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『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』  作者: サッサン
間幕

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外伝:異世界ポンタ・クエスト 〜予算不足の勇者と、狸と呼ばれたヒロイン〜(本編とは一切関係ありません)

本編とは一切関係ありません。読まれる際は、100%ギャグに走った内容ですのでそれを踏まえたうえでお読みください。

今回行ったキャラクター総選挙の結果、作者が1位となりましたので、作者が書きたいものを自由に投稿させていただく事でこの話を投稿させていただきました。よかったら読んでみてください。

お知らせ:19時からは、いよいよ第2部がスタートします!


それは、年末の平和なひとときのこと。


桐谷家のリビングでは、浩紀、杏奈、薫、そしてなぜか混ざっていた沙織の四人が、太田が以前持ってきた怪しいボードゲーム『魔王討伐クエスト』に興じていた。


「よし、次は私の番ね!……って、あれ? なんだか、急に眠く……」


杏奈の言葉を最後に、四人の意識は深い闇へと沈んでいった。


ーーー


次に目が覚めた時、そこは見慣れたリビングではなく、まばゆい黄金に彩られた「謁見の間」だった。


「おお、目覚めたか。異世界の勇者たちよ」


玉座に座っていたのは、王冠を被った国王・博康。その隣には、慈愛に満ちた(しかしどこか冷徹な)笑みを浮かべる王妃・香澄の姿がある。


「兄さん!?香澄さん!? なんだよ、その格好!」


浩紀が叫ぶが、博康は動じない。


「勇者浩紀よ。魔王太田にさらわれた我が娘、敦子王女を救い出してほしい。まずは闘うための準備として、伝説の装備ぽいものを授けよう」


チャキーン!


という安っぽい効果音と共に、三人の前に装備が現れた。

浩紀には、「光り輝く聖騎士の鎧という名の旅人の服、聖剣という名のヒノキの棒」。 沙織には、水色のテーラードジャケットと細身のスリムパンツに身を包んだ「1990年ごろの新宿のスナイパー装備(コルト・パイソン 357マグナム:モデルガン)」。


薫には、怪しい薬品が詰まったベルトと白衣の「狂気の科学者セット:ドンキホーテ提供」。


「……ねえ、兄さん。これ、ただのコスプレだよね? 剣、これ削っただけの木だよね?」


浩紀がヒノキの香りを漂わせながら抗議するが、博康は「気にするな。気分が大事だ」と一蹴した。


「みんなカッコいいわね! ……で、私のは? 私はヒロインよね?」


杏奈が期待に胸を膨らませて前へ踏み出す。

博康の手から放たれた、なぜか一番キラキラした光が杏奈を包み込んだ。


「ヒロインである杏奈嬢のために最も予算を費やした装備だ」


自信満々に言い放つ博康王であった。


ボフンッ!!


「……ウゴ?」 そこにいたのは、つぶらな瞳、茶色の丸い体、そしてゴム特有の光沢を放つ「伝説のポンタスーツ(フルオーダー)※注意書き:このスーツを身にまとうとウゴ語しか使えなくなります」に身を包んだ狸だった。


「(なんで私のだけ全力で着ぐるみなのよぉぉぉぉ!私の可愛い顔も素敵なスタイルも見えないじゃない!それに 誰が狸よ!) ウゴウゴー!(泣)」


と叫ぶ杏奈。

しかし、ヒノキの棒を構えた勇者、モデルガンを持つスナイパー、ドンキの白衣を着た科学者は、なんの疑問も持たず、そのまま魔王城へと旅立った。


ーーー


紆余曲折(中略)を経て、一行はついに魔王城の最深部、謁見の間へと辿り着いた。


「待たせたな、魔王太田!敦子王女を返してもらうぞ!」


勇者浩紀がヒノキの棒を(必死にかっこよく)突きつける。

しかし、そこで待っていたのは予想外の光景だった。


魔王太田の膝の上で、敦子王女が幸せそうに微笑んでいたのだ。


「……ごめんね、みんな。私、太田くんと恋に落ちちゃった。だから太田君ももう戦争はやめてくれるって」


「ええっ!? 棒一本でここまで来た苦労は!?」


拍子抜けする一同。すると魔王太田が、不敵な笑みを浮かべて沙織と薫を見た。


「ついでだ。沙織に薫、お前たちも俺の側室になれ。モデルガンとドンキの白衣よりはマシな暮らしをさせてやるぞ」


その言葉に、勇者浩紀が毅然とした態度で割って入った。


「断る。彼女たちは、俺の大切な愛人だ」


その瞬間、世界が止まった。


「……愛人。なんて素敵な響き……っ!」(沙織:モデルガンの引き金に指をかける)


「愛人なら……この薬品(※色水)を飲ませて子供が造れますね♡」(薫:ドンキのフラスコを振り回す)


「ウゴ! ウゴウゴォォッ! ウゴウゴ、ウゴウゴ、ウゴォッ! ウゴウゴ、ウゴウゴォォ!」 (訳:ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 棒持った勇者が『愛人』って認めるのもおかしいし、あんたたちも納得しちゃダメでしょ!)


杏奈ポンタが激しく地団転を踏み、必死に訴えるが、響くのは虚しい「キュッキュッ」というゴムの摩擦音だけ。魔王太田が不思議そうに浩紀に問うた。


「ほう、その狸は、なぜあんなに必死に鳴いているのだ?」


「ああ。彼女は、俺の本妻候補なんだ」


浩紀が、自信満々に隣のポンタを指さした。


「……は? その、そこにいる狸がか?」


「ウゴォォォォォー!! ウゴウゴォッ!!」 (訳:狸じゃないよ!杏奈だよ!)


激昂する杏奈に対し、浩紀は真顔で、しかしどこまでも優しく魔王たちに告げた。


「陛下、誤解しないでください。彼女は狸ではありません」


「ウゴ!(浩紀、やっぱり分かってくれるのね♡)」








「彼女は、ポンタです」


「ウゴウゴォォォォー!!(杏奈だよ!!)」



ーーー


「……ウゴー!!」


杏奈の叫び声と共に目が覚めると、そこは見知らぬ王城ではなく、いつもの浩紀の部屋だった。


コタツの上には、途中のままのボードゲームが置かれている。


「……あ、杏奈? 急にどうしたんだよ、『ウゴ』とか叫んで」

浩紀が不思議そうに覗き込んでくる。

その隣では、沙織と薫が「愛人……」「……子供」と、夢の内容を引きずっているのか、うっとりとした表情でこちらを見ていた。


「ヒロ……。私、狸じゃないよね? ポンタでもないよね?」


「……何言ってんだよ。お前は杏奈だろ」


浩紀のまともな言葉に涙しそうになった杏奈だったが、浩紀が続けて放った一言で、その場に崩れ落ちた。


「でも、もし着ぐるみを着るなら……お前、ポンタが似合うと思うぞ?」


「ウゴォォォォォォォ!!」


桐谷家の年末に、杏奈の(ポンタとしての)絶叫が空虚に響き渡った。


(完)



最後までこのお話を読んでいただきありがとうございます。

今夜19時には何とか準備が間に合いそうなので、第2部(第6章~)がスタートさせていただきます。

19時の投稿をお待ちください。


【総選挙の結果】

1位:作者6票

2位:薫3票

3位:浩紀2票

※今後2位と健闘した薫の過去エピソードを書くかもしれません(まだ確定ではありません)

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― 新着の感想 ―
なかなか時間がなくて拝読出来ず! サッサン先生の引き出しの多さには恐れ入谷の鬼子母神です! それぞれのキャラが生きたエピソード堪能させて頂きました♪
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