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【本編終了】『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』  作者: サッサン
第9章:チョコレート白書

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第9章 第四話:水族館デート、愛の誓い

バレンタインデーのあった週の週末の土曜日。

浩紀と杏奈は品川プリンスホテルの受付に来ていた。

文化祭のベストカップルコンテストの優勝景品である品川プリンスホテルの宿泊券と水族館の無料券を持って。

ちなみに二人は両親に頼み込んで、許可をもらってやって来ている。

品川プリンスホテルにチェックインを済ませ、少しだけ背伸びをしたような気分のまま、二人は併設された水族館へと足を運んだ。

夜の水族館は、昼間の賑やかさとは一変し、深い青色に包まれた幻想的な空間だった。


「わあ……ヒロ、見て! クラゲがライトアップされてて、すごく綺麗……」


杏奈は子供のように瞳を輝かせ、水槽を見上げている。

その横顔を、浩紀は眩しそうに見つめた。

付き合う以前の杏奈は、こうした場所にいてもどこか「博康とのデート」をイメージしているような感じがあったが、今の彼女の瞳に映っているのは、間違いなく「今、隣にいる浩紀」であり、浩紀との事しか考えていなかった。

やがて二人は、メインイベントである円形劇場へと向かった。

そこでは、天井から降り注ぐ光のカーテンと、音楽に合わせて舞い踊る噴水のショーが始まろうとしていた。


「すごい……」


暗転した会場の中、360度から降り注ぐ水しぶきが、七色の光を反射してダイヤモンドのように煌めく。

その幻想的な光景の中心で、杏奈はうっとりと息を呑み、思わずといった風に呟いた。


「……きれい」


水飛沫のカーテン越しに揺れる光が、杏奈の白い肌を青く、あるいは桃色に染めていく。

杏奈はショーの美しさに心を奪われていたが、浩紀は違った。

隣で熱心に見入る彼女の、震えるほどに長い睫毛、潤んだ瞳、そして少しだけ開いた唇……。


「……ああ。本当に、きれいだ」


浩紀の言葉は、ショーに向けられたものではなかった。

その視線の熱に気づいたのか、杏奈がふっと顔を上げる。


「ヒロ?」


「アン。ショーはとてもきれいだけど……そのショーを見て感動しているアンは、それ以上にきれいで、ずっと見とれていたよ」


図書室での誓いを経て、もはや隠す必要のない独占欲。

浩紀は、杏奈の細い肩を引き寄せ、耳元で誓うように囁いた。


「世界中で、アンが一番綺麗だ。……この間のバレンタインの時に言ってくれた言葉、本当に嬉しかったんだ。だから、こらからは俺の全てを使って、アンを幸せにしてみせるよ」


「……っ、ヒロ……」


浩紀の言葉を聞いた杏奈の目は潤んでいた。

それは浩紀の強い決意を聞いて、深い幸福感に満たされた証だった。

二人は周囲の視線も忘れ、降り注ぐ水のカーテンのすぐそばで、誓いを確認し合うように深く、深く抱き合った。

ショーが終わる頃、二人の間には言葉にならないほどの「熱」が溜まっていた。

水族館の出口へ向かう足取りは、どちらからともなく早くなる。

冬の夜風すら、今の二人にとっては、火照った身体を冷めさせることはなかった。


第9章第4話をお読みいただき、ありがとうございます。


今回とうとう文化祭のベストカップルコンテストでゲットした景品を使う時がやってきました。

この話では宿泊券と一緒に渡されて水族館の入場パスから。

エプソンの水族館へ行ったのは約10年前ですが、思い出したり、ネットで見たりしながら書かせてもらいました。

明日はとうとう宿泊のお話です。お見逃しなく!


この物語を応援して下さる方はブックマーク&評価☆にてよろしくお願いします。皆様からの応援が、この物語のラストスパートを後押しする力になります。


明日も19時15分に投稿しますので、よろしくお願いします。


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