第3章 第一話:選ばれし者の決意
第3章:激闘!生徒会長選挙 第一話:選ばれし者の決意
「……浩紀君。次期生徒会長、君に受けてもらえないかしら」
放課後の生徒会室。現会長の広山加奈子の言葉に、浩紀の背筋が伸びた。
窓から差し込む夕日が、歴代会長の顔写真が並ぶ壁を照らしている。
その中には、二代前の会長であり、浩紀の兄である博康の姿もあった。
「広山さん……。俺で、務まるでしょうか」
「君は副会長として、誰よりも今の生徒会の内情を理解している。それに……君の兄さんも、きっと喜ぶと思うわ」
浩紀は拳を握りしめた。
自分の中に流れる「博康の弟」としての自覚。
そして、それ以上に「一人の人間として、この学校をより良くしたい」という、胸の奥で燻っていた熱い想い。
「……やらせてください。俺、立候補します」
ーーー
■ 決起集会と、推薦人の選出
翌日。浩紀の出馬表明を聞きつけた「いつものメンバー」が、放課後の教室に集まっていた。
「浩紀君、絶対応援するよ! 私、女子バスケ部の友達みんなに声かけてくるね!」
沙織が自分のことのように喜び、瞳を輝かせる。
「お兄ちゃんが生徒会長……。ふふ、学校全体の風紀委員を味方につけるようなものですね。プロデュースは私にお任せください」
薫はすでにタブレットで、学内の勢力図を分析し始めている。
そんな中、浩紀は少し緊張した面持ちで、腕を組んで黙っている杏奈を見た。
「今回の選挙に出るにあたって、一つ、大事なお願いがあるんだ。……推薦人を、アンに引き受けてほしい」
「……私に?」 杏奈が驚いたように目を丸くする。
「ああ。推薦人は応援演説もしなきゃいけない。俺のことを一番昔から知っていて、俺が何を考えてるか、言葉にしなくても分かってくれるのはアンしかいないんだ。……俺と息がぴったり合う相手ってなると、アン、お前一人しか思い浮かばなかった」
「……何よ、急に真面目な顔して」
杏奈は慌てて視線を逸らしたが、その耳たぶは赤く染まっていた。
浩紀と自分は、言わば「一心同体」のような幼馴染だ。
彼が兄・博康にどれほど憧れ、どれほどその影に苦しんできたかも知っている。
「いいわよ。あんたの頼みなら、断る理由なんてないわ。やるからには、絶対に勝たせる。……博康さんの弟としてだけじゃなく、一人の『リーダー』として、あんたを全校生徒に認めさせてあげるわ」
「ありがとう、アン」
二人が見つめ合う。その間に漂う、修学旅行を経てさらに強固になった「信頼」と、言葉にできない「熱量」。
「(……お姉ちゃん、さっそく推薦人特権でいい雰囲気になってますね)」
「(いいなー、杏奈ちゃん! 私も応援演説、やりたかった……!)」
薫の冷ややかな視線と、沙織の羨望の眼差しを浴びながら、浩紀の「激闘!生徒会長選挙」は、最強の推薦人を得て、静かに、しかし熱く火蓋を切った。
それは、彼が「兄の弟」であることを超え、一人のリーダーとして歩み出すための、長い戦いの始まりでもあった。
第3章 第1話を読んでいただき、ありがとうございます!
第3章が始まりました。今回は生徒会長選挙が舞台です。
杏菜という最強のパートナーを手に入れた浩紀がどのようにして選挙戦を通じ、成長していくのか楽しみでなりません。皆さんも浩紀に清き1票を!
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