第2章 第十六話:コスプレ衣装合わせ
週末の土曜日。
暖かい日差しの下を浩紀、杏奈、薫、沙織、ケイティの5人は好代の後ろをついて歩いていた。
「うちまでは駅から歩いて10分ほどで着きますので」
今日の好代は学校にいる時と違い、とてもハイテンションでとても楽しそうであった。
「これから皆さんに私の作った衣装を着てもらえると思うと、昨日は興奮して全く眠れませんでしたよ」
「私も興奮してなかなか寝付けなかったね!」
好代にケイティも同意した。
「おお!同志ケイ殿もやはりそうでありましたか。これは致し方のないことでしょうな」
ここで浩紀が好代に尋ねる。
「それにしても5人もいきなり訪ねちゃって、おうちの人は何も言わないかい?」
「それなら大丈夫です!ちゃんと心行くまでコスプレの衣装合わせをできるように、家族にはお出かけしていただきましたので」
そういうと、好代はメガネを中指でクイっと押し上げながら、ニヤリと口角を上げたのであった。
ーーー
好代の家に到着した五人は、最初に好代の部屋へと通された。
彼女の部屋の壁にはいたるところにアニメのポスターやカレンダーが張られており、その中でも特に『シティー・クリーナー』の物が多く見られた。
また、本棚には様々な薄い本やラノベに漫画が所狭しと並んでいた。
その部屋を見た浩紀は新鮮なものを感じた。
(今まで見てきた女性の部屋ってアンや薫ちゃん、それにケイの部屋ぐらいだけど、どの子の部屋とも全然違う感じで、女の子の部屋って言うよりもどちらかというと男の子の部屋のように感じなくもないな……)
そんなことを考えていると好代がお盆にグラスとコーラとお茶のペットボトルを乗せて戻ってきた。
「よかったら飲んでください。これから一人ずつ衣装を合わせていこうと思いますので」
「最初は誰からやるんだい?」
浩紀が尋ねる。
「最初はやっぱりリーダーの漣をやってもらう浩紀殿から行きましょう」
「ええーっと、どこで着替えるんだい?」
「どうせですから衣裳部屋でやりましょう」
そう言うと浩紀を隣りの部屋へ連れて行ったのであった。
好代と浩紀の去った部屋では、これからどんな格好をさせられるのかと、残された4人が落ち着かないでいた。
すると隣で衣装を合わせているであろう二人の声が小さく聞こえてきた。
『浩紀殿……なかなか素晴らしい……をしているじゃないですか……』
『か、加相さん。そんなに触られると……』
その漏れ聞こえてくることを聞いていた杏奈が焦りだす。
「ちょっと二人とも何やってるのよ?加相さんは一体ヒロの何を触ってるの?」
「杏奈落ち着きなよ。そんなに気になるなら見て来ればいいじゃんか。杏奈は彼女なんだし浩紀が裸だったとしても今更でしょ?」
「ちょっと沙織。裸とか言って変なこと想像させないでよ!わ、わたしはヒロを信じてるからここでおとなしく待ってるわ……」
そう言いながらもどこかそわそわしている杏奈であった。
ーーー
10分ほどで好代と浩紀が部屋へと戻ってきた。
しかし浩紀の服装は全く別物であった。
浩紀は黒装束の忍者の恰好をしており、目元以外は全て覆われていた。
「俺はこんな感じになったんだけどどうかな?」
ヒロの問いかけに杏奈が答えた。
「ヒロ、結構様になってるじゃない。でもこれだとヒロとは全然気が付かないね」
「俺的にはその方がいいんだけどね……」
そんな会話をしている横でケイティと好代、それに薫が激しく写真を撮っていた。
次に衣装合わせを行ったのは杏奈であった。
衣装に着替えて戻ってきたとき、杏奈は部屋の中に入ることを躊躇していた。
好代に背中を押されて無理やり部屋へ入れられた杏奈は、短い袴を必死に下に伸ばすように裾を握りながら、恥ずかしそうに顔を赤くして、下を向いていた。
その理由は衣装にあった。
くノ一の衣装だけに、上半身には身体のラインにぴったりと沿ったディープブルーの忍び衣。胸元は深くV字に開いており、浩紀はつい視線を向けてしまう。
そして、そのV字の隙間からは鈍く光る細かな網目の衣装がわずかに覗いていた。
下半身は腰元を黒の平帯で固くスマートに締められており、動きやすさを重視した短い袴からは、杏奈のしなやかな太ももが大胆に露出していた。
恥ずかしがっている杏奈に浩紀が声をかけた。
「アン。……その何というか、うん……。とってもその服装、似合っていて魅力的だよ。ちょっと目のやり場に困るけど……」
「あ、ありがとう、ヒロ」
浩紀に褒められ少しうれしそうな顔をした。
ここで薫がスマホを構える。
「お姉ちゃんのこの写真売ったら結構いいお金になりそうですね……」
そう言いながら写真を撮っていった。
「薫、あんた何を勝手に写真撮ってるのよ!っていうか売ったりしたら許さないからね!」
「仕方ないから売るのは勘弁してあげますよ。その代わり後で浩紀お兄ちゃんのスマホに送っておきますね」
それを聞いて困ったような顔をする浩紀であったが、内心はガッツポーズをとっていた。
ーーー
次に衣装合わせをした沙織は、杏奈と違い堂々と部屋の中へ入ってきた。
そして胸の谷間をアピールするように前かがみで浩紀に見せつけた。
「どう浩紀?浩紀が望むならあなたの手を、この胸の谷間に入れてもいいのよ?」
そう言って沙織は流し目をしながら、顔を赤くしながらも胸の谷間を見てしまっている浩紀をからかった。
するとそれを見ていた杏奈がほほを膨らませながら、浩紀の腕をつねったのであった。
「いたっ!」
腕の痛みに我に返った浩紀は、沙織の胸から視線を外し杏奈に謝罪するのであった。
こうして残りの二人も、同じように衣装合わせを済ませ、事前の準備はほぼ終了したのであった。
「あとは私の方で衣装の微調整はしておきますから、来週のイベントの時まで体調を崩さないように気を付けてくださいね」
浩紀たちが好代の家を出ると外は夕焼けできれいに赤く染まっていた。
その日の夜、浩紀のスマホには薫から、くノ一衣装を着た女性陣のきわどい写真がたくさん送られてきており、浩紀はそれをそっと保存し、しっかりとロックをかけたのであった。
第2章第16話をお読みいただきありがとうございました。
今回は衣装合わせの話を書かせてもらいました。実際にコスプレしたことないため、ほぼ想像とかネットで調べた内容で書いてますのでちょっと不安ですが……。
次の話はイベント当日になるので、それまでに『その着せ替え人形は恋をする』でも見直しておこうかな(-_-;)
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次回投稿予定日:9月14日(月)




