第2章 第十八話:魅惑のテーマパーク『難波タウン』
今回の話を読む前に、『裏社会の番人「シティー・クリーナー」 ~裏社会の掃除人「ターゲットは綺麗にお掃除致します」~』をお読みいただくことを強く推奨致します。第1話を読むだけでもある程度人間関係がわかると思いますので。
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浩紀たちはコスプレ衣装のまま、昼食をとるためムーンライトシティー内にあるレストランへとやって来ていた。
「皆さんは今日のイベントに参加してみていかがでしたか?」
ラザニアを食べていた好代が、一旦スプーンを置き、みんなに感想を尋ねた。
最初に反応したのはケイティだった。
「最高でした!私ずっとアイリスになりたかったんです。その夢が今日叶いました!」
熱く語るケイティに浩紀が続いた。
「俺も最初は緊張したけど、落ち着いてきたら初めての体験でなかなか面白かったよ」
笑顔で語る浩紀を目を細めて見つめる杏奈。
「確かにヒロは楽しんでたよね。特にいろんな女の子に密着されたりして」
「あ、あれは頼まれたからで、決してやましい気持ちはないから!俺はアン一筋だから!」
ハンバーグを切るために持っていたフォークとナイフを置き、慌てて弁解する浩紀であった。
「そういう杏奈だって、最初こそ緊張して恥ずかしがっていたけど、途中からノリノリで言われたポーズ取ってたじゃない」
沙織が杏奈をからかうように指摘した。
「あ、あれはただ言われたポーズを取っただけで……」
「そういいながら結構楽しんでたでしょ?」
目の前のパスタをフォークで巻きながら、沙織が追い打ちをかけた。
「そ、それは……。ちょ、ちょっとだけよ」
杏奈はしどろもどろに答えた。
ここで薫も参戦する。
「お姉ちゃんって相変わらずチョロいですよね。このままだと将来おだてあげられて気が付いたら怪しい撮影に出ていたとかやめてくださいね。そんな人の妹とか言われるの嫌ですから……」
「怪しい撮影って何ですか?くの一だけにお色気撮影ですか?」
浩紀が杏奈を心配そうに見つめる。
「ちょっと薫もケイも、変なこと言わないでよ!ヒロ、大丈夫だから!私、ヒロ以外に……そ、そういう姿見せる気ないから……」
「アン、大丈夫だよ。俺も杏奈がそんなことするって思ってないから。でもアンが今回の撮影した姿を他の男たちが見ていると思うと、ちょっと複雑かな……」
そう言って首の後ろをさする浩紀であった。
「ヒロ、やきもち焼いてくれてたんだ。それならちょっと嬉しい……。じゃあ、これでお互い様ってことで、ヒロが他の子と密着してたことは許してあげる」
上機嫌になり杏奈であった。
ーーー
その後、食事を終えてドリンクを飲みながら午後のスケジュールを話し合っていた。
「午後はどうされますか?撮影は十分できたと思いますのであれならムーンライト施設内をこの衣装のまま探索するのもありですよ」
ここで沙織が提案をする。
「私いってみたいところがあるんだけどいいかな?」
「沙織はどこに行きたいの?」
杏奈が沙織に尋ねた。
「ここの2階にある大阪をモチーフにした『難波タウン』に行きたいって思ってるんだけどどうかな?」
「俺は構わないよ。難波タウンには一度、俺も行ってみたいと思ってたんだよ」
「ヒロがいいならわたしもOKよ」
浩紀と杏奈が同意した。
「私は浩紀さんが行く場所ならどこにでもついて行きますから。もし浩紀さんか望むならもっと別の二人きりになれる場所でも……」
「こら!薫はすぐにヒロを口説こうとするんだから!ヒロは私の恋人なんだから、あんまり冗談が過ぎると接近禁止令出すからね!」
あんなに注意された薫は「はーい」と気のない返事を返すのだった。
ここで好代が一つの提案をする。
「せっかくキャラクターの恰好をしているんですから、『難波タウン』にいる間はそのキャラクターになり切って楽しむのはどうですか?」
最初にケイティがその提案に飛びついた。
「それおもしろそうです!是非やりましょう!」
「私も楽しそうだし賛成よ」
(これで杏奈に遠慮しないで、もっと浩紀といちゃつける)と沙織も同意した。
当然薫も同意したのは言うまもなかった。
1人強硬に反対しようとした杏奈であったが、ケイティの真剣なまなざしと多数決の原理に押される形で渋々同意したのだった。
ーーー
(※浩紀:漣 杏奈:陽菜 沙織:朧 薫:螢 ケイティ:アイリス)
レストランを出た浩紀たちは、池袋ムーンライトシティの賑やかなメインストリートを抜け、案内板に従ってエスカレーターを上がると、突如として雰囲気が変わった。
どこか通天閣のネオンをイメージさせる様なピンク色などの派手なライトで彩られた入り口が目の前に出てきた。その入り口の両サイドには、狛犬の代わりにビリケンさんが鎮座していた。こここそが、施設内でも異彩を放つ室内型テーマパーク『難波タウン』だった。
浩紀たちは入場券を購入してパーク内へ入った。
「それではここからはキャラクターになりきって楽しみましょうぞ」
好代の一言が合図になり、我先にと浩紀の腕に抱きつきにいく4人であった。
最初に浩紀の両腕を勝ち取ったのは薫と沙織であった。
とれなかった二人は地団駄を踏んで悔しがっていた。
