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Guilty 〜たとえ世界が私を有罪だと言っても私は私の神を崇め奉る〜  作者: 小兎


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第3話 誘拐犯

「蓮斗様をどこへやった!」


 私がさらに怒鳴りつける。


 バシッ!


 光る身体がまた弾け、小さな光の粒が飛び散った。


 『いたっ! いたたたっ!!』


 「答えなさい!」


 『わ、分かった! 分かったから落ち着くのじゃ!』


 光る存在は暴れるのをやめ、観念したように明滅を繰り返した。


 『彼の者は召喚された。異世界へ喚ばれたのじゃ。』


 「……は?」


 一瞬、言葉の意味が理解できなかった。


 「どこのどいつが蓮斗様を誘拐したのよ!」


 『誘拐ではない。召喚じゃ。』


 「同じことでしょ!」


 私は即座に言い返す。


 「本人の意思を無視して勝手に連れ去るなんて、どう考えたって誘拐よ!」


 『む……。』


 光る存在が言葉に詰まる。


 「違うって言うなら、本人に『行きますか?』って聞いたの?」


 『…………。』


 「ほら。」


 『…………聞いて、おらぬ。』


 「やっぱり誘拐じゃない!」


 『うぐっ……。』


「さっき!」


 私は光る存在をぐいっと持ち上げた。


 「蓮斗様に話しかけてたわよね!?」


 『う、うむ……。』


 「ちゃんと説明したの?」


 『もちろんじゃ。』


 「全部?」


 『もちろんじゃ。異世界へ召喚されたことも、元の世界へは戻れぬことも、きちんと伝えた。』


 「それで?」


 私は射抜くように睨みつける。


 「蓮斗様は、なんて答えたの?」


 光る存在が気まずそうに明滅した。


 『……「嫌だ。元の世界へ返してくれ」と。』


 一瞬、沈黙が落ちる。


 「…………。」


 私はゆっくりと息を吸った。


 そして。


 「ほら見なさいよ!!」


 『ひぃっ!?』


 「蓮斗様は嫌だって言ったんでしょう!」


 「本人が帰りたいって言ってるのに、無理やり連れて行ったんじゃない!」


 「それを世間では何て言うか知ってる!?」


 『し、召喚……。』


 「誘拐よ!!」


 『ひぇぇぇぇっ!!』


 「しかも意思確認済みじゃない! ちゃんと拒否されてるじゃない!」


 「同意なし! 強制連行! 完全に犯罪者よ、この誘拐犯!!」


 光る存在は青くなって激しく明滅したが、何も言い返してこなかった。


「返しなさいよ! 今すぐ!」


 私は光る存在をぐらぐらと揺さぶった。


 「この誘拐犯!」


 『だ、だから無理なのじゃ!』


 「無理じゃない!」


 『我は下界へ直接干渉することはできぬのだ! 一度送り出した者を勝手に戻すことなど――』


 「なぁんですってぇぇぇ!?」


 怒りで頭が真っ白になる。


 「どうにかしなさいよ!」


 私はさらに締め上げた。


 「そういうことをどうにかするのが、あんたみたいな神様の仕事でしょうが!」


 『神と分かっておるのに、この扱いか!?』


 「当たり前でしょ!」


 私は即答した。


 「あんたなんか私の神様じゃない! 蓮斗様を勝手に連れ去った、ただの誘拐犯! それも本人が嫌だって言ってるのに無理やり連れていった犯罪者よ!」


 『ぐぬぬ……。』


 それは悔しそうに明滅した。


 どうやら否定はできないらしい。


「さあ!」


 私はそれをぐいっと引き寄せた。


 「蓮斗様を返す方法を考えなさい!」


 『だから出来ぬと言っておろう』


 「出来る出来ないじゃないの」


 私はそれを睨みつける。


 「やるの!」


 『……。』


 それはしばらく黙り込んだ。


 やがて、観念したように小さく明滅する。


 『……では、お主が行け。』


 「は?」


 『彼の者を取り返したいのであろう? ならば、お主自身が異世界へ行くのじゃ。』


 それはどこか投げやりな口調で続けた。


 『その代わり、我がお主に力を授けよう。』


 私は目を細める。


 「……本当でしょうね?」


 『ほ、本当じゃとも。』


 「胡散臭い。」


 私は即座に言い返した。


 「どうせ何か条件があるんでしょう?」


 それの光がぴくりと揺れた。


 『……っ。』


 図星だ。


 「ほらね。」


 私は腕を組む。


 「全部話しなさい。」


 それはしばらく気まずそうに黙っていたが、やがて観念したようにぽつりぽつりと条件を話し始めた。


 私は最後まで聞き終えると、小さく息を吐く。


 「……なんだ。」


 肩の力が抜けた。


 「そんなことか。」


 『…………は?』


 それの光が、びくりと震えた。


 信じられないものを見るように、私を見つめている。


 どうやらそれにとっては、その条件は人間なら誰もが躊躇するものだったらしい。


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