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【本編終了】『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』  作者: サッサン
間幕

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間幕 第二話:お花見の肴は「太田君と敦子ちゃん」(後編)

「俺たちが出合ったのは小5の時だったな。敦子の家族が俺のうちの隣に引っ越してきたときからだよ」


そう言うと太田と敦子は出会った頃へと思いを馳せた。


ーーー


春休みの太田家のリビング。母親が居間のテレビでゲームをやっている息子に声をかけた。


「俊、そういえば今日お隣さんが引っ越してくる日だったわね。今度引っ越してくるお宅にもあんたと同じ学年のお子さんがいるそうよ。ちゃんと仲良くしてあげなさいよ」


母親は俊が小学校に行ってる間に挨拶に来たお隣の家族のご夫婦と会っており、その時に俊と同じ年の娘さんがいることを聞かされていた。


「ふーん。会ってみていい奴そうなら仲良くしてやるよ」


「またそんなこと言って。でもかわいい子だといいわね。将来、俊のお嫁さんになってくれるかもしれないしね」


「そんなわけないだろ!」


そんな会話をしていると、太田家のインターホンが鳴らされた。

母親が玄関へ向かい、訪問者の応対をする。少しして戻ってくると、母親は俊を呼びに来た。


「お隣さんが挨拶に来てくださったから、俊も挨拶しなさい。……お隣の娘さんも一緒にいるわよ」


そして母親は俊の耳元で小声で話しかけた。


「おとなしそうな子だったけど凄く可愛い子だったわよ」


そう言って俊の顔を見てニヤッと笑ったのであった。


ーーー


母親に連れられて玄関へやってきたそのときが、俊が初めて敦子と出会った運命の瞬間であった。

俊は敦子の姿を見て思わず息を呑んだ。


(めっちゃ可愛い……)


「さあ、俊。敦子ちゃんに見とれてないで挨拶しなさい」


母親のその言葉で意識が戻ってきた俊は顔を赤くしながら挨拶をした。


「お、太田俊です。……今度の4月から小学5年生です」


その挨拶を聞いた敦子の母親が微笑みながら、優しそうな声で俊に話しかけた。


「うちの敦子も俊君と同じ学年で、一緒の学校に通う事になるの。よかったら仲良くしてあげてね」


俊は顔を赤くしたまま大きく頷いた。


「あらやだ。この子ったら敦子ちゃんが可愛かったもんだから緊張して声が出なくなってるみたいよ」


そう言って豪快に笑っていた。


「さあ、敦子も俊君に挨拶して」


母親のスカートを握っていた敦子が緊張した顔をしながら俊に挨拶をした。


「は、花山敦子です。これからよろしくお願いします」


その挨拶に俊も答えた。


「う、うん。……よ、よろしく」


これが俊と敦子が初めて交わした会話であった。


ーーー


俊と敦子はそれからは毎日一緒に学校へ通うようになり、二人が仲良くなるまでさほど時間は必要としなかった。

中学も同じ中学に通うことになった二人であった。

俊はテニス部に、そして、敦子は文学部に入部した。

2年生になり、俊がレギュラーになると、その大会にはいつも敦子が応援しに行っていた。

俊はもともと運動神経が良く、テニスでも頭角を現していた。

その年の地区大会で敦子の応援を受けながら、順調に勝ち進んでいき、決勝までやって来ていた。

決勝戦の相手は高校で親友となる浩紀であった。

二人の実力は拮抗しており、試合は一進一退の様相を呈していた。

稀に見る好ゲームに観客がどんどんと増えて来ていた。

俊が鋭いサーブを決めれば、次のサーブを浩紀がレシーブエースを決める。

フルセットの末浩紀がマッチポイントを迎えていた。

サーブは俊。


(ここでポイントを取ればデュースに持ち込める!)


