第5.5章 エピローグ:終わらない戦い【第1部完】
第1章から始まった第1部の最終話になります。ここまでお付き合いいただきありがとうございます。今後の投稿予定については後書きをご覧ください。
冬休み明けの登校日。 杏奈の薬指でひっそりと、けれど確かに輝く銀の指輪は、瞬く間に校内の噂となった。
浩紀と杏奈は、あの聖夜の余韻に包まれながら登校したが、放課後の教室で最強の刺客たちが待ち構えていた。
「あら、意外と早かったわね」
廊下に出ようとした浩紀と杏奈の前に立ちはだかったのは、腕を組み、不敵な笑みを浮かべた沙織だった。
「沙織……」
「浩紀、いっとくけど私はまだ、あなたのことを諦めたりしないから。そんな指輪一つで、私が引き下がると思ったら大間違いよ」
沙織は杏奈の左手を一瞥し、一歩も引かない鋭い視線を杏奈にぶつけた。
「そんなに簡単に諦められるような恋なら、こんな気持ちになってないわ。今でも浩紀が好き。私のすべてを使って、あなたを杏奈から奪い取るわ。覚悟することね、杏奈!」
女王の如き堂々たる略奪宣言に、杏奈が息を呑んでいると、今度は横から冷ややかな、けれど情熱を孕んだ声が響いた。
「沙織先輩、甘いですよ。……正々堂々とやるなんて非効率的です。どんな手を使ってでも既成事実を作ってしまえばいいんです」
そこにいたのは、いつの間にか二人の隣に立っていた薫だった。
「薫!? なんでここに……」
「浩紀さん、おめでとうなんて言いませんよ。私は『幼馴染で妹』という特権をフル活用して、いつでも隙あらば奪い取りますから」
薫は浩紀の腕に迷わずしがみつくと、凍りつくような笑みを浮かべて杏奈を見据えた。
「本気ですよ? お姉ちゃんがモタモタしてる間に、外堀から埋めてあげますから。あれならちょっとだけ眠くなるお薬飲んでもらって、寝ている間に、お兄ちゃんの身体の全てを独占してもいいですし。お姉ちゃんは覚悟しておいてね。で、浩紀さんは楽しみにしておいてくださいね♡」
「……っ!!」
あまりの衝撃発言に、杏奈は顔面蒼白で絶句し、浩紀は背筋に走る凍りつくような悪寒に冷や汗が止まらなくなった。
「薫! あんた、人として越えちゃいけないラインを……!」
「お姉ちゃん、愛にラインなんてないんですよ。これからは毎日、家の食事にも気をつけてくださいね?」
「二人ともいい度胸だわ!ヒロがくれた指輪とネックレスにかけて受けて立ってあげる。……ヒロの髪の毛一本たりともあなたたち二人には、……いいえ、誰にも絶対に渡さないんだからね!」
2人の宣戦布告を真っ向から受ける杏奈。
3人の間には見えない火花がバチバチと大きく散っていた。
かつて「伝説の男」と呼ばれ、全てを諦めて消えようとした浩紀だったが、どうやら本当の安らぎが訪れるのは、まだまだ先のことになりそうだ。
隣で真っ赤になって怒る杏奈、情熱的に略奪を誓う沙織、そして狂気すら感じさせる実力行使を微笑みながら宣言する薫。 浩紀は3人のやり取りを少し楽しそうに見ていた。
(……やれやれ。やっぱり、退屈してる暇なんてなさそうだな)
波乱含みの新学期。 「伝説」の第二部は、かつてない波乱と共に、今、始まろうとしていた。
第1部完
第1部エピローグをお読みいただき、本当にありがとうございました!
最高のハッピーエンドを迎えたはずの二人の前に現れたのは、全く諦める気のない沙織と、まさかのヤンデレ大覚醒を果たした杏奈の実妹・薫ちゃんでした。
生徒会でのパートナーである沙織と、身内のような薫から狙われる浩紀のこれからは一体どうなってしまうのか……!
ここで第1章から続いてきた第1部が完結となります。すでに第2部(第6章~)に関しても少しづつ投稿できる状態にしています。できるだけ早く投稿できるように頑張りますので皆様からの感想やブックマーク、評価☆で応援してください。それによって執筆スピードが数倍上がるはずです!
ちなみに第2部の最初の章である第6章では、『恋人同士』となった二人の甘々な新生活に不穏な影が……。
「浩紀と杏奈頑張れ!」と思ってくださった方、二人のこれからの物語をまた読みたい!と思ってくださった方は、ぜひ感想やブックマーク、下部にある評価☆で、作者のお尻を叩いて執筆をせかせてやってください(笑)
本編は、次回からいよいよ第6章(第2部スタート)が開幕します。
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