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目覚めたら異世界で人魚だった  作者: 御餅屋ハコ
目覚めたら異世界で人魚だった 第三章
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第三章 18 お菓子を持って魔物狩り


18 お菓子を持って魔物狩り


 昨日と同じように町の南西の林に向かい、茂みの中に入っていく。辺りに注意を払いながら進んでいくと、ゴブリンとキヴァーヲの組み合わせを発見した。一対二とはいえ片方は魚なので、私は戦いを挑んでみた。

 昨日、ゴブリンとザーコウオの組み合わせと戦ったときのように、まずはゴブリンに集中する。棍棒を食らわないようにしつつ、自分の攻撃を当てる。

 だが、ザーコウオに突進されても大した怪我はしないが、キヴァーヲに噛まれると痛い。ゴブリンとキヴァーヲ、両方の攻撃を避けることを第一に考えて戦ったので、なかなか自分の攻撃が当てられない。

 それにゴブリンの棍棒を一番に警戒しているので、どうしてもキヴァーヲに対する防御がおろそかになり、牙が何度か自分の体をかすめていった。だが、深く噛まれるのはなんとか回避出来たので、大騒ぎはせずにすんだ。

 時間はかなりかかったが、なんとか自分一人で、ゴブリンとキヴァーヲを倒すことができた。

「ああー! やったぁー!」

 私は疲れ果て、木の根元に座り込む。

「おなか空いたし、さっそくおやつを食べよう……」

 自分に回復魔法を掛けた後、私は鞄から今日買った三種類のおやつすべてを取り出した。まずは蜂蜜ギーム焼きを口に含む。蜂蜜クッキーの味だ。食べながらノアタムにぼやく。

「ゴブリンとキヴァーヲでなんとか勝てるレベルだから、ゴブリン二匹はやっぱり難しいかも……」

「ふむ……。さっきはゴブリンを先に倒すことを考えていたよな。先にキヴァーヲを倒したらどうだ」

「ええ? でも、棍棒で殴られたら痛いもん」

「もちろん棍棒には注意を払っておくのだ。RPGの戦闘で敵が二匹の場合、強いのを先に倒すか、弱いのを倒すか、それとも全体魔法で二匹同時に倒すか、と、戦法はいろいろあるだろう」

「そうだねえ……。棍棒だけはよけつつ、HPの低いキヴァーヲを先に倒した方が私のダメージは少ないかな?

 んーでも、RPGならそろそろレベルアップしてもいいころだと思うけど」

「ゲームではプレイヤーを飽きさせないために短時間でレベルアップするが、こうしてリアルに魔物と戦う場合、シンの体力や攻撃力が、数日で劇的に変化するわけがなかろう。

 戦いの経験を積み、効率の良い戦い方を考えることで、少しずつ倒せる敵の数を増やしていくしかない」

「まあねえ……」

 私は砂糖メーコ揚げを口に入れた。ドーナツのような味だ。

「そういえば、私は一人だから魔物を倒すとその光が全部私の蓄光石に入るけど、パーティ組んで戦ったらどうなるの?」

 先日、私の怪我を治してくれた魔法使いも、戦士二人と一緒に行動していた。今日、弁当屋で見た魔物狩り屋も、数人のグループだった。

「複数の人魚で魔物を倒した場合、蓄光石に入る光は均等に分配される。

 100テニエル得られる魔物を一人で倒したら、その人魚が100テニエル分の光を得る。二人がかりで倒したら、きっかり50テニエルずつの光がそれぞれの蓄光石に入る。三人がかりだと、33.333……テニエルだ。鑑定屋で換金するときには小数点以下は切り上げになる」

「へえ、そんなに綺麗に分かれるの? リーダーが総取りとか、とどめを刺した人に多く分配される、とかじゃなく?」

「それだと不公平だからな。回復魔法などのサポートに当たる人魚が成果を得られない。だから魔物を倒して出る光は、『その魔物を倒すのに、その場で魔法や物理攻撃を行った人』の蓄光石に、均等に吸い込まれるようになっているのだ」

「なるほど。よくできてるねえ」

 私は木の実詰め合わせ(スパイス)を一つつまんだ。ピリ辛のナッツの味がした。

「だから鑑定屋の精霊は、蓄光石に溜まった光の総量を読み取って換金するのだ。シンは一人で戦っているから、どの魔物をどれだけ倒したか蓄光石の光から読み取りやすいだろうが、大勢のパーティで魔物を倒すと、蓄光石の内訳は感じ取りづらくなっていく」

「ああ、だから『残り香を感じる』みたいに言ってたんだね」

 おやつを食べながらノアタムとそんな話をし、私の疲労は少し回復した。

 私は次の魔物を探しに泳ぎだし、やがて、またゴブリンとキヴァーヲの組み合わせを発見した。

 私は今度は、ゴブリンの棍棒を警戒しつつ、キヴァーヲを先に倒すことを考えてみた。しかし、うまくこちらの攻撃が当たる位置に敵がいるとは限らない。

 戦っていくうちに、まず防御を最優先し、攻撃は二匹のうち、当てやすい位置にいる方を狙う、というやり方に落ち着いてきた。時間はかかるが、これが一番自分に向いていると思えた。

 やがてキヴァーヲを倒し、ゴブリンも倒すことができた。私の蓄光石に光がすべて吸い込まれていく。

「うう……やっぱ、複数を相手にするのは、ゴブリンとキヴァーヲが限界かも……」

 私は木の根元に座り込み、弁当を食べて疲れを回復させることにした。怪我自体はそれほどしていないので簡単な回復魔法で治せたが、心身の疲労が大きい。

 ゆっくり休憩し、一度公衆トイレに向かってから、また魔物を探すことにした。

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