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目覚めたら異世界で人魚だった  作者: 御餅屋ハコ
目覚めたら異世界で人魚だった 第三章
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第三章 19 その後の収入と支出


  19 その後の収入と支出


 次に見つけたのはゴブリン二匹だったので、私は近づかずに別の場所に向かった。

 それから、ザーコウオ二匹を見つけたので、戦って倒した。その後でキヴァーヲが二匹いるのも見つけ、倒した。しばらくしてザーコウオを一匹見つけたので、倒した。

「一匹だけのゴブリンがいるといいんだけどな……」

「そう都合良く敵が現れるとは限らんのだ」

 私のぼやきにノアタムが答える。

「魔物を倒すのにも時間がかかるけど、魔物を見つけるのにも時間がかかるんだね」

 戦闘ごとに休憩していたので、持ってきたお菓子もかなり減ってきていた。戦闘だけでなく、魔物を探して警戒しながら林の中を泳ぐだけでも結構疲れるので、お菓子をつまみたくなる。今朝は初めてのお菓子にテンションが上がってちょっと買いすぎたかと思ったが、ちょうどいい量だったようだ。

「そうだ。とくにこの林は、その三種の魔物しかいないようだからな。もっと深い森へ行けばエンカウント率も上がるはずだぞ」

「でも、てことはもっと強い敵がいるんでしょ? 一人で倒せるかなあ……。

 仲間がいるならいいよ。でも、攻撃だって回復だって自分一人でやるんだもん、ゴブリンより強い敵が、しかも複数出てきたら、勝てるとは思えないよ……」

「うむ……。ひとまず、今日夕方まで戦ってみて、収支を計算してみてはどうだ」

 私はうなずき、日暮れまで魔物を探して戦った。だが、すでに夕方近くになっていたので、後はザーコウオ二匹しか倒すことができなかった。

 そして町に戻り、鑑定屋が閉まる前に換金した。

 今日の成果は、ゴブリン二匹、キヴァーヲ四匹、ザーコウオ五匹だった。それぞれ基本価格が150、80、50で、個体差でばらつきがあるため、合計で752テニエルになった。

 そして今日の支出は、宿代が500、朝食が50、昼食とおやつが200、そして夕飯も200テニエル分注文した。合計で950テニエル。

「赤字だ」

 飲食店で、魚と魚卵のパスタ80テニエルを食べながら私はつぶやいた。

「おやつや食事代をもう少し減らせばなんとかなるのではないか……」

 ノアタムがテーブルに並んだ料理を見ながら私にささやいた。

「ええ~? でも、疲れておなか空いたもん。おやつだってあのぐらいないと、朝から晩まで戦うのに、HPとMPが尽きちゃうよ」

「宿屋も、もう少し古びた施設だと一泊40テニエルのところがあるかもしれんがな」

「でもそういうところがうまく見つかるかわかんないし……。とにかく、もうちょっとだけおやつは減らして、もう少し魔物を倒せないか、明日もやってみるよ」

「そうだな。何日か様子を見てみよう」

 私はノアタムと話しながら、薄焼き砂糖メーコ50テニエルを口に入れた。米粉のパンケーキのような味がした。

 次の日、私はお菓子代を100テニエルに押さえ、お菓子とお弁当を持って魔物狩りに出かけた。

 日暮れまで戦い、ゴブリン三匹、キヴァーヲ二匹、ザーコウオ五匹を倒した。合計で858テニエル。

 支出は、夕飯も180テニエルに押さえたので、合計で890テニエル。それでもわずかに赤字だ。

 翌日はゴブリン四匹、キヴァーヲ一匹、ザーコウオ二匹で合計780テニエル。支出は890テニエル。

 翌々日も、その次の日も同じように魔物狩りに出かけ、収支を計算した。だが、大体同じ感じだった。

「どう頑張っても赤字だなあ……」

 林の中で、弁当を食べながら私はため息をついた。今日も、昼になる前にゴブリン一匹とキヴァーヲ一匹は倒した。だが、これから夕方まで戦っても、やはり一日の収入は800テニエル程度だろう。

「朝のうちに林に来て、夕方に帰ってくわけだから、休憩を含めても、実働七時間か八時間ってとこ? だから時給に換算すると千円ぐらいだし、決して低くはないと思うけど……」

 私ははさみパンを口に頬張った。

「生活費がそれを上回ってしまうからな」

 私の隣に三脚で立ちながらノアタムが言った。

「もうちょっと早起きしてこっちにくれば、あとゴブリン一匹ぐらいは倒せるかも知んないけど、それで収入がプラスになったとしてもギリギリだもん、一日でも魔物狩りを休んだらマイナスだよねえ」

「うむ……」

 私の戦い方は、防御、というか回避に重点を置いている。怪我は最小限に抑えられるが、時間がかかる。自分が一日に倒せる魔物の数の限界はなんとなく見えてきた。

「仲間がいれば、背後に気を配らなくてもいいし、攻撃と回復と分担出来るし、そしたら二人で二倍以上の敵を倒せるから、収入がもう少し増えると思うんだけど」

 私はノアタムを見る。

「いや、だが、わしが神であることがお前以外の者にばれると困るのでな……」

「だから私に一人旅をしろっていうんでしょ? だったら、もうちょっと私の能力を上げるとか、神の力でなんとかしてよ」

「しかし、シンの能力はもう確定してしまったのだ。そのナイフさばきと、火、風、回復の三つの魔法。それでシンは旅をしていくしかない。できんことはないのだ。もう少し効率よく魔物を倒せる場所に行けば……」

「でも、あんたは私に、この世界の設定に矛盾がないか見て欲しいんでしょ? 効率のいい魔物狩りスポットにしか行けないんじゃ、それ以外の場所を見て回ることができないよ。

 他の人魚とパーティを組むな、でも世界は見て回れ、ってノアタムが希望してるんだから、じゃあ神の力でちょっとはフォローしてよ」

「うむ……」

 ノアタムはしばし考え込んだ。

 私が弁当を食べ終わるころ、ノアタムがこう言った。

「よし、ではこうしよう。お前は魔物狩り屋、兼、宝貝ハンターだ」


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