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晴信side
朔滑りに行っちゃった。滑ってるだけでも様になるって凄いな〜
「朔に嫌いな食べ物あるの驚いたね」
「あいつも人間なんだな」
「ね。やっと人間味を感じたよ」
朔は隙を見せないから人間って感じがしないんだよね。座る時も胡座とかかかないし感情の起伏がないし。
「あいつ多分なんかあるよな」
「多分じゃなくて確実にね」
言い方悪いけど訳ありの子だよ。食べた事ない食べ物も多すぎるし常に隙を見せない事に慣れすぎてる。それが当たり前のようにも感じる。
「朔は全然俺らを頼ってくれないよね」
そんなに俺らは頼らないかな。確かに料理は出来ないけど共感とか寄り添うことは普通にできる。
「それに1人で東京に来て慣れない土地で高校生活を始めるって大変だし怖いよね」
「しかも小中高一貫のな」
「うわ辛い」
小中高一貫の高校に転入か…上京して来たって言ってたから地方でしょ?方言とかはないから関西じゃない。中部とか東北のほうかな?
「朔は1人で寂しくないのかな?」
「慣れたっつってたけど慣れるもんじゃねぇと思う」
「心は悲鳴上げてないのかな」
「さぁ?それはあいつしか知らねぇよ」
「朔に憑依したらどうなるんだろう」
「常人ではない何かが手に入りそうだな」
確かに。朔って何かと人間じゃないところがあるからなぁ。何かしら人間を超えたものを持ってそうだよね。
「一回で良いから朔が滑ってるスピードを体験したいよね」
「頼んだら出来んじゃね?」
「え、出来るかな。流石に無理じゃない?俺滑れないし靴持ってないし」
「借りれるぞ」
「先生の許可があればね?」
スケート靴は学校の備品だから勝手に借りる事は出来ないよ。仮に借りれたとしてもあのスピードに耐えられるバランスとか体幹とか色々足りない。
「あいつにおぶってもらえば?」
「俺重いから無理でしょ」
でも、おもり3つ軽々と持ってたからな…わんちゃんいける?いや、それで怪我したらダメだから辞めよう。
「お前で重いとか喧嘩売ってるようにしか見えねぇな」
「いやいや俺60あるんだよ?」
「俺もそんくらいだからお前が重いなら俺も重いな」
「いや身長が違うからね?」
「誤差だろ」
「3センチは誤差じゃないよ?」
「てか身長ならあいつに負けてる事が気にくわねぇ」
「それこそ誤差でしょ」
そんな大差ないよ。よーく見れば朔の方が高いけど普通に見れば変わらない。
「負けてるっていう事実が嫌なんだよ」
「俺より高いんだから良いじゃん」
「良くねぇ」
「じゃあ頑張って伸びな」
「あいつ成長期終わったのか?」
「これからだったりして」
流石にないか?これからだったら190いっちゃうか。
「流石にねぇだろ。伸びて180後半だな」
「今後伸びる予定は?」
「まだ希望はある」
希望がある程度か。じゃあ数センチしか伸びないな。
「朔に差つけられないようにしなきゃね」
「あれ絶対180いくよな。俺180いけるかな」
「僕は今のままで十分だけどね」
うっわビックリした。急に側面に立たないでほしい。心臓に悪い。
「あ、朔。お前晴信おぶれるか?」
「おぶれると思うけどなんで?」
「こいつがお前の滑ってるスピード体験したいんだとよ」
「……良いけど靴脱いでね」
「いや、怪我したら危ないし良いよ」
「晴信くらい持てる」
えぇ…?本当に怪我しないのかな?無理してない?
「なら、お願いします」
「ならこっち来て」
うわ〜なんか緊張する…氷の上に乗るの初めてだ。厳密には乗ってないけど。
なんかスケート靴の刃についてるケース?みたいなの外してた。それなんだろう。
「エッジケースだよ」
「え、あ、そうなんだ」
言ってないのに…目線でバレたかな?
