040 選ばれし者たち
「じゃあ、触るよ」
かぷちーのが転送装置である魔石に触れる。
──フィイイイン。
「きゃああああ」
「ふふ」
魔石に触れた瞬間、それが眩しく光り輝き、光がパーティ全体を包み込み転送が開始される。
その光のあまりの眩しさにステラは目を覆い声を上げる。
そんなステラを横目に期待に胸を高鳴らし、まいらは不敵な笑みを浮かべる。
『あ、あれは!! ミサキさん!?』
「……ミサキめ。当然だけど勝ち上がってきたって訳ね……」
モニター越しからでも、伝わるミサキの余裕綽々そうな表情、そして彼女が纏っているその服装、それは『エンオン』をプレイしているユーザーなら一目でわかる現状最強装備『ドラグマローブ』その防具を付けている。
「ミサキ、今回相当ガチってきたな……ちょい、私達もこりゃまずいや……あはは」
「……ですね。でも、だ、大丈夫です! きっと。」
「うふふ、ステラちゃん随分自信満々じゃない。でも根拠はあるのかしらね」
横にいたアオがちょっと意地悪にステラにそう質問する。
「根拠……、は……無いですけど、きっと大丈夫です!!! 私達なら」
「おいおいごり押しな自信かよー、ふふっ。でもその自信私は嫌いじゃないよステラ」
かぷちーのもその意見に乗り、笑みを浮かべる。
「そーだよ!! いまのこのパーティ向かうとこ敵無しだ!! リゼ早く暴れたい!!」
──ばしっ!!
「きゃっ!!!」
「よぉーーく言ったー!!ステラちゃん!!」
「まあ、みんな落ち着こ。まずは噂のトップギルドの観戦で分析でも。」
「……ミサキのチームか。」
「げー、相変わらず彼女早いね〜ー」
み
──ビュンっ!!
かぷちーのが目を向けた先に映る高速で敵を翻弄しているミサキの姿。
「ねー、こっちだってば。ほらほら! こんなんじゃHPに1ダメージも入らないまま試合終わっちゃうよ」
「クソッ!! この女──……ッ!!」
ミサキは華奢な身体を素早く動かし、相手の斧使いの攻撃を軽くあしらう。
「捕まえられねぇ!! 皆!!援護を!!」
「了解──。」
「了解!!」
「はい!!」
斧使いを筆頭とするパーティメンバーが彼のコールで彼の援護に向かう。
隣に居た魔法使いの女がサポート魔法を放ち、彼のDEFを底上げする。
更に、後方にいた彼の相方であろう剣使いが斧使いのカバーに入り、ミサキと彼を分断する。
「ふーん。いいパーティだね。ゾクゾクするよー。うん、壊しがいがある。きゃはは」
「むぅ、ミサキ……悪趣味がすぎるぞ……」
「いーのいーの、こう言うのは楽しまなきゃ」
「ちっ、なめやがってぇえ!!! うぉおお!!」
DEF上昇さらに身体能力バフがかかった状態で斧の男渾身の一撃を彼女に与える為、全ての力を注いだ一点集中の近接攻撃を仕掛ける──が。
──ガキン!!
ミサキが球体状のカードスキルを展開し、防御に成功し、それに簡単に弾かれてしまう。
「なっ──!!」
「あはは、この程度の攻撃じゃ私は倒せないよ。もっと本気で来てね」
彼女がニヤリと微笑み、不気味なオーラが周りを包んだ。
「行くよステラ!! ──次のステージに」
何も無い白い部屋から、ステラ達パーティは上位層が集まるという会場へと転送される。
「──ここが!!」
転移先のその景色は、はっと息を飲む美しさであった。
目の前に広がる会場その景色はまさに桃源郷。
視界いっぱいに広がる自然、そして鮮やかな花や草木が生い茂っている。
その庭園の美しさがその開場を包んでいた。
──コツコツコツ。
『ヨウコソ、──オペレーターの「イア」です。ギルド、『龍の双翼』のミナサマ。コチラへ』
オペレーターである、イアと言うホログラムで構成されたNPCに案内されるパーティ一行。
「わわ、この子めちゃくちゃ可愛いですね……」
NPC1つ切り取っても、ステラには新鮮な光景な様で彼女はリアクションを欠かさない。
「ステラ?……この子に話しかけても定型文でしか返ってこないよ?」
かぷちーのが困ったような顔でそう彼女へと助言する。
「え! そうなんですか……」
「イベント専用のbotちゃんだからね〜」
リゼが2人の会話にスマートに割り込んでくる。
「むぅ、残念です……」
オペレーターのイアの後ろをついて行き、5人はとある部屋へ導かれる。
「ここも広いだけで、また真っ白な部屋……?」
ステラがそうつぶやく。
『イエ、モニターナラ ココに』
何も無い殺風景で真っ白な部屋に置いてある、モニター。画面は九分割されていてまるで監視カメラの様である。
よく見ると、何やらその場所で戦闘が繰り広げられている真っ最中であった──。
『まって──!! まいらさんこの人って!!』




