でも、これ以上痩せたらジャンプが跳べなくなるから痩せはしない。でも太りもしない」


「…朔って多分俺らが思ってるよりがっしりしてると思う。引き締まってるんだよ。ただ、脂肪がない」


黙っていた陽太朗がいきなり口を開いた。


脂肪はあるし。ない人なんていないから。スポーツ選手の平均くらいはあると思う。


「まぁそりゃーあんなに跳んでたら筋肉つくだろうけど朔は食べなさすぎる。食べずに筋トレするのは体に悪いんだぞ」


「だからせめてお菓子じゃなくい別のものでカロリー摂取しよ?」


「……検討しておく」


「それ食わねぇやつじゃね?」


そんな事ないかもしれない。もしかすると気が変わって食べるかもしれない。もしかするとね。


「まぁ一歩前進という事で」


そこからは他愛もない会話をしてテントに戻ってきた。グラウンドではポンポンを持った女子が踊っていた。チアリーダーかな?


というか思ったんだけど服の露出高くないか?ダンスをするにしてはスカートが短すぎるし袖はないしお腹も出てる。肌色の布は貼り付けた方が良かったんじゃない?


「これなんの曲?」


「なんか今流行ってるアイドル曲だった気がする」


「そうだっけ?これ1年前じゃない?」


「3年前くらいに流行ってたやつだと思う」


「あ、それだ!つうかなんで朔知ってんだ?」


「リンクに流れてたから」


僕が元々いたリンクは流行りの曲が毎日流れていた。だから自然と覚えちゃったんだよね。


「へぇ〜リンクってスケート場のこと?」


「うん」


リンクって言っても伝わらないのかな。スケート場って言った方が分かりやすい?


「じゃあこの際朔に質問!地味に気になってたんだけど朔の靴って黒だよね?なんで白じゃないの?」


この際の使い方違う気がする。別に僕にフィギュアの事について質問する流れではなかったでしょ。別に良いけど。


「黒の方がかっこいいから」


「え、それだけ?」


「うん」


別に黒の方が性能が良いとか刃が鋭いとかそうゆう違いがあるわけではない。ただなんとなく黒の方がかっこいいから黒なだけ。それ以外の理由はない。


「だってみんなはラケットの色なんとなくで選ぶでしょ?」


「まぁそうだね。特に拘りはないかな」


「それと同じだよ」


「じゃあどこに拘るんだ?」


「やっぱり技とか演技の完成度かな」


「衣装とか髪型とかは?」


「衣装…は拘りづらいないかな。僕が作るわけじゃないし。それに髪型も女子とは違うから大体同じような髪型になるかな」


衣装に関しては絶対僕よりみとの方が拘ってる。自分が着るわけじゃないのに。僕の要望は花と葉を縫い付けるだけだったのに今じゃなんか勝手に付け加えられてる。別に良いけどね。


「どんな髪型にするの?」


「一つにまとめたりハーフアップだったりかな」


「前髪は?オールバック?」


「か、センター分けとか七三分けとかかな。まぁ前髪はいろいろいじったりするよ」


「顔見られるけど良いの?」


「仕方ないからね。優勝するためだと思えばなんとも」


大会の時は顔を見られる事を気にしてる場合じゃないし。見られても影で何か言われてるだけだし。たまに面と向かって言ってくるやついるけど。


「なんで大会は良くて僕らはダメなんだ。不公平だ!」

 

そう言われてもなぁ…大会でもセットしなくて良いならしないんだけどね。


「裕樹たちがダメって訳じゃない。僕はどんな人にも出来る限り見せないよ」


「…俺らもフィギュアスケートやってたら見れたのかな」


「俺出来る気がしない」


「奇遇だね。俺もだよ」


「ねぇ俺ら朔の大会に行けば見れるんじゃない?」


「…陽太朗天才か。そうじゃん。見に行けば良いんだ」


なにも良くない。天才じゃないよ。なんで来るの。関係者枠で入れないんだよ?チケット取らなきゃいけないんだぞ。なんでそこにお金を使うのか。テニス関係で使いなよ。


「…わざわざトルコまで来るの?」


「え、トルコ?」


「飛行機代、宿泊代、チケット代、合計でいくらかかるんだろうね?」


「……ちょっと親と要相談かもしれない」


「10万くらいあれば大丈夫かな…」


他人に10万かけるなよ。そのお金でラケット何本買えるのか。15本くらい買えるのでは?靴ももっと良いやつ買えるよ。


「次に近くてどこ?」


「ポーランド」


「なんでさっきから海外ばっかなんだよ!日本ではやらねぇのか!?」


声がでかい。そんな声を張らなくても聞こえるよ。ちょっとは声量考えて。


「全日本ジュニアはあるよ。でもそれ11月だよ」


「……フィギュアスケート全く分からねぇ」


「じゃあトルコはいつなの?」


「9月」


「まだまだ先じゃん」


まだ先とは言ってもチケットの販売はそろそろじゃなかったかな。違うっけ?気にした事ないから忘れたな…


「多分トルコまでは行けないな。練習もあるしお金もたくさんかかるし」


来ようとしなくて良いんだよ。トルコまで行くほどフィギュアが好きなわけでもないでしょ。僕の顔を見たいだけなら日本で良い。てか、見せるつもりないけどね。


「まぁ朔が見せてくれるのを気長に待つか」


「そうだね。無理矢理見るのは良くないよね」


「俺らはいつでも歓迎してるからな」


多分一生見せる事はないだろうな。いや、一生は言い過ぎか。学生の間は見せないと思う。まぁ気が変わったら見せるかもね。


「あ、始めるから見に行かなきゃ」


「朔も応援しに行くぞ!」


テントの外に出たくないけど仕方ないか…リレーまでは応援しよう。声はあんまり出さないけど。


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