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Guilty 〜たとえ世界が私を有罪だと言っても私は私の神を崇め奉る〜  作者: 小兎


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第11話 返品

さて、あとはこの痴女の始末だ。


 ……面倒臭い。


 このまま影の中へ沈めてしまおうかとも思った。


 でも、腐敗して臭ってきたら困る。


 蓮斗様が臭いを気になさるかもしれない。


 臭い臭いでご迷惑をおかけしたくない、それだけは避けたい。


 うーん、と腕を組んで考える。


 ……あ。


 そうだ。


 隷属魔法で縛ってしまえばいいか。


 私は影の触手でぐるぐる巻きにした女を、自分の部屋へ運び出した。


 床へ転がすと、手をかざして魔力を流す。


「──『隷属』」


 術式が発動する。


 ……が、弾かれた。


「あれ?」


 レジストされた。


 むぅ……。


 どうしようかと考え込んで、不意に思い出す。


 ……そうだ。


 中に呪物を入れてから術を掛ければいいじゃない。


 私は影の中へ手を差し入れ、一匹の芋虫を取り出した。


 蠱毒で創った呪物だ。


 毒々しい橙と黒のまだら模様。


 大きさはフランクフルトくらい。


「はい、あーん」


 影の触手で女の口が閉じないよう押さえ、そのまま呪物を飲み込ませる。


「んっ……! んーーっ!」


 涙を浮かべながら必死にもがいている。


 でも、しょうがないよね。


 蓮斗様に手を出そうとしたんだから。


 私はもう一度、静かに手をかざした。


「──『隷属』」


「お前の名は? 誰の指示で勇者様の寝所へ行った?」


 私が問い掛けると、隷属された女は虚ろな瞳のまま口を開いた。


「わたくしはアイゼル侯爵家のモニカ・アイゼルでございます。勇者様の寝所へ侍りましたのは、お父様の指示でございます」


 ……アイゼル侯爵家。


 侯爵って、確か王族に次ぐ高位貴族だったよね。


 なるほど。


 蓮斗様を取り込みに来たわけだ。


 私は改めてモニカを見た。


 年の頃は十代。


 腰まで届く金色の髪。


 澄んだ青い瞳。


 顔立ちは整い、誰が見ても美少女と言うだろう。


 身体つきも見事だった。


 胸には大きなメロンを二つ抱え、きゅっと締まった腰から丸みのある腰臀部へと続く、いわゆるボン・キュッ・ボンという体型。


 ……なるほど。


 これなら、ハニートラップに選ばれるのも納得だ。


 私は一人、小さく頷いた。


「ふーん」


ハニートラップ、ねぇ。


 これが通用すると思っているということは……。


 侯爵も、そういう趣味なんだ。


 私は納得したように一つ頷く。


「では、お前は侯爵家へ帰って侯爵の寝所に侍りなさい」


「かしこまりました」


 モニカは感情のない声で答えた。


 ちょうどいい。


 謹んで、お返ししよう。


 この世界に電気なんてない。


 夜の寝室は灯りを落とせば薄暗い。


 寝ている相手なら、顔なんてろくに見えないだろう。


 自分で送り込んだのだから、きっと喜んで受け入れてくれるはずだ。


 うん。


 実に良い返却方法だ。


侯爵が朝になって手を付けたのが自分の娘だって分かったらどんな表情をするのか見ものだ。


自分がされたら嫌な事は人にもしてはいけないと学習してもらわないとね。




それからしばらくして。


 王宮のお喋り雀たちが、何やら騒いでいた。


 アイゼル侯爵が離縁され、爵位を失ったらしい。


 どうやら、婿養子だったようだ。


 娘のモニカは修道院へ入ることになった、とも聞こえてきた。


 ふぅん。


 そうなったんだ。


 私はそれだけ聞くと、本に視線を戻した。

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