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WABE ~すべてを失った少年が終末世界に抗い続ける物語~  作者: terakoya-8
再侵攻編

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Twenty-Fifth 追放

「よし、何とか形になった」

 作業台の上には改造の施された二つの武器が並ぶ。


 ブレードの接合部に支点となるねじ、持ち手には引き金。

 刃のない面には銀色の光沢をもつ四角いカバー。


 引き金を引くと、刃が後ろに傾いた。


 ゆっくりと引き金を引く手を緩める。


 __ビュッ!

 勢いよく刀が振られ、工房の金属かすが舞い上がった。

 

 銃を手に取り、銃口を押す。


 __キィ。

 そんな音とともに後ろに動く。

 手を離すと、元の場所へと戻った。

 

 ストックを肩に押し付けると同じくきしむ音がした。

 武器を作業台の上に戻した。



 その時だった。


 __バン!

 工房のドアが勢いよく開く。

 息を切らした風間が飛び込んできた。


「皆川、今すぐに武器データに落とせるか?」

 そう言って空気を吸い、息を調える。


「まだ調整中ですよ」

 首を横に振る。

 

「ある隊員の武器データが壊れた」

 真剣な表情を突きつける。

 

「既存の武器では分が悪い」

 そのまま続ける。

 

「責任は私が取る」

 頭を下げて頼み込んだ。


「......分かりました」

 首を縦に振った。


「彼が帰還したら、武器を調整させてください」

 そういって端末を取り出し、武器にかざした。

 

 光が武器を覆い、情報が記録されていく。

 ”Name :Chaserα,Type:Blead”

 ”Name :Shark DMRα,Type:Gun”

 

 ”Registration completed”


 ホログラムに文字が浮かぶ。


「終わった」

 思わず声が漏れた。


「これを持って行ってください」

 そう言って、風間の端末にデータを送った。


「ありがとう」

 その言葉とともに、走り出した。 


 風間は部屋に駆け込むとともに、西野のいる扉を叩き、扉を開けた。


「少し借りるぞ」

 そう言って、管理端末にデータを送った。


「何があったの?」

 上ずったこえで問いかけた。


「渓人の武器データが壊れた」

 額からは汗が滴る。

 

「今からバックアップのデータを送る」

 キーをたたき、決定の文字を押し込んだ。

 

 そのまま、机の上のマイクを取った。


「渓人、聞こえるか」

 マイクに向かって語り掛ける。

 

「端末を再起動するんだ」

 そう言ってマイクを離した。


 渓人は時計型の端末に手をかける。


「無駄だよ」

 コークスは笑いかけた。


「......無駄なんかじゃない」

 左足を前に出し、立ち上がる。


「再展開!」

 端末を一回転させた。

 武器、防具が光り、瞬時に置き換わる。

 

 コークスの目がせわしく揺れる。


 関節部を包むユニット、ブレードに追加された回転軸。

 そして、武器の随所に仕組まれたバネ。


(この短期間で、解析したのか)


「有り得ない」

 ブレードのグリップが湿り気を増す。


 地面が割れ、チェイサーの刃が迫る。


 地面から壁が生える。

 だが、前には渓人の姿があった。


 濡れた手でブレードを構えた。

 

 __カン!

 甲高い金属音を響かせ、ブレードが宙を舞う。


 __ガシャン!

 地面に落ち、コークスは膝をつく。


「終わりだ」

 ブレードを構える。


「やめろォ!」

 声をひねり出し、手を伸ばす。

 

 耳を貸さず、ブレードを円形のユニットに突き刺す。



 __ガッ!

 そんな音とともに、散った。

 

(......勝った)

 晴れていく霧の中でコークスを見つめ、肩を落とす。

 

__タッ。

 空からジェットパックを背負った隊員が舞い降りる。


「身柄を拘束する」

 コークスの両腕を後ろへやり、端末を押し当てた。

 光とともに、両腕が拘束され、どこかへと消えた。

 


「ここまでよく耐えた」

 渓人の顔を見つめ、操縦桿を握った。


 

 __バコン!

 機体が衝撃とともに潰れ、制御を失う。


「そんな武器振ってて、重くないのか?」

 大型のブレードを片手で握って肩にかけ、高見澤を見つめる。


 ブレードと背丈は大差なく、体格も大柄だ。

 ひし形の盾を正面に突き出し、前を見つめる。

 左耳には切れ跡があるが、傷口はふさがっている。


「誰の弟子だと思ってるんですか」

 腰に手を当て、上を見上げる。


「知らないな」

 目をそらし、吐き捨てる。


「あなたに言ってるんですよ」

 頬を膨らませ、梶山の顔を指さす。


「梶山さん」

 その返事を聞いて、笑みを浮かべた。

 

 その時だった。


 __カーン!

 梶山の盾に黒い何かがぶつかり、破片が飛び散る。

 

「なんだ」

 鋭い眼光で飛翔体の主を刺す。


「ワシとは初めましてかな」

 そう言って杖のようなものを地面に突き刺し、両手を軽く乗せる。


 先切金槌のような握り、銀色の光沢を放つ金属製のシャフト。

 両者をつなぐのは、円形のユニット。

 地面には鋭い石突きが突き刺さる。


「お先にどうぞ」

 しわのある顔で微笑みかけ、後ろに伸びた白髪が風に揺れた。

 細い体を三つの支点で支える。

 

「ただの爺さんでは無さそうだ」

 高見澤を見つめる。


「心してかかれ」

 そう言って視線を戻した。


「コークス隊員の鹵獲を確認」

 ウィングがモニターに映る画面に目をやる。

 

「信号をロストしました」

 鹵獲された位置だけが光った。


「ペトロレウムは?」

 すかさず問いかける。


「現在接敵中、負傷はありません」

 全ての項目が緑色で染まっていた。


「コークスは置いていく」 

 その冷徹な決定に会議室が凍り付く。


「アーリクタの若造には、期待しすぎた」

 予備の隊服を両手でつかみ、二つに破り捨てる。


「難民の分際で我が国を背負うのは無理だった」

 モニターに向かい、軽蔑の視線を飛ばした。

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