Twenty-Sixth 杖
二人は大型のブレードを構え、地面を踏み貫き、前へ飛ぶ。
__ガン!
黒い何かがブレードを受け止め、空気を揺らす。
地面から生え、弓のように沿った構造物。
黒い光沢をもち、刃の当たった部分に小さなひび割れが見えた。
「甘い」
杖についた円形のユニットを回す。
握りが黒い構造物に覆われ、黒く光った。
__ブン!
鈍い音とともに空気を揺さぶるとともに、二人の髪がわずかに揺れた。
「高見澤!避けろ!」
目の前に杖の握りが迫る。
__バリン!
高見澤の前に人影が浮かび、ブレードの破片が飛び散る。
割れたひし形のブレードをしまい、両手でギガントを握る。
高見澤も後ろに回り、飛びかかる。
突然、杖から黒い霧が立ち込めた。
__ブン!
二本のブレードが霧を振り払う。
だが、
「手ごたえが、無い」
目を見開いて見つめる。
「こんにちは」
何か、尖ったものが背中を軽く突く。
「ひゃっ!」
振り返るとともに裏返った声が漏れ、足が棒になる。
梶山が高見澤の前へ回って蹴り飛ばし、ブレードを前に出す。
両手を軽く曲げ、しっかりと支える。
__カーン!
甲高い金属音が空気を揺さぶるとともに、ブレードが光る。
「チャージ」
相手の体にブレードを押し付け、飛ぶ。
杖から霧は出ていない。
「ビンゴだ」
グリップを両手で握り、空中で体をねじる。
__ガシン!
ブレードど杖が触れ、相手を飛ばす。
落下点には、同じブレード。
__ガン!
高見澤もブレードを振りきり、弾き飛ばす。
空中で円形のユニットを回し、杖を前に出す。
杖全体が黒く覆われ、光る。
__ガン!
杖でブレードをたたき、落下点をずらす。
「逃げたか」
地に足をつけ、逃げた方向を見つめる。
「追いましょう!」
二人は杖を持った人物の後を追った。
__ストン。
渓人の背後で靴音が鳴った。
「初めまして」
地面に立てた杖に両手を置く。
「君が飛晶の適合者かね」
渓人に問いかける。
(さっきから、この話しかされてない)
首を傾げ、言葉に詰まって沈黙する。
「飛翔をご存じではない?」
目を細め、渓人に視線を送る。
「とぼけるなら、聞き出すまで」
杖を地面から
渓人は地面を蹴り、飛びかかる。
そのまま引き金を引き、腕を振る。
__カン!
甲高い金属音とともに、刃が止まる。
「さすが、次世代のWABE」
片方の腕を顎に当て、視線を送る。
「何のことだ」
困ったように目を細める。
「いずれわかるさ」
そう言って杖を振り、握りでブレードを叩く。
武器を持ち替え、照準器を覗く。
引き金を引き、弾を打ち込む。
__カン!
甲高い音とともに弾かれた。
杖を回し、一歩、もう一歩と迫る。
円形のユニットを掴んで回し、地に刺す。
反射的に地面を蹴り、飛び上がる。
下を見ると、黒いとげが生えていた。
再び照準を覗き、球を打ち込む。
目をつぶったまま杖を振り、叩き落とされた。
(このじいさん、何者なんだ)
渓人の脳内が疑問符で覆われる。
すぐに首を振り、余計な考えを振り払った。
地面に着地すると同時に、蹴る。
刃を対象に垂直に合わせ、腕を振り、引き金を引く。
杖から黒い霧が立ち込め、人影が消えかかる。
だが、刃が触れるかすかな感触が腕を伝わった。
「さすがの速さだ」
杖に刃がなぞった軌跡が刻まれていた。
「さて、これはどうかな」
円形のユニットに手をかけ、勢いよく回す。
次の瞬間、石ころのような黒い物体が横切った。
咄嗟に横へ滑り、地を駆ける。
その時だった。
__ガン!
鈍い音とともに地面が割れ、空気が揺れた。
高見澤だった。
刹那の時間で視線を送り、前に飛ぶ。
後を追うように渓人も地面を踏み抜く。
高見澤は体をひねり、全身でブレードを振る。
__ブォン!
(......いない)
何度仕掛けても、消える。
瞬く間に、相手の動きが頭を駆け巡る。
__カン!
死角から飛び道具を放つ。
__ブン!
近づけば杖を振る
__ガン。
劣勢になったら、弾いて逃げる。
(もっと、速く)
刃の角度をわずかに傾ける。
__カン!
黒い物体を捌く。
(渓人はそうやって刃を入れたはず)
杖に入った傷跡とバネが埋め込まれた装備。
__バコン!
ブレードが地面をたたき、高見澤とともに飛ぶ。
全身をひねりながら叩きつけ、空を飛ぶ。
叩くたびに刃の光が増す。
「......速い」
渓人はその背中を見つめ、後を追う。
「見えた!」
二人は、杖めがけて飛びかかる。
(......速いな)
円形のユニットを掴み、腕を振る。
黒い霧が立ち込める。
「当たれ!」
霧の中に勢いよく刃を入れる。
「チャージ!」
ブレードが光る。
「テーザー!」
電撃がちらつく
__カン!
甲高い音とともに、杖が宙を舞った。
だが、
「杖よ、戻れ」
しびれで震えながら、手を前へ突き出す。
杖が引きつけられて手に収まり、霧が立ち込め、姿を消した。
「また消えた」
大きなブレードを地面に突き刺し、もたれる。
「ここに来る前、戦ってたのか?」
武器を背中に収め、問いかけた。
「うん、そうだよ」
首を縦に振った。
「まだ、戦いは終わっていない」
大きな影が落ちる。
「梶山だ、よろしく」
影の主が視線を落とした。
「よろしくお願いします」
軽く頭を下げた。
その瞬間、
__ガシン!
遠くから、金属音がこだました。
「行こう」
三人は音の鳴る方へ駆け出した。
戦はまだ、終わらない。




