Twenty-Third 再来
床が勢いよく跳ね上がり、渓人を放り投げる。
時計型の端末を起動するとともに武器と防具が生成される。
手でチェイサーを握り、背中にはシャークDMRを背負う。
地面が見えた。
そして、
あの時と同じ、ドロイドの大群。
卵型で流線型の頭部と突起のようなアンテナ、左右のから生えた細い鋼鉄の腕。
台形の台座から針のような足が2本生え、各部の節は回る円でつながれる。
弓鋸型で赤い刃を持つブレードを構える。
赤い目型のユニットを光らせて、フロントガラス越しに辺りを真っ赤に染める。
(今ならやれる)
ゆっくりと息を吐き、刃を垂直に揃え、ドロイドへ飛びかかる。
吸い寄せられるように刃が入っていき、目標を真っ二つにした。
振り返ると、同じような機体が無数に迫る。
DMRを構え、引き金に手をかけると冷たい感触が指をさした。
__ドン!
一機のドロイドがつぶれ、一人の隊員が髪をなびかせて振り向く。
「......高見澤?」
目を合わせる間もなく武器を構え、過ぎ去っていった。
照準を合わせ、赤い目を撃ち抜く。
フロントガラスを弾丸がガラスを叩き、目を潰す。
一機、また一機と力が抜けたように倒れていく。
だが、キリがない。
倒れた機体の後ろから新たな機体が生えてくる。
「いつか、追いつかれる」
その時だった。
渓人の頬を風が撫で、高速で動く何かが目に映る。
それによって機体が切り取られ上下に真っ二つになった。
「威力は昔のままだ」
額に巻いた脳紺色の鉢巻きがなびく。
「小僧、待たせたな」
手には緑色の決勝を削り出した刃を持つ刀を握る。
その隣には風間の姿があった。
「神風勇人だ」
刀を鞘にしまいながらそう言った。
「渓人、くれぐれも気をつけるんだ」
風間は落ち着いて語る。
「何か嫌な予感がするんだ」
ジェットパックを背負い、空から地へ銃口を向ける。
引き金に指をかけ、弾丸の雨を降らせる。
ドロイドの脳天が貫ぬかれ、地面に倒れ込み、粉塵を巻き上げる。
「......多いな」
松本は倒れたドロイドを見ながらそう呟いた。
その時だった。
赤い光とともにレーザーが横切る。
「砲撃用ドロイドか」
再び引き金を引き、ドロイドを打ち抜く。
ドロイドが倒れ、地表を粉塵が覆い隠した。
すると、
粉塵越しに一筋の赤い光が姿を現し、こちらに迫る。
粉塵を突き破り、飛翔する装甲が姿を現した。
基本構造はほかのドロイドと大差ない。
だが、脚部と腕部の関節は軽く曲がり、バネが配置されている。
東部後方からはジェットエンジンのようなものが配置されている。
東部側面には”HOPPER V1”の刻印、新型だ。
「私の相手はこいつか」
両手の機関銃を突き出し、引き金を引く。
瞬時に目の前が弾幕で覆われる。
だが、新型ドロイドは止まらない。
狙ったときにはそこにはいない。
回り、飛び、弾丸を全てか避けながらこちらに迫ってくる。
「まずい」
もうドロイドとの距離はない。
咄嗟に両腕部のバネに銃口を突きつけ、引き金を引く。
弾丸がばねを断ち切り、素早く刃が落ちる。
だが、松本の姿はない。
「これで素早く振れまい」
すぐに後ろに回り、弾幕を張る。
一機のエンジンから、炎が消えた。
不安定な制御ながら空を駆け、弾丸の横を抜ける。
「しぶといな」
時計型の端末に手をかける。
「モッド、有効化」
ジェットパックの背面が開き、モーターが駆動し、アームが伸びる。
背中から二門の大砲、そして二本の操縦桿が展開された。
操縦桿のボタンを左右同時に押し込む。
蒼白い閃光とともに二本の線がドロイドを追いかける。
徐々に距離を縮め、装甲に触れた。
蒼白い線が装甲を貫き、制御を失い、落ちていく。
「本部へ告ぐ、こちら松本だ」
本部へ無線をつなぐ。
「新型機体が確認された」
そのまま続ける。
「高い機動力を持ち、陸でも空でも戦える機体だ」
「関節部のバネと後頭部のエンジンが弱点だと思われる」
戦いで分かった弱点を共有する。
「ほかの隊員にも伝えてほしい、以上だ」
無線を切った。
再び地面を見つめる。
赤い光は輝き続けていた。
「新型が一機やられました」
ウィングが慌ただしくキーボードを叩く。
「相手は」
クレフ隊長の表情は崩れない。
「ジェットパックのヤツです」
機体から送られてきた画像が映し出される。
「やはりか」
頬杖をつきながら画像を見つめる。
「金かかってんだぞ」
ヌクレアがぼやいた。
「地上に放った新型は、どうなった?」
クレフが問い掛ける。
「まだ撃破報告はありません」
モニターを見るとほかの機体はグリーンライトだ。
「機体カメラに繫げるか」
クレフは地図上に映る新型機体の位置情報を指さす。
「繫ぎました」
画面を見た全員が固まった。
「神風勇人......だと......」
誰かが、声を漏らした。
「私の汚点だ」
クレフ隊長の眉間にしわが寄る。
「絶対に仕留める」
画面に映る神風の姿をにらみつけた。
「今回分の機体を出し尽くしたら、出撃だ」
武器を見つめ、拳を作り、握りしめた。




