第一話:沙織の初恋
今回は沙織が浩紀を好きになったきっかけについて書いてみました。是非ご覧ください。ちなみに崩していた体調も少しずつ回復してまいりました。通常通りに投稿できるようになるまであと少しお待ちください。
※この話は第1章第三話へと繋がるエピソードです。
私は畑中沙織。永徳高校2年生、茶髪のショートカットが似合う彼女は、細身でありながら驚くほど出るところが出た、男性の視線を集めてしまうようなメリハリを持つ完璧なスタイルの持ち主で、男子からも女子からも慕われる学校の人気者であった。
外見も性格も、校内でトップクラスだと自負している。
私は中学時代から結構な回数告白をされている。
一度だけ、中学3年生の時にグループで遊ぶ仲だった男子と付き合ったこともある。
けれど、それも1か月と持たなかった。
彼と付き合うことで「彼氏を優先させられることで、他の子たちと自由に遊べなくなる」という状況が、どうしようもなく苦痛に感じてしまったからだ。
私にとって付き合うということは、友達関係の延長でしかなく、特定の誰かと重い関係になることは足かせでしかなかった。
ーーー
そんな沙織の心が動いたのは高校に入学したときであった。
入学式で新入生代表挨拶で全校生徒の前に立った男子を見たときであった。
その男子の名前『桐谷浩紀』。
そのハイスペックな外見に加え、挨拶をしているときの落ち着いた雰囲気やハキハキとしたしゃべり方など沙織の瞳を釘づけにしていた。
浩紀はが気づいていなかったが、あの時、会場の多くの女子生徒が同じように彼に目を奪われていたらしい。それほど、彼は眩しかった。
沙織はすぐに浩紀に声をかけて仲良くなりたいと思っていたが、それをすることはできなかった。
その理由はいつも隣に河合杏奈がいたからである。
河合杏奈は女の沙織が見ても飛び抜けた美人であり、成績も優秀で先生や友達からの信頼を集める太陽のような存在であった。
沙織はそんな二人を見ながら歯がゆく感じていた。
これが沙織にとって初恋というよりも憧れに近かったのかもしれない。
ーーー
そんな状況が変わったのは2年生になった時である。
沙織は浩紀と同じA組になり、杏奈がB組になったのだ。
(これは神様が私にくれたチャンスに違いないわ!この一年間で彼をものにしてみせるわ)
沙織は強い決意するのであった。
ただ浩紀を前にすると、沙織が今まで感じたことのない緊張をしてしまい、声をかけられずにいた。
そんな中、浩紀をより好きになる出来事があった。
ある日の移動教室の際、沙織は廊下で他の生徒とぶつかり、持っていた教材を派手に落としてしまったことがある。
周囲が気に留めず通り過ぎる中、近くにいた浩紀だけがすぐに足を止め、一緒に拾うのを手伝ってくれたのだ。
「災難だったね」
最後にそう言って、優しい笑顔とともに手渡された一本のボールペン。
それを手に取る瞬間、ほんのわずかに彼の指先が沙織の手と触れ合った。
その刹那、身体に電流が走ったような衝撃が駆け巡り、経験したことのないほど、心臓の音が鳴り響いていた。
その時のボールペンはすでにインクが切れてしまったが、今も自宅の引き出しの中に大事にしまわれている。
それはまさに、彼女の恋心が「憧れ」から「明確な恋」へと完全に変貌した瞬間だった。
沙織はこの恋を成就させるうえで一つのことを決めていた。
それは正々堂々と杏奈から浩紀を正面から奪うことであった。
(誰にも後ろ指刺されないやり方で、彼を手に入れてみせる)
強い決意をして、沙織は夏休みの軽井沢の計画を親友の太田と話す浩紀の元へと近づいていくのであった。
第一話:沙織の初恋をお読みいただきありがとうございます。
今回は沙織がどのようにして浩紀を好きになったかについて書いてみました。
最初はどちらかというと憧れだったものが、徐々に恋へと変わっていった様子の一端を書いています。
そしてこの話の後に本編へとつながり、浩紀への想いがさらに強くなっていきます。
今回は体調が悪いこともあって、以前書いておいたものを修正だけして出させていただきました。
だいぶ薬が効いてきたのか、6割がた体調が戻ってきましたので1~2日程度でまた投稿を通常通り再開できると思います。申し訳ありませんがブックマークを登録の上、更新通知を受け取る設定にしていただけると助かります。




