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『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』  作者: サッサン
第2章:波乱の修学旅行編

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第2章 第一話:二学期のチャイムと、四人目の椅子【加筆&修正】(26年5月30日)

「いやー、マジで今年の夏は最高だったな! 浩紀、別荘にまで呼んでくれてサンキューな!」


太田が浩紀の席にドカッと腰掛け、白い歯を見せて笑う。

中学時代はコートを挟んで火花を散らした宿敵。高校では同じテニス部に入部し、切磋琢磨してきた親友。

そんな、共に汗を流してきた男同士にしか分からない空気感で盛り上がる二人に、沙織がスッと割って入ってきた。


「本当に! 二人のテニス、間近で見られて感動しちゃった。浩紀君の家の別荘、すっごく素敵だったよね」


沙織が周囲の女子の様子を伺いつつ、いつもより少し高めの声でわざと聞こえるように語ると、教室内には「浩紀君の別荘!?」「お泊まり?」と波紋が広がる。沙織は周りのそんな状況に心の中でほくそ笑んだ。浩紀と同じA組という「本拠地」を活かした沙織の先制攻撃であった。


「それでさ、次の楽しみはやっぱりこれだろ」


太田が黒板の端に書かれた『修学旅行の班決めについて』を指差した。

「京都・大阪、三泊四日! 今回は学年全体でクラスの枠を超えて、自由に四人組を作っていいってさ」


その瞬間、教室内が「獲物」を狙うような緊張感に包まれる。


「浩紀、俺たちはもう確定だよな? あと、当然、お前とセットの杏奈もだろ」


太田がニヤリと笑いながら、当然のこととして告げる。

彼にとって、浩紀と杏奈がセットであることは、テニスのダブルスを組むのと同じくらい、疑いようのない「日常」だった。


「……まぁ、そうだな。アンもさっき、そう言ってたし」


浩紀が頷く。

(あと一人……。あと一つの席に、誰が座るか……)


浩紀の斜め後ろの席で、沙織は静かに、けれど激しく思考を巡らせていた。

親友の太田すら認めている、浩紀と杏奈の「セット」という強固な枠組み。部外者である自分がそこに食い込むには、今この瞬間しかない。


「ねえ、浩紀君」


沙織は沢山の男子を魅了してきた中でも、とびきり素敵な笑顔を浮かべた。さらに、わざと斜め45度の角度から上目遣いに浩紀の顔を覗き込み、その瞳で彼の瞳をまっすぐに見つめた。

「その四人目のメンバー、まだ決まってないなら……私、立候補してもいいかな? 私も浩紀君や太田君と一緒に、最高の思い出作りたいの。……ダメかな?」


小首を傾げ、上目遣いで訴えかける沙織。

その時、


「あら、畑中さん」


そこへ、廊下から入ってきたB組の杏奈が、修学旅行のガイドブックを胸に抱えたまま、冷ややかな笑みを浮かべた。その細められた瞳は、大切なな縄張りに侵入してきた泥棒猫を射抜くような鋭さを宿している。

彼女は無意識に、制服の襟元に隠れた三日月の感触を確かめるように、そっと服の上から手を置く。


「ヒロに、そんな発情したネコみたいな顔でお願いしたって無駄よ。誰と班を組むか決めるのは、私たちだから。……ねえ、ヒロ?」


あの日交わした三日月の誓い。

それを知る由もない沙織に対し、杏奈は「セット」という言葉以上の重みを乗せて、その特等席を死守する構えを見せた。

第2章:波乱の修学旅行編の第1話をお読みいただき、ありがとうございます!


いよいよ新章突入、舞台は高校生活最大のイベント「修学旅行」です。

浩紀と杏奈、盤石の「セット」に見える二人の間に、沙織がどう食い込んでいくのか?

そして、あの別荘の夜に沙織と同盟を結んだ薫の動向は……?

早くも火花が散る、波乱含みの修学旅行編のスタートです。


少しでも「この先が気になる!」「浩紀たちと一緒に修学旅行へ行きたい!」と思ってくださった方は、ぜひ【ブックマーク】や【下の☆☆☆☆☆をポチッとな!】で応援していただけると、執筆の大きな励みになります!


すでに完結まで書き終えていますので、毎日19時に張り切って投稿していきます。

明日の更新も、どうぞお楽しみに!

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