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ブラックホールの向こうは400年前の沖縄でした〜現代の道具と知識で始める琉球王国改革〜  作者: gere


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第27話 1600年2月11日その2


俺は出来上がったリストを持って現在へ戻ることにした。


リストの中身は、防腐処理された角材、大引きと根太用の木材、束石、柱脚金具、羽子板ボルト、アンカーボルト、長ボルト、ナット、ワッシャー、コーススレッド、釘、ステンレス線、ロープ。


工具はノコギリ、ノミ、カナヅチ、手回しドリル、レンチ、水平器、巻尺、墨つぼ。それに予備のノコギリ刃とドリル刃。


俺はリストを折り畳んでポケットへ入れた。


忘れ物はないな。


俺は「現在に戻りたい」と念じた。


現在へ戻ると、そのまま駐車場へ向かう。


愛車の中古のトヨタ・ハイラックスに乗り込み、リストを助手席に置いてエンジンをかけた。


さて、ホームセンターに行くか。


店に着くと、カートを押しながらリストを見て必要な物を順番に揃えていく。


細かい物はカートに放り込めばいいが、問題は木材だ。


さすがにこれを店内で抱えて歩くわけにはいかないので、店員に頼んでまとめてもらい、会計を済ませてからハイラックスの荷台へ積み込んだ。


レシートを財布にしまい、そのままハイラックスでアパートへ戻った。


そして問題はここからだ。


荷台を見る。


……これ、全部俺が運ぶんだよな。


ブラックホールを開き、まず木材を一本担いで向こうへ運ぶ。地面に置いたら、すぐ現在へ戻って次の一本。


また運ぶ。


また戻る。


木材が終わったら束石や工具、金具類。


ハイラックスとブラックホールの間をひたすら行ったり来たりする。


こういう時だけは、部屋が一階で本当によかったと思う。


最初の数回は何ともなかったが、十往復を超えた辺りから段々しんどくなってきた。


特に木材が重い。


一本運んでは戻り、また一本担いで向こうへ行く。


結局、全部の資材を運び終えるまで二十往復くらいした。


最後の荷物を地面に置く。


「……疲れた」


まだ家を建ててもいないのに汗だくだ。ハイラックスとブラックホールの間を二十往復もすれば、さすがに足も腕も重くなる。


俺はその場に座り込みそうになったが、どうせ休むなら向こうで休んだ方がいい。


一度現在へ戻り、アパートに入る。


今日は買い物と移動で大体一時間。荷物を運び終えるまでにさらに一時間四十分ほどかかった。


最後に時計を確認する。


2026年1月2日、午後3時40分。


「休むなら向こうで休もう」


俺は水分だけ取ると、再びブラックホールを開いて1600年へ戻った。


俺はテントに戻ると、レシートを取り出して買った物を確認した。


防腐処理した束用の角材12本15,576円、角材4本16,712円、長尺用の角材3本分20,394円、基礎ブロックと束石12個12,936円。柱脚や接合金物一式15,268円、ボルト・ナット・ワッシャー類8,437円、ステンレスビスと釘6,284円、防腐・防蟻処理材8,756円。


工具は六人で作業するので少し多めに揃えた。ノコギリ4本8,712円、ノミ6本5,346円、カナヅチ4本6,152円、手回しドリル2本5,478円、レンチ3本6,237円、水平器2個3,256円、巻尺3個3,147円、墨つぼ2個3,278円。ステンレス線とロープ3,542円、予備のノコギリ刃とドリル刃3,674円。


