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『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』  作者: サッサン
第4章:繚乱!文化祭と恋の火花

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第4章 第二話:執事とメイドの火種【加筆&修正】(26年6月3日)

昨日初めて1日のPV数が200を超えました。読みに来てくださった読者様方ありがとうございます。

放課後の2年A組。議題は文化祭のクラス出し物についてだった。

親友であり男子テニス部主将の太田が進行を務める中、教室には「お化け屋敷」「脱出ゲーム」といった定番の案が飛び交う。


しかし、最終的に副会長に就任したばかりの畑中沙織と、新生徒会長の桐谷浩紀という「クラスの顔」かつ「生徒会コンビ」を最大限に活かそうという意見が一致し、出し物は『メイド・執事喫茶』に決定した。


「よし! じゃあ、衣装のサイズ感を確認したいから、モデルとして桐谷と沙織に代表で着てもらおうぜ!」


太田の快活な号令に、クラス中が沸き立った。


ーーー


後日、準備された衣装に身を包んだ二人が教室に現れた瞬間、空気が凍りついた。


「……うわ、マジかよ……」


そこには、漆黒のタキシードを完璧に着こなし、背筋を伸ばした浩紀が立っていた。

178cmの長身に、いつもより大人びたオールバック気味の髪型。その気品あふれる姿は、本物の貴族を支える執事そのものだ。女子生徒たちは言葉を失い、顔を赤らめてノックアウトされた。


対する沙織は、秋葉原のメイド喫茶のようなフリルがふんだんにあしらわれ、男性客をおびき寄せることを意識した、胸元と太ももが強調されたメイド服に身を包んでいた。160cmの健康的なスタイルに、ブラウンのショートカットが映える。そして何よりも男子の視線を集めたのは、人一倍主張しているその豊かな胸であった。


「……沙織、可愛すぎるだろ……!」


男子たちはその圧倒的な美貌と、普段の明るい笑顔とのギャップに、雷に打たれたような衝撃を受け、感嘆の声を上げた。


「沙織、……すごい似合ってるよ、ほんとに」


そう言ってから、少し目ののやり場に困ったように視線を外し、鼻の頭を掻いた。


「あ……ありがとう、浩紀。……その、浩紀も格好良すぎて……直視できないよ……」


沙織は顔を真っ赤にしながら、胸の高鳴らせていた。


このチャンスを、沙織は逃さなかった。彼女はこっそり友人にスマホを託し、小声でお願いをした。


「……お願い。浩紀との二ショット、撮って」


沙織は一歩踏み出すと、浩紀の逞しい腕にぎゅっと抱きついた。執事服越しに伝わる彼の体温に心臓が跳ねる。浩紀は一瞬驚いた顔をしたが、撮影だと察して、少し照れくさそうにカメラに微笑んだ。


パシャリ、と最高の瞬間が切り取られる。


沙織はその写真を確認すると、密かな決意を込めて、お隣さんの杏奈にメッセージを送った。


『アンちゃん、お疲れ様! クラスの出し物の衣装合わせなんだけど、浩紀君があまりに格好良かったから、見せてあげようと思って!』


ーーー


その頃、女子テニス部の練習を終えた杏奈は、部室でスマホの通知を受け取った。


画面に映し出されたのは、見たこともないほど凛々しい浩紀の執事姿。

そして、その腕に我が物顔で胸を押し付けるように抱きつき、幸せそうに微笑む沙織の姿だった。


「…………なっ!!」


杏奈の手が、怒りと衝撃で小刻みに震える。

(何よ、これ……。何なのよ、これ!!)


