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第八話 上司

俺の名前は石川池早九いしかわちはやく

埼玉県警刑事部の刑事だ。


通称、自称、せっかち刑事。


とにかく、早く帰りたい。


なのに、今日も事件が俺を呼ぶ。


「石川くん。」


「え?え、えっ?」


俺は周りをキョロキョロと見渡す。


「どうしたんだ?」


「いや、ここはいつも『先輩こっちです。』から始まるので、そこまではテンプレだと思っていたはず。」


「何の話だ?」


「いえ、こっちの話です。」


「今夜、久しぶりに飲みに行かないか?」


「お断りします。今日は5:20を狙ってるんです。」


「何の話だ?」


「1分ずつしか減らないと、思われてるはず。」


「だから何の話だ?」


「今日は早く帰るんです。」


「何か、大事な用があるのか?」


「妻が実家に帰ってしまったからと思われてるはず。」


「何の話だ?」


「せっかちだから、その話はもう終わって家にいる設定のはず。」


「だから何の話だって?」


「よし!帰るぞ!」


俺はさっさと帰宅する。


5:20


「ただいま」


妻はおかえりも言わずにキスしてくれる。


俺はゆっくり風呂に浸かった。


「くそぉぉぉ、気持ちぃぃぃ、自宅って最高かよぉぉぉ……」


明日は、もっと早く帰りたい。

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