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【本編終了】『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』  作者: サッサン
アフターストーリー第1部 第2章:1学期編

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第2章 第十四話:杏奈のお誕生日会(後編)

次回より毎日投稿はストックの関係上厳しくなってしまいました。そこで次回の投稿予定は3日後の9月8日(火)にさせて頂きます。

浩紀にエスコートされる形でリビングにつながるドアの前までやってきた杏奈。


「それではアンお嬢様、扉を開けて中へお入りください」


杏奈は浩紀にそう言われて、ダイニングへつながる引き戸の引き手に指をかけ、ガラガラと音を立てて横に滑らせた。そして一歩中へ入ると、「おめでとう」という声と同時に、一斉に杏奈めがけてクラッカーが「パン、パン、パン」と大きな音をたてて放たれたのである。

咄嗟のことに「キャッ」と言って身構える杏奈を、後ろから浩紀が優しく背中を押して席へと誘導したのだった。

杏奈が席に着いたのを確認してから、杏奈のコップにジュースを注ぎ入れる浩紀。

飲み物が全員にいきわたったことを確認してから浩紀が口を開いた。


「それじゃみんな、いくよ。アン、18歳のお誕生日おめでとう!乾杯!」


浩紀の掛け声に合わせて全員が「おめでとう」と言いながら、杏奈とグラスを合わせて乾杯した。


「それじゃあ、アンから一言どうぞ」


唐突に話を振られて焦る杏奈であったが、気を取り直して口を開く。


「今日は私のお誕生日会のために集まってくれてありがとう!みんな、これからもよろしくね」


みんなにお礼を言う杏奈を浩紀は優しい笑顔で見つめていた。


「それじゃあ、みんな食べようか」


テーブルの上には、オードブルの詰め合わせやピザにフライドポテトやサラダなどの様々な料理が所狭しと並んでいた。浩紀の掛け声でみんな一斉に料理へ手を伸ばすのであった。


ーーー


食べ始めてから30分ほどたったころ太田が浩紀に声をかけた。


「浩紀、そろそろプレゼントを渡してもいいんじゃないか?」


「ああ、そうだね。なら今から杏奈へのプレゼントを渡していこうか」


浩紀がそう言うと、沙織が口を開いた。


「なら私から行こうかな。……杏奈、お誕生日おめでとう。これが私からのプレゼントよ」


そう言うと華やかなチェック柄の包装紙に包まれたプレゼントを杏奈に手渡した。


「ありがとう、沙織。早速開けてもいいかしら?」


「うーん……。杏奈、それはここで開かないで、一人の時に開いた方がいいと思うわよ」


さらに、沙織は杏奈の耳元に顔を近づけて小声で何か伝えていた。

『これはちょっとだけセクシーな下着だから……』

沙織の言葉に顔を赤くする杏奈。


「そういうことだから、それを使って浩紀を悩殺しちゃいなさい」


そう言って沙織は楽しそうににやにやとするのであった。

続いてプレゼントを渡したのは薫であった。


「お姉ちゃん、おめでとう。これは私からね。よかったら開けてみて」


そう言って、紺色のシックな包装紙に包まれたプレゼントを手渡した。


「薫、ありがとう。早速開けさせてもらうわね」


そう言うと杏奈は包装紙を丁寧に開けていった。

中からはグレイ色のパーカーにサングラス、そしてマスクが入っていた。


「え、薫。これって……」


中身を見て言葉を失う杏奈。


「お姉ちゃんがまた浩紀さんを尾行するときに必要となるかなって思って買いそろえておいたよ。それにあの時凄くよく似合ってたから」


そう言って冷静に説明する薫であったが、口元は今にも笑いだしそうなのをこらえてひくひくさせていた。

そして続いてはケイティが名乗りを上げる。


「私は大和魂を込めたプレゼントです。杏奈、どうぞもらってください!」


最近はやりの雑貨屋さんの紙袋に入ったプレゼントを手渡した。

中身を確認する杏奈。


「ありがとう、ケイ。……これはエプロンね。生地も麻でできていて、とってもオシャレな感じで素敵だわ」


「喜んでくれてよかったです。今度それを着て私や浩紀においしいご飯作ってください!」


そう言って楽しそうに笑うケイティであった。


「もう仕方ないわね……。今度ヒロに作るときにケイの分も一緒に作ってあげるわ」


杏奈も笑顔で応じるのであった。


その後もプレゼントの受け渡しが続き、最後に浩紀の番となった。


「今日、実は二つ用意してるんだけど……。一つは今渡すけど、もう一つはあとで二人きりの時に渡してもいいかな?」


そう言って一つ目のプレゼントを渡す浩紀であった。

そのプレゼントはケイティと同じショップの袋に入っており、中身を取り出す杏奈。

それは紺色の生地にラインストーンを使って星が散りばめられたブックカバーであった。


「とっても素敵な柄ね。ヒロ、ありがとう。大切に使わせてもらうね。……それともう一つのプレゼントも楽しみにしてるから……」


大事そうにそのブックカバーを胸に抱きしめながら、杏奈は浩紀に微笑みかけた。

その後も楽しい宴は続き、あらかた料理を平らげたあと、トランプ大会が始まったのであった。


ーーー


午後11時。浩紀の家に泊まるメンバーが順番にお風呂に入っていた。

ここで浩紀が少しだけ緊張した面持ちで杏奈に声をかける。


「アン、よかったらこれから俺の部屋に行かないか」


「うん」


杏奈も浩紀と同じように緊張しながら返事を返したのであった。


ーーー


浩紀の部屋にやってきた二人。

杏奈をベッドに座らせると、机の引き出しから小さな箱を取り出した。

浩紀は杏奈の手を取って、ベランダに連れて行き、その箱を手渡した。


「アン、お誕生日おめでとう。これが二人きりの時に渡したかったプレゼントだよ。開けてみて」


浩紀に促され、少し緊張しつつも、期待に胸を膨らませながら箱を開く。


「これは……三日月のイヤリング。ヒロ、私とっても嬉しい。こんな素敵なものまでもらっちゃったら一生ヒロから離れないんだからね!覚悟してね」


もらったイヤリングを耳につけながら、心底嬉しそうに微笑みかける杏奈であった。


「それこそ望むところだよ。俺だって一生杏奈のそばにいるつもりだから覚悟してね」


浩紀はそっと杏奈を抱きしめると、彼女の顎を優しく持って上を向かせる。

空には三日月が出ており、杏奈が耳につけたイヤリングと二人のことをその優しい光で照らしていた。

そして、月明かりによってできた二人の顔の影が一つに重なっていった。


第2章第14話をお読みいただきありがとうございます。


今回は杏奈の誕生日会の後編をお届けさせていただきました。

浩紀が渡したプレゼントは三日月のイヤリングでした。

これでネックレス、指輪、イヤリングの3種の三日月のアクセサリーがそろった感じになりました。

皆さんの予想は当たってましたか?


お願い:ブックマーク及び評価★での応援をお願いします。

お知らせ:次回投稿日は9月8日(火)を予定しております。

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