「ヒロ」は自分のものだ。自分が一番彼を知っていて、自分が彼を導いてやる存在だと思っていた。

なのに、自分を役員から遠ざけた浩紀は、自分の知らないところで別の女を名前で呼び、こんなにも親密な距離で笑い合っている。


「『自由になれ』って……こういうことだったの、ヒロ……?」


杏奈の瞳に、かつてないほどの激しい嫉妬の炎が灯る。

執事姿の浩紀にノックアウトされたのは、彼女もまた例外ではなかった。けれど、その隣にいるのが自分ではないという事実が、彼女のプライドを、そして恋心を修復不可能なほどに逆なでしていた。


ーーー


「太田、ちょっといい?」


登校早々、杏奈は教室の入り口で太田を捕まえた。


「なんだよ杏奈、朝から。また浩紀のことか?」


「……文化祭のテニス部の出し物のことよ。今年も『体験テニス教室』をやるでしょ。経験者相手には部員とのガチンコ対決も受けるの。……で、太田。浩紀のシフト、二日目の午後に固定して」


太田は眉をひそめた。

「二日目の午後? あいつは生徒会長だぞ。開会や閉会の挨拶もあるし、生徒会室の待機当番だってある。……それに、初日の午前はクラスの執事喫茶を手伝うって言ってたしな」


「分かってるわよ! だからこそ、二日目の午後なの。会長としての仕事は閉幕の挨拶くらいでしょ? 待機当番は他の役員に回してもらえばいいし、太田、あんたからも浩紀に言ってよ。『男子テニス部主将として、お前の力がどうしても必要だ』って!」


「……お前なぁ」

太田は呆れたように笑ったが、浩紀と杏奈の微妙な距離感は親友として気になっていた。

「分かったよ。俺も浩紀とダブルエースとして最後くらい暴れたいしな。シフトの調整、俺からも話を通しといてやるよ」


杏奈は心の中でガッツポーズを作った。

彼女の計算はこうだ。


【初日午前】浩紀はクラスで沙織と執事喫茶。

【二日目午後】浩紀はテニスコートで自分(杏奈)とテニス教室。


(テニスなら、私の独壇場。あんな帰宅部の沙織さんには、絶対に真似できない『ヒロの隣』を全校生徒に見せつけてやるわ!)


放課後、杏奈はさっそく浩紀を捕まえて、決定事項として告げた。


「ヒロ、二日目の午後は空けといてね。太田も『ヒロがいないと困る』って言ってるから。テニス部の体験教室、私と一緒に教えるわよ!」


「え? ああ、太田からも聞いたよ。……分かった、二日目の午後はコートに行く。アンと一緒にテニスするのは久しぶりだな。楽しみだよ」


浩紀は、杏奈が自分との時間を確保するために裏で動いたことなど露知らず、純粋に「幼馴染とのテニス」を楽しみにするような、屈託のない笑顔を見せた。


ーーー


その様子を、物陰から見ていたのは三女の薫だった。

彼女もお手伝いとして、浩紀から生徒会に招かれている。


「お姉ちゃん、必死すぎて笑えるんだけど……。でも、大切なこと忘れてない? 生徒会室の『待機当番』。……その日、浩紀さんと一緒に詰める相手、誰になると思ってるの?」


薫は自らの唇に指を当て、静かに微笑んだ。

会長の仕事が「挨拶だけ」で済むほど、文化祭は甘くない。そして、密室になる生徒会室での「当番」こそが、真の主戦場であることを薫は確信していた。


文化祭まで、カウントダウンが始まる。

第4章 第2話をお読みいただきありがとうございます。


今回は文化祭の準備回ということで、浩紀の執事姿をお披露目しました。

「兄の影」を捨て、一人の男として自立し始めた浩紀だからこそ着こなせる、凛々しさを感じていただけたでしょうか?


そんな彼を巡って、ヒロインたちも動き出します。

写真で先制攻撃を仕掛ける沙織、自分の得意分野テニスに引き込もうとする杏奈、そして虎視眈々と「密室」を狙う薫……。


作者としては、必死すぎるがゆえに空回りしそうな杏奈を応援したい気持ちもありますが、薫の「静かなる追い上げ」も書いていてゾクゾクします。

皆さんは、どのヒロインの作戦が一番「刺さり」ましたか? ぜひ感想などで教えてください!


少しでも「文化祭本番が楽しみ!」と思ってくださった方は、【ブックマーク】や【評価(下の☆☆☆☆☆をポチッとな!)】で応援していただけると、執筆の大きな活力になります!


毎日19時ごろに更新していきます。本日の19時にもう1話追加します

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