ep18:学院が郊外にあるワケ
ソレイユ魔法学院の所在地は、王都の街並みから離れた郊外だった。
どうして街の中に建てなかったんだろう?
街の外に学校があると、魔物の襲撃とか危ないんじゃないの?
正門前で馬車から降りて歩き出しながら、私は不思議に思っていた。
アレクサンドル様にエスコートされながら入学式の会場に向かう。
途中で、少し離れた位置にある建物から打ち上げ花火みたいな爆発音がした。
割れた窓硝子が、キラキラと光を反射しながら落ちていく。
「えっ、爆発事故?!」
「大丈夫、よくあることですから」
ビックリして目を丸くする私に、全く動じていないアレクサンドル様が微笑みながら言う。
大丈夫らしいので気にしないことにして歩き出すと、滝のような水音が聞こえた。
別の校舎、三階の窓から大量の水が溢れ出て、地面へと流れ落ちている。
「……あれも、よくあることですの?」
「ええ、そのうち慣れますよ」
私は呆然とするけれど、アレクサンドル様は平然としている。
そのまま歩いていると、今度は甲高い警笛の音が聞こえた。
「魔物が出たようですね」
「えっ?!」
「ちょっと片付けに行きましょう」
「え……?」
ソレイユ魔法学院は、私の想像を超える驚きに満ちていた。
入学式もまだなのに、いきなり魔物退治が始まるって何なの?
困惑する私をエスコートしながら、アレクサンドル様は転移魔法を使った。
この人の魔法、無詠唱で起動が速い。
いきなり風景が変わったと思ったら、頑丈そうな防壁が見えた。
防壁の外側に、イノシシに似た魔物の群れが突進してくる。
「大丈夫、新入生は見てるだけでいいですよ」
「は、はい」
アレクサンドル様が片手を魔物の群れに向けると、5本の指から金色の球体が現れる。
ピンポン玉くらいのサイズの球体は、フッと消えた直後に5頭の魔物の眉間を貫通した。
(えええ~?! 一度に5頭瞬殺なの?!)
女性的な優しい顔立ちの美少年がイノシシを瞬殺するなんて、私じゃなくても驚愕するんじゃないかしら。
防壁の上には生徒や先生方が横並びに立っていて、それぞれ魔法を放っている。
彼らの後ろにも、見学の生徒たちがいた。
「よし、片付いた。後は給食スタッフに任せましょう」
イノシシが全て倒された後、アレクサンドル様は再び転移魔法を使った。
私は呆然としながら、エスコートされるままに歩き出す。
入学式の会場は、広い敷地の中央にあった。
(この学院、街の防衛も兼ねてるのね)
私は、何故この学院が郊外に建てられたのか、分かった気がした。
優秀な魔法使いたちが揃う学院は、魔物除けにピッタリよね。
魔法の暴発で騒々しいから、っていう理由もあるかも。
それにしても、アレクサンドル様の魔法は、段違いに強い気がする。
映画では治癒魔法を使うシーンしかなかったから、聖者のイメージがあったのだけど。
攻撃魔法もレベルが高いから、聖者というより賢者かもしれない。
転生チートかしら?
というか、まだ転生者かどうか聞けてないわ。




