第2章 第八話:楽しい休日の過ごし方(後編)
『浩紀好みの洋服を誰が一番コーディネートできるで賞』の勝負を行うことを決めた三人。
ここで杏奈がルールを説明する。
「ルールは簡単よ。トータルの料金は1万円以内、時間は1時間後にこのフードコートへ集合。買った洋服に着替えるのは、浩紀が合流してからね」
「「了解」」
こうして3人の勝負が始まったのであった。
ーーー
1時間後待ち合わせ場所には予備校を終えて戻ってきた浩紀がすでに待っていた。
そして最初に戻ってきた杏奈が浩紀に声をかけた。
「ヒロ!予備校お疲れ様」
「アン、朝から一緒にいれなくてごめんね」
「ヒロが頑張ってることはちゃんとわかってるから、そんなこと気にしなくていいの!それに今こうして会いに来てくれただけでもうれしいし……」
そう言ってほほを赤くしながら浩紀に微笑み返すのであった。
そこへ薫とケイティが合流する。
三人を見た浩紀が口を開いた。
「それにしても3人とも結構いろいろ買ったんだね」
三人ともショップの袋をいくつか持っており、それに気が付いた浩紀が素直な感想を述べたのであった。
ここで杏奈が浩紀にここで待っててほしいと伝える。
「ヒロ、ちょっとだけここで待っててもらえる?すぐ戻ってくるから」
「構わないけど……」
(なんだろう?なんとなく嫌な予感がしなくもないんだが……)と首を傾げる浩紀であった。
そんな浩紀を置いて、三人は化粧室へと入っていくのであった。
(三人ともトイレを我慢していたのかな?でも三人同時に行きたくなるのも変だしな……)
浩紀が不安を抱えて待っていると三人が戻ってきた。
(え、な、なんでさっきと三人とも服装が変わってるの?いったいこれから何が起こるの……)
三人ともトイレに入る前と後で服装が変わっており、そのことに理解が追い付かない浩紀であった。
「お待たせ、ヒロ。どうかな、私の服装……。変じゃないかな?」
杏奈の服装は、清楚な白のブラウスにベージュのフレアスカート(ひざ丈)という、王道のお嬢様コーデで、恥ずかしそうに頬を染めている。
「お兄ちゃん、私はどうですか?」
薫の服装は、白いゆるふわニットにチェック柄のミニスカート、そして黒のニーハイソックスという、男心を鷲掴みにする「あざと可愛い妹コーデ」だ。
「はい、浩紀。私も見てください」
ケイティの服装は、キャミソールにデニムジャケットを羽織り、デニム地のショートパンツと合わせた健康的な魅力を引きだしていた。
三人の服装を見た浩紀は(早く着てみたかったのかなぁ)と見当違いなことを考えていた。
「三人とも凄くよく似合っていて素敵だと思うよ」
「ありがとう、ヒロ。でもできたら、三人の中から一番ヒロの好みの服装をしている人を選んでくれないかな?」
杏奈に言われたことを理解した浩紀は背中に冷や汗が流れるのを感じていた。
三人は浩紀が誰を選ぶのか、杏奈は期待と不安が入り混じったような表情で、薫は冷静ながらもどこか真剣な表情で、そしてケイティは自信満々に浩紀を見つめている。
(これって誰を選んでもいろいろと問題になるパターンじゃないのか……)
浩紀は背中に流れる冷や汗を止めることが出来ないまま、覚悟を決める。
(誰か一人を選べないのなら、ならば選ばなければいいんだ!)
「三人とも本当に素敵で、とても一人だけ選ぶなんてできないよ!」
浩紀が必死にたどり着いた答えに三人は少し不満そうな顔をする。
「仕方ないかぁ……。ヒロもこんな風に三人に同時に迫られたら、素直に私を選びづらいよね」
この杏奈の言葉に薫が反応する。
「お姉ちゃん、それは違うと思うけど。恋人のお姉ちゃんがいる手前、優しいお兄ちゃんは私を選ぶことが出来なかったんだよ」
こうして杏奈と薫の姉妹間で火花が散っていた。
「でもこれだと引き分けって言うことになるんですか?」
ケイティが二人に問いかけた。
これに杏奈が答える。
「もうこうなったらはっきりと勝敗がわかるもので勝負よ!確かここにはボウリング場があったはずだし、そこで決着をつけましょ!」
こうして女性三人の争いはボーリングのスコアで争われることになったのであった。
ーーー
ボーリング場に着き、手続きを終えた4人はボールを取りに行く。女性陣三人はひどく真剣な表情でボールを選んでいた。
投げる順番は浩紀、ケイティ、薫、杏奈の順に決まった。
浩紀は一人順調に点数を稼いでいく。そして薫は浩紀に甘えるように投げ方を手取り足取り教わっていた。それを見てイライラする杏奈、これはまさに薫による精神攻撃であった。
スコアは前半は冷静に点数を重ねていった薫が頭一つ出ていたが、ケイの思い切りのいい投げ方が波に乗り始め、ストライクを連発し一気に追いついてきたのであった。
薫の精神攻撃でイライラさせられていた杏奈は、安定を欠き、折り返し時点で約20点の差をつけられていた。
ここで浩紀が杏奈の両肩に手を置き、優しくもみ始めたのであった。
「アン、肩に力が入りすぎだよ。少し落ち着いて。俺はいつでもアンの事応援しているから頑張ってここから追い上げよう!」
そう言って杏奈を送り出したのであった。
そしてここから杏奈の快進撃もあり最終の10フレーム目には3人とも同スコアという稀に見る接戦となっていた。
ーーー
最終的な結果が出ていた。一位は浩紀で192点、2位は薫とケイティが128点、そして4位が杏奈で127点であった。
この結果、薫とケイティがダブル優勝となった。落ち込む杏奈の前で、浩紀の両サイドに分かれる薫とケイティ。
浩紀はこれから何が起こるかまったく知らされていない。ここで薫が浩紀に目を閉じるようにお願いする。浩紀は何の疑いもせず目をつぶった。
すると両サイドのほほに「チュッ」という音とともに柔らかな唇の感触を感じ、驚いて目を開けるのであった。
「え、え、なんで二人は頬にキスしてるの?」
焦る浩紀に薫が答える。
「これが勝者のご褒美だったので。ごちそうさまでした」
そう言って浩紀にウィンクする薫とケイであった。
その後、家に帰るまで間、どんよりと落ち込んでいる杏奈を隣で慰める浩紀であった。
ーーー
自宅前まで帰ってきた4人。前を歩いていた薫とケイティはそれぞれの家へと入っていった。
ここで浩紀は杏奈の耳元でささやく。
「ホントは杏奈が一番かわいいって思ってたんだよ。素直に言えなくてごめんね。これはお詫び……」
そういうと、杏奈のほほにキスしたのであった。
真っ赤になる杏奈。
浩紀が優しく抱きしめると、杏奈も浩紀を抱きしめ返す。
「ヒロのバカ……。フードコートで言ってくれればよかったのに……。許してほしかったらほっぺじゃなく、こっちにして……」
そう言うと顎を少し上げて目をつぶったのであった。浩紀の顔が杏奈に徐々に近づいていく様子を夕焼けが照らしていた。そして、夕焼けによってできた二人の顔の影がゆっくりと重なっていったのであった。
第2章第8話をお読みいただきありがとうございましす。
今回は前回に引き続き、ショッピングモールでの三人娘の戦いについて書かせていただきました。
読んで頂いてみて、最終的な勝者はだれだと感じましたか?よかったら教えてください。
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