第2章 第九話:ケイと好代の邂逅
今回の9話と次回の10話を読んでいただく前に、作中に何度か出てきた『シティー・クリーナー』(第1章全6話)を先に読んで頂いてからのほうが、話の内容がはいってきやすいと思います(特に第10話)。
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3年生が始まってちょうど1週間。日本の生活にも慣れてきたケイティであった。
授業がすべて終わり、ケイティがカバンに荷物をしまっていると、杏奈の前の席の加相好代のカバンについているアクリルキーホルダーが目に入ったのであった。
(まさかあれは!)
ケイティはカバンを持って帰ろうとする好代の元へ猛ダッシュで突撃した。
いきなりケイティに突進してこられ固まる好代。
「ケ、ケイティさん、い、いったいなんでございましょうか?」
緊張のあまりおかしな日本語を使う好代にケイティがアクリルキーホルダーを指さして尋ねた。
「加相さん!このキーホルダーは『シティー・クリーナー』の風間漣じゃないですか?」
「は、はいそうです。そ、それが何か?」
「私も『シティー・クリーナー』のファンで、特に風間漣の大ファンなんですよ!」
ケイティが転校初日の放課後に男子生徒の好きな男性のタイプで『風間漣』の名前を言っていたことを思い出す。
(あの時はいかに気づかれずに戦略的撤退を行うかに必死で、すっかり忘れていました。こんな重要なキーワードを見落とすなんて、加相好代一生の不覚!)
「加相さんも『風間漣』が好きなんですか?」
「もちろんでござる!私に『風間漣』を語らせたら三日三晩かかるでござるよ!」
大好きなアニメ『シティー・クリーナー』の『風間漣』の話になり、オタクモードに覚醒する好代。
オタクマジックによる呪い(上位カーストの人間とまともに話せなくなる呪い)もディスペルされて、とても流暢にしゃべっていた。
「今度一緒に熱く語り合いましょう!よかったら今度から『好代』と呼んでいいですか?」
「もちろんでござる。我はケイ殿と呼ばせていただこう!」
こうしてケイティと好代の間に新たなオタク仲間としての熱い友情が生まれたのであった。
「好代、このアクリルキーホルダーはどこで売っていますか?」
「ああ、これは池袋にあるアニメ専門店『アニマイト本店』で購入したんですよ」
「おお、池袋!聖地です!是非私も行きたいです!浩紀、今度池袋の『アニマイト本店』に連れて行ってください」
急に話を振られた浩紀。
「ええ、俺が?池袋には行けるけど『アニマイト』のお店の場所知らないんだよな……。そうだ!加相さん、よかったら今度俺とケイに付き添って、アニマイトに一緒に行ってもらえないかな?」
いきなり浩紀に声をかけられ、オタクマジックが再発動する好代。
「わ、わたしが……。会長でイケメンで人気者の浩紀氏を、え、エスコートするでございますか……」
「申し訳ないんだけど頼めないかな?もちろんお礼はするからさ」
(お礼……。これはチャンスなのでは?これで浩紀氏とも仲良くなり、さらには貸しを作ることもできる。そうなればその権利を使ってコスプレに協力してもらうことも可能なのでは……)
「わ、わかりました。で、でも……ひ、一つだけ条件が……あ、あります」
「どんな条件だい?」
「わ、私たちアニメオタクのせ、聖地に行くんですから、マナーとしてちゃんと『シティー・クリーナー』のアニメ全12話を見ておいてください!」
話の内容が段々とオタクな内容になり始め、口調が滑らかになる好代であった。
「浩紀、今夜から一緒に『アメゾン』の『プライスビデオ』で無料配信されてるから見ましょう!私の日本語の勉強にもばっちりです!」
ケイティが助け船を出したのであった。
「わかったよ。なら今週末の土曜日に一緒に池袋に行く形でいいかな?」
「はい、大丈夫です。全12話ちゃんと見て来てくださいね!そして3人で熱く語り合いましょうぞ!」
そう言うと好代はカバンを持ち「同志ケイと浩紀氏、アデュー!」と言って教室を出て行ったのであった。
その三人のやり取りを横で見ていた杏奈が浩紀に声をかける。
「ヒロ、まさか私をおいて、他の女の子たちと遊びに行くつもりじゃないでしょうね?」
杏奈は鋭い視線を浩紀に向けた。
「別に遊びに行くわけでは……」
杏奈の鋭い視線に気おされる浩紀。
ここでケイティが杏奈に提案する。
「杏奈も一緒に行けばいいです!だから杏奈も私や浩紀と一緒に『シティー・クリーナー』を見ましょう!」
こうして、その日の夜から金曜日の夜にかけて『シティー・クリーナー』のアニメ全12話の鑑賞会が浩紀の家で毎晩開催されたのであった。そしてここになにげに新たな『シティー・クリーナー』ファンが二人爆誕したのであった。
第2章第9話をお読みいただきありがとうございます。
ここではケイと好代が邂逅する場面を書かせてもらいました。
一応断りを入れておくと、浩紀はオタクになったわけでなく、「シティークリーナー」というアニメが面白いと思って、好きになったという程度です。「グッズを買いあさらねば!」とかはありません。
ちなみに今回の話は後日書く内容のための伏線となっています。
その後日がいつになるかは未定ですが、そう遠からずやってくることでしょう(笑)。
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