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Guilty 〜たとえ世界が私を有罪だと言っても私は私の神を崇め奉る〜  作者: 小兎


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第4話 我が人生に一片の悔いなし


誘拐犯であるそいつは私から距離をとるともの凄く偉そうな口調で言った。


『――では、行くがよい。』


 それの声が響いた次の瞬間。


 視界がぐるりと反転した。


 「きゃあぁぁぁぁぁっ!」


 どすんっ!!


 盛大な音を立て、お尻から石畳へ激突する。


 「いったぁ……。」


 じんじんと痛むお尻をさすりながら顔をしかめた。


 ……絶対、あのキラキラ物体の嫌がらせだ。


 あの誘拐犯め。


 「君、大丈夫?」


 聞き覚えのある声だった。


 その一言だけで、痛みなんて全部吹き飛ぶ。


 恐る恐る顔を上げる。


 目の前には――


 蓮斗様がいた。


よかった。


思わず涙が滲む。もう二度と会えなかったらと思った時のあの絶望感。


本当によかった。


目の前で消えた蓮斗様を思い出すと血の気が引くような恐怖を覚えた。


と同時に蓮斗様が目の前にいて、私を見ている事に半ばパニックになる。


 (はわわわわわっ!?)


 心臓が一気に限界突破する。


 「だ、だいひょうぶれしゅ!」


 ……噛んだ。


 盛大に舌を噛んだ。


 穴があったら入りたい。


 蓮斗様は少しだけ目を丸くしたあと、ふっと優しく笑う。


 「立てる?」


 そう言って、私に手を差し伸べてくれた。


 (て、手……)


 私は慌ててスカートの裾で両手をゴシゴシと拭く。


 少しでも綺麗に、少しでも失礼のないように。


 震える指先で、そっとその手に触れた。


 次の瞬間。


 ぐいっと思っていた以上に力強く引き上げられる。


 「わっ!」


 気づけば、私は蓮斗様のすぐ目の前に立っていた。


 温かくて大きい手がしっかりと私を支えてくれていた。


 (……感無量。我が人生に、一片の悔いなし!)


「君も巻き込まれちゃったのかな」


 蓮斗様は困ったように眉を下げ、小さく笑った。


 「……ごめんね」


 その申し訳なさそうな表情に、胸がぎゅっと締めつけられる。


 (そんな顔しないで……)


 悪いのは、あの誘拐犯なんです。


 蓮斗様じゃない。


 私は自分で飛び込んだだけなんです。


 「あ、あの……」


 なんとか声を絞り出す。


 「だ、大丈夫です。本当に」


 「でも――」


 「本当に大丈夫です!」


 思わず少し強めに言ってしまった。


 蓮斗様が目をぱちくりさせる。


 しまった。


 慌てて頭を下げる。


 「ご、ごめんなさい……」


 (違うんです~。私、自分から巻き込まれに行ったんです~。だから、そんなふうに心配していただくような人間じゃないんです~)


 心の中だけで必死に弁解する。


 もちろん、口には出せるはずもなかった。


「ん、んん……勇者殿」


 咳払いが一つ。


 威厳を取り戻そうとするような声が響いた。


 「……そちらのお嬢さんは?」


 その声に、私はようやく周囲を見回した。


 そこは広い石造りの大広間。


 壁には巨大な旗が掲げられ、床には複雑な魔法陣が刻まれている。


 私たちを囲むように、煌びやかな甲冑を身にまとった兵士たち。


 豪奢な法衣を纏う神官らしき者たち。


 そして、一段高い場所には王冠を戴く壮年の男性と、その一族と思われる人々が並んでいた。


 ……ファンタジーゲーム、そのままだ。


 「俺と同じ世界の子ですね」


 蓮斗様が静かに口を開く。その一言で場がざわめいた。


 「おおっ!」


 神官らしき男が感極まったように両手を天へ掲げる。


 「勇者様がお二人とは!」


 「神よ! この奇跡と慈悲に感謝いたします!」


 大広間に歓声が広がる。


 ……いやいや。


 ちょっと待って。


 私は一歩前へ出た。


 「あの」


 歓喜に包まれる広間へ、静かに声をかける。


 「この状況、一体どういうことなんですか?」


 私は真っ直ぐ、一番身分が高そうな王へ視線を向けた。

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