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『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』  作者: サッサン
第7章:上書きされる日常

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第7章 第四話:放課後の相談会

授業が終わって、テニス部も生徒会の仕事もない日の放課後。

浩紀、杏奈、薫、沙織の四人は、週末にみんなでどこに行くのかを相談するため、駅前にあるショッピングモールへ向かっていた。

ちなみに言い出しっぺに太田は一度駅まで他の高校に通っている敦子を迎えに行ってから合流することになっている。


「敦子ちゃんに会うの、文化祭の時以来だね」


杏奈は久しぶりに敦子と会えることを楽しみにしていたが、その言葉を聞いた浩紀と沙織は、反射的に身を震わせた。

あの時、不慮の事故でキスをしてしまったことが杏奈にばれ、彼女が阿修羅のごとく、けれど静かに激怒した光景が、二人の脳裏に鮮明に蘇ったからだ。


「あの時は杏奈が切れててヤバかったのよね……」


「……悪かったわよ。でも私だってあの時浩紀が取られるって思ったら感情が抑えられなかったんだから仕方ないじゃない……」


そのやり取りを見ていた薫が杏奈に鋭い指摘をした。


「でもお姉ちゃんはあの後クリスマスの時に博康さんに告白しようとしたんですよね?」


「うっ、……それは……そうなんだけど」


「それってそもそも怒る権利すらなかったのでは?」

冷静に突っ込む薫に、杏奈は黙ってしまい、浩紀の手を握る力を強めた。

強く握られた手を浩紀も強く握り返しながら薫に伝えた。


「薫ちゃん、あんまりアンをいじめないで上げて。アンも十分反省してると思うからさ」


一番の被害者であった浩紀が許してあげてほしいといったことで、この場は収まりをみせた。


ーーー


フードコートに着いた一行は、それぞれが思い思いに飲み物や、みんなで摘まみやすそうなフライドポテトなどを購入して席に着いた。


「そういえば杏奈、あんた浩紀とはどこまで進んだのよ?」


いたずらっ子のような表情で沙織が杏奈に問いかけると、その沙織の発言に飲み物を気管支に入れ、せき込む浩紀と杏奈であった。


「さおり、あんた、いきなり何聞いてるのよ!」


「いいじゃない。それぐらいケチケチしないで教えなさいよ」


「そ、そんなの……二人だけの秘密に決まってるでしょ!」


顔を真っ赤にしながら叫ぶ杏奈であった。

そこに薫がいつもと変わらぬ落ち着いた表情で淡々と語った。


「この様子を見るとお二人はまだキスどまりですね。大晦日の夜にベランダでお二人がキスしてるところはちゃんと確認しましたから、それは確実ですし」


薫に見られていたことに気が付いた二人は、薫とは対照的に顔を耳まで赤く染め上げていた。


ーーー


10分ほどして太田が敦子を連れてフードコートに姿を現した。


「おまたせ!遅くなって悪かったな。それにしても……浩紀も杏奈も顔が真っ赤だけどまた何かやらかしたのか?」


にやにやしながら問いかける太田に対し杏奈が否定の言葉を叫び、浩紀は懇願した。


「な、何でもないわよ!」「太田、武士の情けだ。……何も聞かないでくれ」


「まあいいけどさ。それで行先とかは少しは案とか出てるのか?」


「二人が合流してから話し合おうと思ってたからまだ全然だよ」


ここでみんなに敦子が挨拶をした。


「皆さんお久しぶりです。今日は私が言い出したわがままのために付き合ってくれてありがとうございます」


お嬢様学校に通う敦子らしい挨拶であった。

それに対し杏奈が気を取り直して答えた。


「私達も敦子ちゃんに会いたかったし、ちょうどよかったよ」


「それで行先なんだけど花山さんはどこか希望はあるの?」

浩紀が敦子に尋ねた。


「みんなで一緒にワイワイできる場所ならどこでもいいんですけど……。例えば、遊園地とかどうですか?」


敦子が出した提案に対し沙織が素早く反応した。


「遊園地、楽しそうでいいじゃない!私は賛成よ」


沙織っが言うと、他のメンバーたちも賛同をしたのであった。

こうして週末の行き先は遊園地に決定されたのであった。


「そうと決まれば遊園地に行くときに着ていく服とか見てから帰りましょ!」


「いいわね!私もそろそろ新しい洋服が欲しかったのよ」

沙織の提案に同意する杏奈。敦子と薫も異議はないらしく、楽しそうにしていた。


(ヒロの好きそうな服選ばないとね)

(浩紀が目を奪われるような服がいいかしら)

(浩紀お兄ちゃんの好みならもう解析済みです)


(三人とも可愛いし私も負けてられないわ。太田君が目移りしないように頑張らないと!)


そんな4人の姿を男二人は後ろから眺めていた。


「今週末はとりあえず遊園地で決まりみたいだな。どうせだから兄さんに聞いて車出してもらえないか確認してみるよ。あれなら香澄さんも誘ってさ」


「それはいいアイデアだな。お兄さんの説得、よろしくな、浩紀」


その後女性4人による買い物は3時間以上続いたのであった。女性たちが楽しそうに満面の笑みを浮かべていたのに対し、男二人は疲れ切った顔をしていた。




第7章第4話をお読み頂きありがとうございます。


今回はフードコートでのやり取りと、その後の洋服選びにおける静かな女の戦いが始まる予感をさせる内容になっています。

遊園地では一体どのようなことが怒るのかお楽しみに。


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※明日から投稿時間を少しだけ変更させていただきます。 19:00頃 ➡ 19:15頃

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