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~・~ 5 (1) ~・~

入学式から1ヶ月が経った。学園にも慣れてきた。


今日は土曜日だけど突然リンクが休館してるから何も出来ない。とはいえ、怠けて過ごすわけではない。


いつもより長めにランニングをする。


桜が綺麗だったところは今じゃすっかり緑色になった。緑は緑で十分綺麗だけどね。でもやっぱりピンクの方が好きだな。


朝だから涼しいのもあってジャンプを跳んだらどこからかシャッター音が聞こえた。


誰だろう。着地したと同時に当たりを見渡したらカメラを持った青年がいた。


見た事ある。同じクラスの……転校生。


櫻木さんだっけ。この辺に住んでたんだ。


ていうか気まずいな……挨拶する?


「……こ、こんにちは…」


「こんにちは!」


返してくれて良かった。無視されたらもっと気まずくなるところだった。


「ごめんね。勝手に撮っちゃって」


「構いません」


「神凪くんだよね?同じクラスの!」


「はい」


「俺同じ転校生の櫻木涼太!知ってるかな?」


「知ってますよ。番号一つ後ろの人ですよね」 


「そうそう!覚えててもらって良かった〜」


僕もよく覚えてたなと思った。興味がもう失せたから忘れてたかと思った。


「あ、撮った写真見る?」


どうせなら見せてもらうか。僕の写真だし見てもいいよね。


「見せて欲しいです」


多分だけどこのカメラ良いやつだよね。有名企業のロゴ入ってるし。


「これこれ!」


「…写真撮るの上手いんですね」


「趣味だからね!それに、神凪くんのスタイルが良いんだよ!身長高いし手足長いし!」


スタイル良いかな?まぁ身長は高いのかもしれないけど。


「ねぇねぇもう一枚撮って良い?」


「良いですけど」


「じゃあこっち来て!」


連れてこられたのは公園みたいなところだ。中心に大きい池があって葉がたくさん茂っている。


「ここでさこんな感じでジャンプできる?」


「こんな感じですか?」


軽くその場でジャンプした。上体を反らしながら片手を上に伸ばしてもう片方は抱えるような感じで前にもってくる。片足を後ろに伸ばして曲げてジャンプした。


フィギュアというよりバレエの動きみたいだ。空中姿勢を保つのもそうだし、この姿勢で高くジャンプして滞空時間を長くする……出来るけど難しいな。


「やっぱ難しいかな?」


「難しいですができますよ」


鍛え上げた体幹と柔軟性を使えば余裕まではいかないけど全然できる姿勢ではある。


「どれくらい跳んだ方がいいですか?」


「一番高く跳んでどれくらい?」


「あの木の枝に着くくらいですかね」


「え、そんな跳ぶの!?じゃあそこまでジャンプできる?」


「分かりました。助走付けていいですか?」


「全然いいよ」


少し離れたところから走り始めて思いっきり飛ぶ。運良く風が吹いて葉っぱがこっちに飛んできた。 


「え、凄いよ!凄いよ!」


着地したらはしゃいでる櫻木くんが駆け寄ってきた。勢いがとにかくすごかった。


「葉っぱがいい感じにマッチしてるよ!風を操る妖精みたい!」


「僕に妖精は似合わないと思います」


まぁ喜んでくれたなら良かった。枝が頭に刺さった甲斐があったよ。


「あ、この写真送るからさ連絡先交換しない?」


「分かりました」


東京に来てから一気に連絡先が増えた。多分この先も増えるんだろうな……。


「じゃあ後で送るわ!ありがとね!」


「こちらこそ」


そう言って別れた。人に写真を撮られるのは雑誌の撮影以来だから久しぶりだ。多分もうないけどたまになら良いのかもしれない。


_____________________________________________



帰ってきたらみんながいた。こんなことは初めてだ。みんな休日は仕事で朝からいなくなるから。あいや脳震盪起こした日はたまたまみとがいたな。


「おかえり〜」


「ただいま」


部屋に戻ってきた。特に何もする事がない。ご飯もまだ作る時間じゃないし…勉強もする事ないし……


陸トレでもするか?いや、今走ってきたばかりだからもうちょっと休もう。


「……メダル埃かぶってる」


大会で優勝したメダル達。実家に置いていくと確実に売られるから持ってきたんだった。初めて賞状を貰って見せたら裏紙にされた挙句捨てられた経験がある。だから、賞状も持ってきた。そしたら棚がほとんど埋まった。これから増える分も考えると配置をちゃんと考えた方がいいな。