全部合わせて148,187円。


前回の残金2,780,810円から148,187円を引いて、残金2,632,623円。


「六人分の道具まで揃えると、やっぱ結構するな」


俺はレシートを財布にしまった。


湯を沸かしてコーヒーを淹れ、一服する。


さっきまで重い木材を担いで何度も往復していたせいで、まだ腕が重い。コーヒーを飲みながらしばらく休んでいると、ようやく体も落ち着いてきた。


一息ついたところで、今村に残っている猟師のシルーとカナグシ、漁師のウミトゥとサブロウの四人を呼んだ。


四人が集まったところで、当分の間は猟や漁を休んでもらい、マチューとタルーが戻ってきたら二人も加えて、六人で家造りをやってもらうことを伝えた。


これから村の家を順番に建てていくとなれば、一軒建てて終わりじゃない。六人にはしばらく大工仕事を覚えてもらった方がいい。


その間、魚や肉が減る分は俺が現在から持ってくれば何とかなるだろう。


俺は四人に、テントの近くに置いてある木材や束石、工具などを全部広場まで運んでおくよう頼んだ。


四人が早速荷物を運び始めるのを見ながら、俺は先に広場へ向かった。


広場に着くと、周囲をゆっくり見渡す。


さて、どこから建てようか。


俺は広場の真ん中に立ち、周囲を見渡しながら家の配置を考えた。


しばらく考えた末、広場を挟んで家を向かい合わせに並べることにした。


家と家の間隔をある程度取りながら二列に並べ、その間を広いまま残す。


片側の家並びの中央には共同炊事場を置き、その真正面、反対側の家並びの中央にはウシマルの家を置く。


これなら広場の中央には何も建てず、丸々空けておける。


普段はみんなで食事をしたり、子供たちが遊んだりする場所として使えるし、月に一度の村祭りもここでやればいい。


祭りの日には共同炊事場で大量に料理を作り、広場に運んで酒も出す。家から出ればすぐ目の前が祭り会場だ。


俺はさらに建物の並びを頭の中で決めていった。


共同炊事場側は、家を四軒並べ、その中央に共同炊事場、さらに家を四軒。向かい側は家を四軒、中央にウシマルの家、さらに家を四軒並べる。


家は正面四メートル、奥行き六メートル。隣の家との間は二メートルずつ空ける。


俺の家は急ぐ必要もない。村のみんなの家を建て終わってから、最後に端へ一軒建てればいい。


これで住宅十七軒と共同炊事場一棟。全部で十八棟だ。


共同炊事場は次に作ることにして、まずはその横に一軒目の家を建てることにした。


俺は巻尺を持って、共同炊事場を建てる予定の場所から測り始めた。


炊事場の大きさを確保して、その端になる場所に目印を付ける。そこから二メートル離れたところが最初の家だ。


「ここだな」


俺はそこに目印として一つ目の束石を置いた。


これを基準に、巻尺で距離を測りながら次、その次と束石を置いていく。


何度か離れたところから眺め、位置がずれていないか確認する。


今は目印として置いているだけだが、ここに柱が立つことになる。


四人が資材を運び終えたところで、俺は並べた束石を見せながら簡単に説明した。


今は家を建てる位置を決めるために置いているだけで、あとから一つずつ地面を掘って据え、高さと水平を合わせる。その上に木を組んで床を作り、柱を立てていく。


四人は見慣れない束石を眺めながら俺の説明を聞いていた。


説明を終えたところで、広場の向こうから人影が近づいてくるのが見えた。


嫁取り四人衆のマチュー、タルー、グシー、カマルー、それにタルガニとウシマルだ。


六人とも戻ってきたらしい。


俺は空を見上げた。


もうこんな時間か。


六人が広場までやって来ると、俺は今日の結果を報告してもらうことにした。


まずグシーは、予定通り相手の家へお礼の品を渡してきたとのことだった。


カマルーの方も無事に話が進んだ。


ウシマルが相手村の長老と話をして、嫁になる娘と母親、妹たちが塩屋村へ移住することについて了承を得た。その際、約束していたナタ三本も置いてきたという。


長老の了承が得られたので、カマルーは嫁になる娘と母親、妹たち本人に塩屋村へ移る意思があるか確認し、全員から移住する意思を確認できた。


これでカマルーの嫁だけでなく、母親と妹たちも一緒に塩屋村へやって来ることになった。


今日予定していたことは、これですべて無事に終わった。


俺は報告を聞き終えると、ウシマルを広場の中央へ連れていった。


地面にしゃがみ込み、木の枝を一本拾って、これから作る村の配置を簡単に描いていく。


広場を挟んで二列に家を並べ、片側の家並びの中央には共同炊事場、その真正面にはウシマルの家を置く。広場の中央は何も建てず、普段の食事や集会、月に一度の村祭りに使うことを説明した。


