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~・~ 5 (2) ~・~

「つっかれた〜」


「お疲れ」


「いや〜朔ありがとうね。助かったよ」


「お礼言われるほどの事はしてないよ」


あれから結局3時間くらい経って午前は終わってしまった。まぁ午後に陸トレやれば問題ないけど。


「俺らに付き合わせちゃったけどやる事とかなかった?大丈夫?」


「いつでも出来るものなので問題ないよ」


「ないとは言わないんだ…」


やりたい事があったのは事実だからね。嘘はつかない。


そろそろお昼作らなきゃな。何かあったっけ。うどんがあるな。冷たいうどんでも作るかな。


「朔。悪いけど熱いもんなやめてくんね?」


「分かってるよ。冷たいうどん作る」


作るって言っても茹でるだけだけど。薄焼き卵でも作るかな。いや、大葉があるな。なら、大葉切るか。


「え、本当!?助かる〜」


「なら良かった」


「そういえば朔くんは何するつもりだったの?」


「陸トレです」


「それってどんなのするの?」


「主に体幹とバランス力を鍛えるね。後は軸を作る速さ、力とか」


「へぇ〜辛い?」


「辛い…のもありますね」


「例えば?」


例えば?え、なんて説明したら良いんだろう。スパイラル…ビールマンって言っても分からないと思うし……


「…バランスを取ること」


流石に大雑把すぎるか。でも、これ以外どう言えば良いんだ。


「今やってみてって言ったらできる?」


え、今?ちょっとここじゃ幅が狭い…し、火があるからな……


「ここではできないですね」


「こっち来たら?」


「そっちなら出来…いや、えぇ……」


今ストレッチしてないから固まってそう。いけるかな。


キッチンから離れてスパイラルの体勢を取る。手を使わずにできるアラベスクにした。


本当にキツい。綺麗に止まるのが本当に難しい。


「え、すご!じゃあこの前やってたやつやってよ!」


この前?メフィスト・ワルツの事?それなら、イナバウワーかな?


「これ?」


これくらいなら今でも出来る、と思う。綺麗に出来てるかな?もう少し反るっけ?


「背中ヤバ。海老くらい反ってるじゃん」


海老ってこっち側に反ってるんだっけ?方向逆じゃないか?いや、海老が反る方向はどの方面から見て決めるんだ?分からない。


とりあえず戻ってうどんを茹でよう。もうちょっとで沸騰しちゃう。


「スケートやる人ってやっぱ凄いね〜」


「スポーツ選手はみんな凄いんじゃない?」


「確かに」


「僕は4人とも十分凄いと思う」


「え、そう?」


「僕はカメラの前であんな風に笑えない」


まぁカメラじゃなくても笑えないんだけど。笑い方なんてとっくに忘れた。


「それに、ビルとかチラシとか雑誌に載るなんて凄い事だよ」


なかなか出来る事じゃない。相当有名にならないと載るなんて夢のまた夢。


「……朔も笑ってみたら?」


「……ニコォ」


踊ってる時の不気味な笑顔をする。楽しい笑い方は出来ないから僕が出来る笑い方をするしかない。


「……なんか、こう楽しく笑うというか」


「……ニコォ」


ダメだ。楽しく笑えない。どう笑うんだ?


10年以上の記憶を遡っているが一向に方法を思い出せない。


「……朔くんは好きな食べ物何〜?」


明らかに話逸らしたな。まぁ気まずい雰囲気だったから良かったけど質問が悪い。


僕は自分が好きな食べ物が分からない。全部同じだから。


「…ないね」


気まずい雰囲気再来。どうしよう。僕から質問するか。


「謙斗はあるの?」


「う〜ん…僕はパスタが好き!特にクリームパスタ!」


クリームパスタかぁ…あれ、僕食べた事ないのか。


「クリームパスタ……材料があれば作れるけど」


「え、作れるの?」


「うん」


クリームパスタだからクリームソース作ればいいだけじゃん。具は玉ねぎとかきのことか入れとけばいいでしょ。


「じゃあハンバーグとかも作れるの?」


「作れるよ」


ハンバーグ……って食べた事あったっけ。あったようなないような。あれ、作っただけなんだっけ。


「作れないのあるの?」


「ないと思う。レシピと材料があればなんでも作れると思うよ」


よく分かんないカンボジア料理とかナイジェリア料理とかじゃなければ。


「シチュー作れる?」


「作れるよ」


当たり前でしょ。カレー作れればシチュー作れるんだよ?ていうかハンバーグ作れてシチュー作れない人いないでしょ。


「はい。うどんできたよ」


麺つゆを四つ作って食卓に並べる。大葉も運んだら終わりかな?


