第六章 11 また西の森
11 また西の森
三月十六日。今日も私は西の森へ向かった。
弁当には、ジュース20テニエルと砂糖ギーム揚げ(ドーナツ)50テニエル、それから『いかメーコ』というものが50テニエルだったので買ってみた。いかの胴体にメーコをいくつも詰めた、いかめしのような料理だった。
一晩休んだので体力も気力も回復している。ピクシーが何匹出てきても負けないぞという心構えで、私は森の奥に進んだ。
やがて私の気持ちに応えるように、ピクシーが現れた。しかも二匹だ。
「二匹まとめてだって、頑張れば倒せるはず!」
私はナイフを抜き、戦闘態勢に入った。
ピクシーが風の魔法を使ってくる。私は木の幹を背にしてそれを耐える。火の玉の魔法で反撃するため、両手を向き合わせて集中する。
だが今、ピクシーは二匹いるので、片方が魔法を使い終わってももう片方が次の魔法を使ってくる。私は風の圧力を受け続け、精神集中が途切れそうになる。
それでも、なんとか手の中にできた熱を消さないように耐えた。だが、この状況では火の玉をうまくピクシーに当てられるかどうか。それに、一匹にうまく当たったとしても、もう一匹は無傷だ。
……だったら、こうだ!
「炎よ!」
私は手の中の熱を、火の粉のように振らせた。これならどちらのピクシーにも当たる。
火の粉を受けた二匹のピクシーは私を睨み、それぞれが風の魔法で火の粉を吹き飛ばす。
ピクシーがその行動を取ることを予測していた私は、木の裏側に隠れて火の粉をやり過ごす。
火の粉が消えたのを確認し、私は木の表に戻る。そして同じ戦法を続けた。
木を背にして、ピクシーの風に耐えながら精神集中する。火の粉の魔法で二匹同時にダメージを与え、風で火の粉が吹き飛ばされる前に木を盾にして身を守る。
それを繰り返すと、火の粉のダメージが蓄積し、ピクシー二匹の動きが鈍ってきた。
今だ。私はナイフを構え、ピクシーに向かっていった。まず手前のピクシーに狙いを定め、切りつける。
ズバッ!
「ギャッ!」
ナイフは命中し、ピクシーの体に大きな傷が付く。血は出ない。
「風よ!」
もう一匹のピクシーが風の魔法を使い、私は近くの木にぶつかる。
だがピクシー二匹は弱ってきている。すぐに次の魔法を使ってはこない。その隙に私は体勢を立て直し、もう一度切りつけに行く。
ズバッ!
「ギャアア……」
ピクシーを一匹倒した。ピクシーは光になって私の蓄光石に吸い込まれていく。
「風よ!」
残ったピクシーが攻撃してくるが、あとは弱ったこいつを倒すだけだ。私はすぐに体を起こし、反撃に移る。力を振り絞り、何度もナイフを振り下ろす。
「ギャアアア……」
ついに、二匹目のピクシーも倒すことができた。
「や、やったあ……」
蓄光石に光が吸い込まれるのを見ながら、私は脱力した。