一通り説明したあと、俺は共同炊事場を建てる予定の場所まで移動し、その横に並べた束石を見せた。


今は一軒目の家の土台を決めているところだ。


そして、この一軒目はカマルーの家にする。


それを知ったカマルーは、明らかに嬉しそうだった。これから嫁を迎え、新しく暮らし始める自分の家が最初に建つと分かり、まだ地面に並んでいるだけの束石を何度も眺めている。


俺はそんなカマルーを横目に、今度はマチューとタルーに、明日から当分の間、猟と漁を離れて大工仕事をしてもらうことを改めて伝えた。


シルー、カナグシ、ウミトゥ、サブロウと合わせて六人で家を建てていく。


二人とも自分たちがこれから嫁を迎える家を建ててもらう立場でもあるので、快く引き受けてくれた。


これで明日から六人の大工組が揃う。


今日はここまでにして解散することにした。


俺はそのまま塩の煮炊き場へ向かった。


今日も鍋では海水が煮詰められ、出来上がった塩が溜まっている。


少し手に取って確認してみる。


今日もよく出来てる。


ふと並んでいる鍋を見ながら、共同炊事場を作ったら、そっちで使う専用の鍋も必要になるなと思った。塩作りの鍋を毎日の飯作りに使うわけにもいかない。


次に現在へ戻った時に買ってくるか。


塩を入れているプラスチックボックスにも目をやる。


こっちもそろそろいっぱいになりそうだ。


これはアパートに買い置きがあるので、あとで持ってくればいい。


塩の様子を確認したあと、俺は炊事を担当している女性に、今日は寸胴鍋で雑炊を作ってもらうようお願いした。


そのままテントへ戻り、米三キロと残っていた猪の燻製を持ってくる。


それを炊事担当の女性に渡し、もう一人にはフーチバーを摘んできてもらうようお願いした。


今日から食事は、みんなで広場に集まって食べることにした。


まだ共同炊事場はないが、これから毎日ここで一緒に食べるようにしておけば、炊事場が完成してからもそのまま続けられる。


もちろん雨が降ったり風が強かったりする日は無理に広場で食べる必要はない。それぞれ椀によそって自分の家へ持ち帰り、家の中で食べればいい。


しばらくすると、寸胴鍋から湯気が上がり始めた。


米と猪の燻製、それに摘んできたフーチバーが入った雑炊が出来上がると、村のみんなが椀を持って広場へ集まってきた。


それぞれ雑炊をよそってもらい、広場のあちこちに座って食べ始める。


俺も自分の分を受け取り、みんなと一緒に夕飯を食べた。


食事をしながら、俺はシンガに当分の間、グシーとカマルーを農作業から外したいと伝えた。


近くで飯を食べていたグシーとカマルーは、自分たちの名前が出たことで驚いたようにこちらを見る。


二人には農作業の代わりに、これから建てる家に使う竹を伐採して村まで運んでもらうつもりだった。


家は一軒だけじゃない。


これから次々と建てていくとなれば、大量の竹が必要になる。大工組の六人を竹の伐採に回していたら、その分だけ家造りが止まってしまう。


そこでグシーとカマルーには、必要な竹を切り出して広場まで運ぶ役目を担当してもらう。


理由を説明すると、シンガも納得してくれた。


グシーとカマルーも最初こそ突然農作業から外されることに驚いていたが、自分たちの家だけではなく、これから村のみんなの家に使う竹を用意する仕事だと分かると納得した様子だった。


これで大工六人。


竹の伐採と運搬にグシーとカマルーの二人。


必要な材料も揃い始めている。


明日から、いよいよ本格的に家造りが始められるぞ。


読んでいただきありがとうございます。

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