「食器はいつも通り洗っといてくれると助かる」


「え、朔は食べないの?」


「僕はいつもお昼は食べないですよ」


あ、そっか。休日みんないないから知らなかったのか。


「は?いつも?倒れるぞお前」


「栄養失調になっちゃうよ?ていうか、お昼食べてないのに朝と夜もちょっとしか食べてないの?」


「うん」


僕の中でそれが普通になったから逆にあれ以上食べれない。お昼も食べたら気持ち悪くなる。


「だからそんなに細いのか」


「見てて心配になる細さだなとは思ってたけどそうゆう事か。体質の前に食べてないんだね」


心配になる細さって……筋肉は十分あるから細くないと思うんだけどな。


「食べるの嫌いなの?」


嫌い……というより怖い。これを食べて太ったらと考えると怖くなる。


「嫌い…ではないよ」


「なら食べよ?」


「僕お昼食べると気持ち悪くなっちゃうから食べれない」


「でも、その細さはダメだよ」


「つうか、運動量と摂取量が割に合ってねぇよ」


「そうだよ。だから一杯でも良いから食べよ?」


……その一杯でも問題なんだよ。その一杯でもダメなんだよ。お昼に食べるのがダメ。1日で出来る限り摂取量を控えなきゃいけない。だから、お昼は食べるわけにはいかない。その一杯分の夜ご飯を減らさなきゃいけないから。


「…ごめんなさい。無理なものは無理なんだ」


そう言って部屋に戻った。


_____________________________________________



陸トレが一通り終わった。今はトレーニング後のストレッチをしている。


暑い。半袖のスポーツウェア着てるけど暑いのには変わりない。


まず、東京が暑いんだよ。もう半袖で過ごしたい。長袖の季節は終わった。冷房は早いけど長袖を着る寒さではない。なのに、みんな長袖を着ている。みんなは暑くないのかな。


「仰げるものあったかな」


バックの中から下敷きを取り出して仰ぐ。


涼しい〜あ、窓開けたら変わるかな。


窓を開けたらちょうど日が沈みそうだった。


空がオレンジに染まっている。綺麗だ。僕はこの青とオレンジのグラデーションが一番綺麗だと思う。


「あ、夜ご飯作らなきゃ」


面倒…でも、みんなのご飯係だから。みんなはちゃんと3食食べないと。


何作ろうかな。米を炊くとしておかずは……昨日は野菜炒めだったから肉焼いてだし巻き卵作るか。レタスあったっけ?あったらサラダも作ろう。


よし、作るのは決まったし下りるか。


パーカーに着替えたけどとても暑い。運動後に着るものじゃない。本当にやめよう。


スポーツウェアのままにする?いや、さすがに……


コンコンコン


?誰だろう。あ、危ね。前髪あげたままだった。


「はい」


「あ、朔!ちょっと来て!」


え、え?


腕を引っ張られて急いで下りる。何があったのか。


「蜘蛛!蜘蛛退治して!」


蜘蛛?え、どこ。いないよ?


「朔!そこ!」


指差した方向をよーく見たら小さい蜘蛛がいた。本当に小さい。こんな小さいので騒いでたの?


ティッシュで掴んで始末した。謙斗って虫苦手だったんだ。


「あ〜助かった〜本当にありがとう!」


「いえ」


もう戻って良いだろうか。着替えたいしお風呂入りたい。


「他の3人はどこに行ったの?」


「買い物〜」


買い物?何買うんだろう。日用品とか?


「じゃあお風呂入って良いですか?」


「良いよ〜」


お風呂入って汗を流そう。そんな時間かからないしお風呂上がってから作り始めても十分間に合う。


よし、さっさと準備して入ろう。

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