俊が鋭いサーブを理想的なコスへ叩き込んだ。

その時浩紀の背中から女の子の大きな声が浩紀へ届いていた。


「ヒロ!決めちゃってー!」


その声の推されるように浩紀が予想以上に素早くサーブのコースへ移動し鋭いレシーブを返したのであった。俊は一歩も動くことが出来なかった。


「ゲームセット」


こうして初めての浩紀と俊の試合は浩紀に軍配が上がったのであった。

俊は試合が終わり、お互いに握手をする際に初めて浩紀と会話をしたのだった。


「今日の試合すごい楽しかったよ。また来年もやろう!」


浩紀が俊にそう声をかけた。


「来年は俺が勝つから、俺に当たるまで負けるんじゃねえぞ!」


こうして二人のライバル関係が始まったのである。


ーーー


三年生の時の大会では今度は逆に俊が決勝で浩紀に勝ち地区大会の優勝を飾った。

俊はこの時の結果から、永徳高校への推薦を受けることが出来たのであった。

高校で浩紀と再会したときにはお互いにびっくりしたのは今となってはいい思い出である。

テニスの地区大会で優勝したことと、もともと見た目が整っていたこともあり、中学3年生の時のバレンタインではたくさんの女子からチョコをもらうほどの人気ぶりであった。

それに焦ったのが敦子であった。


(このままだと俊君が他の女の子にとられちゃう……。そんなの絶対に嫌!)


そう考えた後の敦子の行動は早かった。

その日のうちに俊を誰もいなくなった教室に呼び出したのであった。

呼び出された俊が教室へやってくると、すでに敦子は教室にやって来ていた。


「敦子、来たぞー」


「俊君!」


顔を真っ赤にした敦子がカバンから、可愛らしくラッピングされたチョコレートを取り出し、俊の前に突き出した。


「し、俊君。わ、私初めてあった時から俊君の事かっこいいって思ってて、その後もずっと一緒にいてくれて……、気が付いたらどうしようもないくらい俊君の事……す、好きになってました!だから私を俊君の彼女にしてください!」


俊は、目の前で精一杯の勇気を振り絞る敦子の姿に、思考が止まるほど衝撃を受けていた。

ずっと隣にいた幼馴染。そしてずっと隣にいたいとも思っていた女の子。


「……敦子。俺も初めてあった時に敦子に一目ぼれしてたんだ。だから、その時からずっと、敦子のことが好きだっだ。ほんとは卒業式の時に俺から『彼女になってください』って言おうと思ってたんだけどな」


そういうと、緊張していた敦子を優しく抱きしめたのであった。

この瞬間から二人は「仲良しの幼馴染」から「かけがえのない恋人」へと変わったのであった。

抱きしめ合う二人を窓から差し込む夕日が赤く照らし、二人の顔が赤くなっていたのを隠してくれていた。


ーーー


「てな感じかな。これが俺たちの『なれそれ』ってやつだな」


「それを言うなら『馴れ初め』ね。それにしても、敦子ちゃんって結構勇気あるよね。太田、あんた敦子ちゃんのこと一生大事にしないとだめだからね!」


「杏奈に言われるまでもなく、一生大事にするに決まってるだろ!」


太田は顔を赤くしながら杏奈に言い放った。敦子もそれを聞きながら太田に負けないぐらい顔を赤くしていた。


「杏奈こそ、ずっと杏奈のためにいつも一生懸命な浩紀の事を大切にしないと罰が当たるからな」


「そんなの当り前だよ!。私はヒロからもう二度と目をそらしたりしないんだから!」


そんな二人を見ながら薫が浩紀の耳元でささやいた。


「私もいつも浩紀さんの事考えてますからね。お姉ちゃんに嫌気がさしたらいつでも言ってくださいね、大好きな浩紀さん」


反対側の耳元では沙織がささやく。


「私もいるからね。大好きだよ浩紀」


「薫!沙織!あんたたちなにしてるのよ!ヒロは私のヒロなんだからね!」


杏奈が定番のフレーズを叫ぶ声が響くと、そこにいた全員が楽しそうに笑いだしたのであった。

満開の桜がここにいる全員の前途を祝福していた。


間幕 第二話:お花見の肴は「太田君と敦子ちゃん」(後編)をお読みいただきありがとうございます。


太田君と敦子ちゃんお話はいかがでしたでしょうか。3年生の時浩紀が太田に負けるのですがこれには実は裏話があったりします。

その内容については明日、明らかになります!


明日は浩紀と太田の中三での試合での出来事を投稿します。明後日からは物語の完結へ向かうための外伝3話を投稿していく予定です。出来ましたら皆様からのブックマーク及び評価☆で応援していただけたら嬉しいです。


明日も1話投稿しますので、よろしくお願いします(時間は未定)。


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