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【本編終了】『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』  作者: サッサン
アフターストーリー第1部 第2章:1学期編

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第2章 第五話:暗躍する二人組

浩紀たちがフードコートで話しながらお昼を食べている場所から少し離れた場所で聞き耳を立てている二人組がいた。その一人は先ほど教室で浩紀たちに声をかけようとしたが断念し、戦略的撤退を余儀なくされた『加相 好代』であった。


「部長、今の『浩紀氏×太田氏』の話お聞きになられたか?」


興奮気味に、されど浩紀たちに聞こえないように小声で相手に話しかけた。


「ちゃんと聞いていたぞ、副部長。これはとんでもないネタだぞ!」


部長と呼ばれた少女の小声で返した。

この部長と呼ばれた少女の名前は『富助(ふじょ) 詩多夜(しだよ)』という名前で、まさにオタク神に愛された名前を持っていた。ちなみに『漫画研究部』の部長である。

ここで好代が詩多夜に小声ながらも熱く語りかける。


「これはまさにオタク神が我らに与えし試練だと思いませぬか、部長!」


「副部長よ。それは私も感じていたことだ。ただ一つだけここで問題がある……」


「それはいったい何なのですか、部長!」


メガネを指先でクイっと上げ、メガネをきらりと輝かせる詩多夜


「それは……どちらを攻めにし、どちらを受けにするかということだ!」


「そ、それは……。やはり通常であれば、会長である浩紀氏が攻め、太田氏が受けなのではないでしょうか?」


「はぁー」とため息をつきながら、大きくゆっくりと首を左右に振る詩多夜。


「浅い、浅いぞ、副部長!生徒会長である浩紀氏が太田氏の前でだけ弱気になるという裏設定を与えることによって、さらなる萌えへと昇華させることが出来ると思わんか!」


これに好代も熱く反論する。


「待ってください、部長!やはりここは浩紀氏に『太田、いや、俊。お前は本当に可愛いな』なんて言わせたいじゃないですか!ここは譲れませんよ!」


熱く議論を白熱させる二人。

幸いなことに浩紀たちはすでに別の場所へ移動しており、この会話の内容を聞かれることはなかった。

ここで詩多夜が一つの提案をする。


「ここでこれ以上話していてもらちがあきそうにない。そこでここはひとつ、どちらが正しいかはっきりさせるためにも勝負をしようではないか」


怪訝な顔をする好代。


「勝負ですか?いったいどんな?」


「我ら漫画研究部は毎年文化祭で自主製作の薄い本を作って販売している。そこでだ、私と副部長の作った『浩紀氏×太田氏』の『BL本』をそれぞれが思う攻めと受けで作り、販売するのだ。その販売部数で勝敗を決めるというのはどうであろう?」


不敵な笑みを浮かべる好代。


「そういうことでしたら喜んで受けて立ちますよ、部長!今から文化祭が楽しみです」


そうして二人は熱く握手を交わし、オタク神の名のもとに正々堂々闘うことを誓ったのであった。


ーーー


時は流れ文化祭を明日に控えた漫画研究部。

二人はそれぞれに浩紀と太田をネタにした『BL本』を完成させていた。

そして出来上がったものをお互いに読み合っていた。


「部長、さすがです。これほどまでのクオリティを出されるとは……」


「ありがとう、副部長。しかし、君の書いたこの作品もとても良くできている。明日はよい戦いができそうだな」


そして二人はギュッと握手をし、明日から始まる熱い戦いを正々堂々闘い抜くことを確認し合ったのであった。

そんな握手を交わしているときに、放送が流れる。


『漫画研究部の部長及び副部長は直ちに生徒会室まで来てください。繰り返します。漫画研究部の……』


ーーー


生徒会室には浩紀から代変わりして新生徒会長になった薫が一人椅子に座り、テーブル越しには、緊張で引きつった顔をしながら立たされている漫画研究部の部長と副部長がいた。


「あなたたちは明日これを販売しようとしていたみたいですが……。こんな物を学校で本気で販売するつもりだったんですか?そもそも18禁なうえに本人たちの許可は取ってあるんですか?」


「す、すいません。と、取ってないです……」


二人は薫という最上位に君臨する人間を前にして、この上ない緊張を強いられ、『オタクマジック』により普通に話すことも困難になっていた。


「明日、これらを販売することは禁止にします。破ったら漫画研究部は即廃部ですから。後この2冊は私の方で参考資料として預かりますので。わかったらもう行っていいですよ」


「で、でも、あ、明日……は、販売し、しないのであれば、ぼ、没収しなくても……」


「私の決定に文句があると?」


氷のように冷たい視線を向ける薫。


「な、何でもありません!し、失礼します」


こうして薫の手によって浩紀と太田の『BL本』が生徒たちの目に触れることは阻止されたのであった。

ちなみに没収された2冊の本であるが、その後、学校側に提出されたとの報告は上がっていない。

その日以降、自宅で時々夜遅くに杏奈がどこからともなく聞こえてくる不気味な吐息とページをめくる音を聞いた話を浩紀にするのであった。


ーーー


謎の女性(勉強机の上の小さな照明だけしかついていないため誰だかわからない)は、


「これは私だけのお宝……。大事に保管しておくからね、お兄ちゃん」


とつぶやいたのであった。

第2章 第5話をお読みいただきありがとうございます。


今回は新キャラ『富助(ふじょ) 詩多夜(しだよ)』が初登場しました。ちなみに説明はいらないと思いますが、「富助 詩多夜 ➡ ふじょ しだよ ➡ ふじょしだよ ➡腐女子だよ」となります(笑)。

本編最初の1話目で登場人物が多いと言われてしまったことがあるのに、アフターストーリーが始まってからすでに3人(ケイ、好代、詩多夜)の新キャラを出してしまいました(-_-;)

どうか頑張って覚えてあげてください(笑)。


お願い:ブックマーク及び評価☆での応援をお願いします。皆様の応援が僕に続きを書く勇気を与えてくれますから(^▽^)/ 

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