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『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』  作者: サッサン
第5.5章:浩紀と杏奈の熱い冬休み ―聖夜と、こたつと、振袖と、甘々な二人―

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第5.5章 第五話:初詣デートとおみくじ

第1章から第4章までの【加筆&修正】が終了いたしました。お時間のある時にご確認いただけると嬉しいです。

「ヒロ、おはよう」

河合家の門のところで待っていた浩紀に杏奈が声をかけた。

「おはよう、アン」と振り向きながら返した浩紀は息をのんだ。

杏奈の格好は深い紺色の地に、大胆に配された金波のモダンな振袖。その堂々とした佇まいは、浩紀の視線を一瞬で釘付けにしてしまった。


「振袖、着てみたんだけど……変じゃないかな?」


杏奈は、いつもとは違う着慣れない格好に気恥ずかしさを感じたのか、少しだけ目を泳がせながら、不安げに浩紀の顔を覗き込んだ。

その声で我に返った浩紀は


「すごく奇麗で見とれちゃってたよ」気恥ずかしそうに答えた。


「よかったぁ……」


杏奈は浩紀の言葉に心底ほっとした。


「それじゃ、そろそろ神社に向かおうか」


浩紀はそういうと、杏奈をエスコートするかのように、三日月の指輪が光る彼女の左手を握った。

その繋いだ手の冷たさを感じた浩紀は、温めるかのように少しだけ手を強く握った。


ーーー


地元でそれなりに有名な神社が見えてくると、屋台が出ているのが見えた。

「ヒロ、いろんな屋台が出てるよ」

杏奈は少しはしゃいだ様子で屋台を見ていた。

「アンは屋台のクレープとか好きだったよね」


「うん。あの甘い香りについ引き寄せられちゃうんだよね。そしてなんといっても焼きたての生地の端のパリパリっとした食感と、暖かい生地で少し溶けたクリームがたまらないんだよね」

杏奈は今にもよだれをたらしそうな表情で語った。

「アンは相変わらず食いしん坊なんだね」

そんな杏奈の様子に楽しそうにからかう浩紀。

「ヒロだっていつも屋台で唐揚げ食べてるじゃない」

杏奈はわざとほほを膨らませて浩紀を責めるふりをした。

「だって仕方ないじゃないか。あの醤油とニンニクの香りは男の心をキャッチして離してくれないんだから」

それを聞いた杏奈は

「じゃぁ。私たちは食いしん坊カップルだね」

杏奈はそう言って、楽しそうにクスクスと笑い、それにつられて浩紀も笑っていた。

二人はお参りしたあとで、お互いのクレープとから揚げを一口ずつ食べ合いっこしようと約束し、行列の最後尾へと並ぶ。

お参りの順番は10分ほどで回ってきた。二人で並んで「二礼二拍手一礼」の作法に則り、真剣な表情で手を合わせる。


(アンと、これからもずっと一緒にいられますように)

(ヒロと、これからもずっと一緒にいられますように)