朔って細いイメージがあったんだけど乗ったら分かった。朔は意外とがっしりしてる。でも、骨。
「じゃあいくよ」
朔が氷の上を滑り出した。ジェットコースターに乗ってる気分。あと、遠心力が凄い。気をつけてないと吹っ飛ぶ。
「うわ!」
朔が急に回った。一回転だったけどさっさと遠心力が比にならない。本当に吹っ飛ばされるかと思った。急いで朔の体にしがみついた。
氷を何周かしたら入り口に下ろされた。
「どうだった?」
「風が気持ちかったけど遠心力で何回か吹っ飛びそうになった」
「今回は一回転だったけど本来最低でも3回転するからね。遠心力さらにかかるよ」
「あんなに遠心力かかってるのに朔は吹っ飛ばされないとか凄すぎでしょ」
朔が凄いのは分かってたけど身をもって体験するとやっぱ全然違う。
「景もやる?」
「やってみなよ。遠心力半端ないから」
「はぁあ?なんで俺が」
結局景も体験する事に。外から見ると普段の朔よりはちょっとスピード出てない事が分かった。なら普段の朔はどんだけ速いのか。
「うっわ…マジで遠心力半端ねぇじゃん。風も冷てぇし。冬とか地獄だな」
「本当に分かる」
「あと、ジェットコースター乗ってる気分みてぇ」
「ジェットコースターはもっと速いでしょ」
「朔乗った事あるの?」
「ない」
ないのにジェットコースターと比べたの?てか、なんで未経験なの。誰しもが乗ったことあるって思ってたんだけど。
「遊園地は行ったことあんのか?」
「ない」
まさか遊園地未体験。遊園地がないほどの田舎に住んでたのかな?山の中とか。
「…お前どこなら言った事あんだよ」
「……魚市場とか水族館とかかな。あ、硝子工房みたいなところにも行った事あるよ」
絶対学校の修学旅行だよね。家族旅行で魚市場とか行かないでしょ。それとも地方だったら普通なのかな。
「後は…外国ならあっちこっち観光した事あるよ」
なんで遊園地なくて外国はあるんだよ。普通逆だと思うんだけど。
「自由の女神見た事あるしマーライオンもあるよ。ロンドンとかパリとかニューヨークとかも行った事あるし北京とかもあるね。今年はトルコとポーランドにも行く予定だし」
朔は楽しそうに話した。朔の中で凄い楽しかった思い出なんだろうね。話を聞いてると朔は外国を制覇でもするのってくらい外国に行ってた。スケートってそんな外国あっちこっち行くの?お金大変な事にならないのかな。
てか、外国にそんだけ行ってるなら上京してくる事にそんな抵抗感ないか。慣れない土地に行きまくってるし。
「だから意外と旅行は充実してるよ」
「…外国行く前に日本を旅行しよう。温泉とかは行った事あるの?」
「ない」
本当になんでないの。不思議でしょうがないんだけど。
「お前は外国行く前に日本を観光しろ」
「そんな時間あるかな」
「作るんだよ」
俺らも作って朔をどこかに連れて行こう。これは後でみんなに相談して行き先決めるか。夏休みならなんとかなるでしょ。
「夏休みとか時間あんだろ」
「夏休みこそバタバタだよ。7月から合宿あるし9月から大会とかであっちこっち行くから」
8月まるまる空いてるじゃん。
「…三日くらい休んでもなんとかなるだろ」
「お盆とかなら多分スケート場空いてないだろうからその時行こ?」
「でもみんな仕事があるでしょ」
「高校生の仕事量なんてそんなねぇよ」
「俺らの所属してる事務所は学生のうちは青春楽しめって感じで緩いから全然休み取れるよ」
そう言っても朔の顔は常に真顔だけどさらに真顔になった。しかも不服オーラを漂わせながら。
朔って分かりにくいけど分かりやすいよね。表情全然動かないけどオーラとか雰囲気とかでなんとなく分かる。オーラが何もない時は何考えてるか分からないけど。
「……みんなの休日はみんなの好きなように使うべきだよ」
「だからみんな好きなように使うよ?その一つがみんなで旅行なだけで」
「……そんなたくさんは行けないからね」
「分かってるよ」
よし。朔の説得完了。後はみんなに相談して行く場所決めるだけ。楽しみ一つ増えたな。