「アトラクションごとに交代なんだからね!次は私とアイリスが漣と腕組むんだから」
その姿を見た好代がケイティと話していた。
「杏奈殿、いや、陽菜殿はなかなかやりもうすな!あれはアニメの中で陽菜殿の負け惜しみシーンとかでやりそうな内容ではござらんか。ここまでなりきるとは感服感服」
「私も負けてられないね!次は『大和魂』を見せるね!」
浩紀たちが最初に向かったアトラクションは『道頓堀ダイブ・コースター「飛び込んだらあかん!」』という名前のアトラクションで、VRを利用した屋内型コースターであった。
浩紀たちの乗ったトロッコが、夜の道頓堀のネオン街を猛スピードで左右上下に激しく揺れながら駆け抜けていく。揺れにあわせて両サイドの沙織と薫がここぞとばかりに怖がるふりをして抱き着いていた。そしてそれをひとつ後ろの席で見守る杏奈は顔を赤くしながら悔しがっていた。
アトラクションの最後には、トドメとばかりに巨大なカーネル・サンダースがトロッコを投げ飛ばし、グリコの看板を突き抜けて道頓堀川へ真っ逆さまに急降下して終わりとなった。
落ちる瞬間に、水しぶきが顔にかかる仕様になっており、前列に座っていた三人の顔にたっぷりとかかったのであった。それを見て少しだけ留飲を下げる杏奈であった。
「いやあ、結構顔に水がかかっちゃったわ。メイクとか大丈夫かな……」
沙織が呟いたのを聞いた杏奈がここぞとばかりに沙織の話しかけた。
「これでちょっとは水を浴びて頭が冷えたんじゃないかしら……。私のヒ、漣に色目を使った罰よ!」
険悪なりそうな雰囲気を見た浩紀が二人に移動を促した。
「ほら二人とも次のアトラクションに行くよ!今度は陽菜とアイリスが腕を組んでくれるんだろ?」
浩紀のその言葉に満面の笑みを浮かべて腕を組む杏奈であった。
「じゃあ、反対側の腕は私が組むね!」
そう言うとケイティは豊かな胸を浩紀の腕に押し当てるように腕を組んだのであった。
浩紀は心の中で(煩悩退散!煩悩退散!)と必死に唱えるのであった。
ーーー
次に浩紀たちがやってきたのは、シューティングアトラクション『道頓堀に咲くガンマン』
であった。浩紀たちは『装甲リバーボート』に乗り込み、悪党がはびこる道頓堀川を進んで行った。途中、カウボーイハットをかぶった巨大なカニや、銃を二丁拳銃で構えたグリコのランナー風ロボットなどが敵として現れ、それを打ち落としていくことで点数が増える仕様となっていた。ある一定以上の点数を出すとパーク内のフードコートで使えるたこ焼きの割引券ももらえるようになっていた。
浩紀たちは三人ずつに分かれ点数を競うことにした。
「朧に螢、絶対に負けないからね!」
「陽菜、受けて立つわ!どうせならこれで勝った方が漣に『アーン』できる特典も付けましょうよ!」
ケイティが沙織の提案に乗った。
「それは熱い展開になりそうでいいですね!ここは私の『大和魂』を見せる時です!」
「いいわ!高得点出して漣への『アーン』もたこ焼きの割引券もゲットするんだから!」
先にボートに乗ったのは浩紀と杏奈、ケイティの三人であった。
敵が出てくるとケイティは『大和魂』と叫びながら、杏奈は『私が漣への愛を守る!』と言いながら二人は連携してどんどんと敵を打ち落としていくのだった。
結局3人の合計得点は11150点で、10000点以上でもらえる割引券をゲットしていた。
少しすると沙織たち三人が戻ってきた。
彼女たちも手に割引券を持っており10000点を超えたようであった。
「朧、あなたたちも10000点は超えられたみたいね……」
「そういう陽菜もなかなかやるじゃない」
お互いに不敵な笑みを浮かべる二人。
運命の瞬間が近づいていた。
お互いにスコアが印刷された紙を見せ合った。
「1万1千百五十……ってこれ私達とまったく同じ点数じゃない!」
「絶対に勝ったと思ったのに!」
まさかの同点であった。
結局折衷案として、フードコートで8個入りを3つ買い、杏奈、沙織、薫、ケイティの4人が一度ずつ浩紀に『アーン』をすることで落ち着いたのだった。
その光景を見た好代は一人、(これぞまさに『シティー・クリーナー』の風間漣と4人のくノ一によるハーレム状態!こんな姿が見られるとは感無量でごわす!)と熱く感動していた。
その後もいくつかアトラクションを巡り『難波タウン』を満喫した6人は、更衣室へ戻り着替えて帰路につくのであった。
帰り道でケイティがみんなに声をかけた。
「今日は私のわがままに付き合ってくれてみんなありがとう!私みんなの事大好きです!これからも仲良くしてください」
そう言って手を広げ5人に抱きついたのであった。
その光景を街行く人たちが微笑ましく見ていた。
ーーー
自宅へ戻ってきた浩紀たち。浩紀の部屋には杏奈が来ていた。
「ヒロ、今日の約束覚えてるよね」
「もちろんだよ。でもこれは俺にとってご褒美でしかないけどね」
そう言って浩紀は杏奈を強く抱きしめるのであった。
次の日の早朝、ベッドの上では一糸まとわぬ二人がお互いに体を寄せ合って眠っていた。
第2章第18話をお読みいただきありがとうございました。
今回は架空の複合施設ムーンライトシティー内にあるテーマパーク難波タウンでのお話でした(笑)
次回投稿予定日:9月22日(火)