くしくも二人のお願いは、寸分違わず同じものだった。


最後に一礼し、横へずれた二人は顔を見合わせる。


「ヒロは何をお願いしたの?」

「それは秘密だよ。アンこそ、何をお願いしたんだよ」

「じゃあ……私もやっぱり秘密!」


杏奈は少しだけ頬を染め、いたずらっぽく微笑んだ。その表情が、冬の晴れ空の下で眩しいほどに輝いて見えた。

その後、二人はおみくじを引いてみると、二人ともが「8番」という同じ番号を引いていた。


「ヒロも8番だったの?」

「もしかしてアンも?」

「……ホント、二人って仲良しだよね」


杏奈は嬉しそうに目元を細め、小声で付け加えた。

「ねえ、友達が言ってたんだけど……8って、横にすると『無限』とか『永遠』って意味があるからカップルにとっては『永遠の愛』って意味になるんだって」


その言葉に、浩紀は少しだけ照れながらも、真っ直ぐに杏奈を見つめた。

「……なら、俺たちにはこれ以上ないほどぴったりな数字だね」


二人は8番と書かれた引き出しをそっと開け、中からおみくじを一枚ずつ取り出した。


浩紀と杏奈が同時に紙を開く。


一番上には大きく大吉の文字が書いてあった。

「ヒロ、大吉だって」嬉しそうにはしゃぐ杏奈。

「願い事:努力すれば叶う、失せ物:すぐに出てくる、だって」

「あとはやっぱりここが一番気になるよね。」

といって一呼吸置いてから結婚の欄を見る二人。

「結婚:今の相手と試練あり、されど二人で協力すれば叶う」そう書かれていた。


「試練ってなんだろ?」不安そうな顔をする杏奈に、「俺たち二人ならどんな試練だって必ず超えられるよ」力強く杏奈を励ました。


この後約束通り、クレープと唐揚げを買って、神社の横にある児童公園のベンチに腰を下ろした二人。

お互いに食べさせる姿は初々しく、本来ならそこまで大胆にはなれないはずなのに、見ているこちらが恥ずかしくなるほど仲の良い光景であった。


「ねえ、ヒロ。9年前のこのベンチから今の私たちの関係って始まったんだよね。ちゃんと約束守ってくれてありがとね」

そう言うと、あの時と同じように……けれど、今は人前で唇にするのはどうしても恥ずかしかったのか、浩紀の頬にそっとキスをした。9年前の無邪気な約束が、今の二人の温かな関係に重なる。そして、嬉しそうに顔を少し赤らめながら微笑む浩紀がいた。


食べ終わった二人は再び手をつないで家路につく。


自宅前で「ヒロ、着替えたらヒロの部屋に行ってもいい?」

「ああ、待ってるよ」と約束し、自宅に帰った杏奈がいつもの服に着替えていると、クローゼットの奥の隅っこに子供の頃に色々詰め込んだ宝箱を見つけた。その中に浩紀が小2の時にくれたおもちゃの指輪を見つける。


(イブの日にヒロに指輪をもらってから探してたのよね。おみくじの言葉通り本当に見つかっちゃうなんて)


そしてそれにより「試練」という文字に少しだけ不安になる杏奈だが、指で輝く指輪と子供の頃にもらった指輪を重ね合わせると。


(私達なら絶対に大丈夫、どんな試練だって乗り越えて見せるんだから!)


吸い込まれそうなほど澄んだ高い冬の空の下を、新たな決意を胸に、浩紀の下へ急ぐ杏奈であった。



第5.5章第5話をお読みいただきありがとうございます。


実はこの5.5章ですが最初は書く予定のなかったものを急遽作成し投稿させていただいています。本来の予定では5章が終わり次第エピローグを投稿し第1部完とする予定でした。ただ作品を投稿しているうちに甘々な二人を書いてみたくなり無理やり5.5章として投稿させていただいています。


今回は初詣デートを題材にしてみました。今回訪れた神社は9年前に杏奈と浩紀がやってきたあのお祭りの時の神社で、まさに公園のベンチでのあの約束から二人の関係が始まりました。

このベンチで再び幸せそうな二人を描くことが出来てよかったです。


この二人のデートを暖かく見守ってくれる方はぜひブックマークと評価で応援してあげてください。

作者の執筆に対する燃料にもなります。


※明日も19時に投稿しますのでよろしくお願いします。


お知らせ:キャラクター総選挙の期限が段々と近づいてきております(締め切り予定:6月13日19:00まで)。まだ投票がお済でない方は清き1票を押しキャラへ投じてあげてください。

あなたの1票が新たな話を作らせるかもしれません。(1位:作者6票、2位:薫3票、3位:浩紀2票)

ちなみに作者が1位になった際には作者自身のことを書くのもどうかと思いますので、作者が書きたい内容を勝手に書くことにしました!そこで、日ごろ書けないようなギャグに振り切った内容の物を書かせていただくことにしましたのであしからず(笑)。   


URL:https://ncode.syosetu.com/n2955mc/64

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