懐かしいな…あの頃は本当に大変だった。精神的にも体力的にも。全部が辛くてフィギュアによく逃げてた。


「拭いてあげよ…」


ティッシュで空拭きした。あの輝きは今も健在していた。


「……今年も新しいメダル増やすから」


8月に控えている大会で絶対に優勝する。この棚をさらにメダルでいっぱいにしよう。


コンコンコン


誰だろう。


「はい」


ドアを開けたら晴信がいた。何か用かな。


「ちょっとリビングに来て」


リビング?何かあったの?そう思って行ったらみんなジャージに着ていた。家具は端に追いやられて広い空間ができていた。


「……運動でもするんですか?」


「2年生は来週にダンスのテストがあるんだよ」


へぇ〜だからみとは着てないのか。


「で、今からそれの練習するんだけどなんかアドバイス頂戴」


「……僕戻るね。頑張って」


「ちょちょちょ。戻らないで戻らないで」


絶対聞く人間違えてる。僕にダンスを聞かないで。ダンスの事何も知らないよ。


「アドバイスはみとだけで十分だと思う。素人の僕に聞いても意味ないと思うよ」


「素人じゃないでしょ!誰よりも踊ってるじゃん!」


「仮に素人だとしても素人の意見は聞きたいよ」


「……役に立たないかもしれないよ」


「それでも大丈夫だよ」


大丈夫なわけないでしょ。テストでしょ?ならちゃんとした人に聞かないと。


それに誰よりも"氷の上"で踊ってるだけで陸ではあまり踊ってない。


「じゃあ曲流すよ」


曲のテンポは踊りやすい速さだ。これならリズムに合わせれば…………


なんか、上手いけど動きがぎこちない。なんでだろう。体が硬いのかな。


「どう?振りは間違えてないと思うんだけど」


「…動きが硬いね。多分体が硬いからだよ。でも、みんな表情が良いと思う。そのイケメン顔を最大限いかせてると思う」


「表情は合格点…なら、後は動きか」


ダンスをやる上でも最低限の柔軟性はいると思う。毎日ストレッチした方が良いんじゃないかな?


「準備運動した?」


「したよ」


して、その硬さ?もうそれ多分準備運動になってないよ。僕がやってるストレッチ簡略化して教えてあげるか。体が硬いから無理のない範囲で。


「…じゃあ手を上に伸ばして組んでみて」


「こう?」


「そうそう」


例として謙斗の背中手をに置いてゆっくり腕を後ろに引っ張る。


「イタタタタ」


「ここで20秒キープね」


20秒数えた。これをやるだけでも違うはず。


「はい終わり。次は後ろで手組んで」


「は、はい」


そしてまた同じようにゆっくり上に上げていき痛いところで20秒止まる。


「終わり。腕回してみて」


「え、凄い!なんか引っかかりが小さくなった!」


「でしょ。ほら2人もやるよ」


他の2人もやった。同じ反応が返ってきたからこれからやる事もちゃんと効果が出るだろう。


さっき謙斗先にやったから次は景にするか。


「座って足伸ばして」


「は、?」


「良いから良いから。痛かったら絶対言うんだよ」


ゆっくり前に押した。痛いところで止まり20秒数える。これを後2人にも同じ事やる。


「最後だから頑張って」


机の上になぜかあった辞書を持ってくる。晴信にうつ伏せになるようにする。


「足片方だけ90°くらい開ける?」


「90°ならできるよ」


足の下に辞書を挟んで足を浮かせるようにする。腰が浮いてたから地面につくように押す。


「あ、ついた」


「イタイッ…」


………余裕ありそうだからもうちょっとやるかな。伸ばしてる足の方向を戻す。


「イッタッ!」


やめとこう。


「はい。終わり」


「ちょ、なにするの!」


「ごめん。余裕ありそうだからいけるかなって思って」


「ないよ!」


「もうやらないって。ほら反対の足」


「まだやるの!?」


「片方だけやったら偏りが出るでしょ」


晴信は右の方が柔らかいみたい。左はギリギリつかなかった。


健斗はまだ柔らかい方だったけど景がヤバかった。


「ッ…」


「まだ90°開いただけなんだけど」


「景は俺らの中で一番硬いんだよ」


なら足を曲げるか。


「どう?変わった?」


「少しだけッ…」


なら、曲げたままやるか。てか、これ辞書入れる前から浮いてるじゃん。それに腰曲がってるし。


「イ"ッ!」


「これくらいは頑張って」


流石に硬すぎでしょ。怪我するよ、これ。景って確かモデルでしょ?体柔らかい方がポーズのバリエーション増えるんじゃないの?


「はい。終わり」


もう片方も同じようにやり簡易的なストレッチは終わった。これで体のぎこちなさはなんとかなるはず。


「これで結構変わったと思う」


景が今痛みと格闘してるはず。その中ダンスやらせてもあまり意味ないからね。ちょっと待とう。


「みともやる?」


「やらない。痛いの嫌い」


でも怪我するよりは良くないか?まぁ本人が嫌がってるのにやらせるのは良くないか。


ていうか僕陸トレやりたかったのにな。まぁ午後にやれば良いか。今はこの人たちに時間をさこう。

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