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『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』  作者: サッサン
第4章:繚乱!文化祭と恋の火花

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第4章 第九話:失言の旋律、凍り付く浴衣【加筆&修正】(26年6月8日)

あとがきの最後に「お願い」がありますので見てやってください。


生徒会室での「事故」から数十分後。

待機当番の時間を終えた浩紀と沙織は、示し合わせたように無言のまま、待ち合わせ場所である杏奈のクラスの前へと向かった。


(……気まずい。とにかく今は、何事もなかったように振る舞わなきゃ)


浩紀が必死に平静を装う横で、沙織もまた、真っ赤になった耳を隠すように俯いている。

そんな二人の前に、執事服を完璧に着こなした太田と、清楚な私服姿の敦子(花山)が姿を現した。


「おーい、浩紀! こっちだぞ!」


太田が快活に手を振る。

合流した四人だったが、太田は親友の顔を見るなり、その異様な強張りに気づいてニヤリと笑った。


「なんだお前ら、どうかしたのか? えらいぎこちないぞ。……さては、当番室で二人っきりなのをいいことに、キスでもしてたんじゃないか?」


「な、何もないわよ!」

「な、何でもない……」


二人揃って声を裏返して否定する様子に、太田の「からかい」は加速する。


「なんだよ、二人してどもっちゃって。図星か?」


その言葉に、浩紀の唇の感触を思い出した沙織の理性が限界を迎えた。

羞恥心を隠そうとするあまり、彼女の口からは最悪の言葉が飛び出した。


「キ、キスなんてしてないから! ちょっとびっくりして、唇同士がぶつかっちゃっただけだから……っ、あっ」


「…………」


浩紀たちの周辺だけが静まり返っており、通り過ぎる生徒たちの笑い声がやけに遠く聞こえた。

沙織は自分の口を両手で押さえたが、放たれた言葉はもう取り消せない。


「……マジかよ。はは、まあ、事故だったんなら仕方ないよな」


太田が苦笑いしながらフォローを入れ、浩紀も壊れた人形のように「そ、そうだよな」と激しく首を振る。

しかし、この会話を一番聞かせてはいけない人物が、背後から音もなく現れた。

太田の顔が浩紀の後ろの人物を見てみるみる青白くなっていった。

紺地の浴衣を纏い、トレイが震えるほど強く握りしめた杏奈だった。

カチカチとトレイの上のティーカップが震える小さな音が響く。


「……へぇ。事故なら、仕方ないんだ」


氷のような声。浩紀が恐る恐る振り返ると、そこには美しく着飾った姿とは対照的に、絶望と怒りが入り混じった瞳で立ち尽くす杏奈がいた。


(……っ、信じられない。ヒロはなんで私の知らないところで、勝手に唇を奪われてるのよ……絶対に、許さないから!)


杏奈の心の中で、どす黒い感情が渦を巻く。


「アン、これは、その……」


「いいわ。後のことは、今日家に帰ってからヒロにもっと詳しく話してもらうから」


杏奈は本当は泣き叫んで浩紀に文句を言いたい気持ちを無理やり抑えるようにそう言うと、接客する意思もなさそうに、浩紀と沙織を無理やり隅の席へ座らせると、一言も発さずにカーテンの向こうへと消えた。

文化祭1日目の喧騒が、浩紀には遠い国の出来事のように感じられた。

耳に残るのは、沙織の失言と、杏奈の去り際の冷たい言葉。

この後、自宅で待ち受けている「本当の尋問」が、二人の関係を決定的に変えてしまうかもしれないと、浩紀は恐怖することしかできなかった。


第4章第9話をお読みいただきありがとうございます。


沙織ちゃん、やってしまいました……。

隠そうとして逆に墓穴を掘ってしまう、まさに「嘘がつけない」彼女の純粋さが、最悪の形で裏目に出てしまいましたね。


そして、一番聞かれたくない相手に、一番聞かれたくないタイミングで聞かれてしまった絶望感。

「家に帰ってからもっと詳しく……」という杏奈の言葉、もはや逃げ場のない死刑宣告にしか聞こえません(笑)。


「浩紀、ついに年貢の納め時か……」と思った方、

「怒りに震える杏奈が怖すぎるけど美しい!」と思ってしまった方、

ぜひ【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆をポチッとな!)】で応援をお願いします!


毎日19時ごろに更新予定です。

明日はいよいよ、恐怖の「自宅尋問編」。浩紀は生き残れるのでしょうか……!?


追伸:今朝投稿した「杏奈の大変な1日 前編」の続きである「後編」に関して今のところ一切反応がない状態です( ;∀;)。実際には「後編」もう作っちゃたとです(-_-;)。だからホントは早く投稿したくてうずうずしてます(笑)。なのでみんなのボランティア精神で「後編希望!」と感想欄にご記入をお願いします。作者のわがままにお付き合いいただけると嬉しいです。

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